5 オープンな心で

●インターネットで世間が広くなった

−−KANKAWAさんはご自分のホームページをはじめとして、インターネットをものすごく使いこなしてらっしゃいますね。

K:いや、俺ひとりであそこまでできない。ただ、俺は日記を書いてみたかったって言ったんよ。あれね、日記は小学校以来やね。楽しい。

−−私も毎日すごく楽しみに読んでます。
 
K:インターネットがこんなに楽しいものとは思わなかった。大勢の人と毎日話すのは無理やけど、インターネットならそれに近いことができる。「DRIVE」のメンバーでも、よくメールが来るわ。電話では言いにくいこととか、言いそびれたことも、メールだったらさっと見られる。時間を気にせんとさっと返せるし、コミュニケーションが良くなった。世間が広くなって、楽しいわ。

 きのうもずっと探していたレコーディングエンジニアから、BBSに書き込みがあった。地方に行っても、ジャズファンがカンカン日記を読んでくれているわけ。60歳ぐらいの人も、日記を読んでくれている。嬉しいね。それにしても、どうして男性はBBSに書き込んだり、メールをくれたりせんのかね。

−−恥ずかしいんじゃないですか?

K:そう、恥ずかしいんやね。「なんで男同士なのに恥ずかしい? 顔も見ないのに」といっても「いや〜」という具合で、男の人はシャイやね。

●いい人に囲まれて

−−今後は、どのように活動を予定されていますか?

K:これから2年ぐらいは、やることが頭の中で決めてある。たとえば、「DRIVE」にスペシャルゲストを呼んでみる。たとえばフィル・アップチャーチ(g)が来たら、バンドは急に変わるよ。たとえばサックス。デビッド・サンボーンはちょっと難しいけど、すごいサックスを呼ぶとか。そして2年ぐらいしたら、「DRIVE」はどうしたらいいかみんなで考えたらいい。

 それから本を2冊書こうと思っている。ひとつは「専門学校にだまされるな」。僕は専門学校を経営していたから、裏の裏まで知ってるからね。専門学校に入学しても構わない、だまされるなとね。もうひとつは、若いミュージシャンのための「誰でもジャズミュージシャンになれます」という本。誰でもアメリカ生活ができる、ギター1本持ってニューヨークに行き、どのようにアメリカ人の中に入り、どのようにバイトをみつけ、どのようにしてセッションに入って、どのようにバンドのメンバーに入るか。これは若いミュージシャンには面白いぞ。

 俺自身、来年になったら日本とニューヨーク半々の生活にするかもしれない。僕はアメリカでは王様のような暮らしをしていた。ずっと豪勢な暮らしをしていると、いろんなことが億劫になる。だけど、そういう生活をやめて日本に帰ってきた。それ以降はオープンマインドになったから、僕はなんにでも感謝するようになった。

 今のほうが幸せやわ。へんに天狗になると、人間というのは世の中が狭くなってしまう。昔、僕に寄ってくる人は、僕じゃなくて、僕のバックとしゃべりたい人やった。今は違う。みんなが、KANKAWAというオルガンプレイヤーとつきあってくれる。今はいい人ばっかりに囲まれている。コンサートが済んで、打ち上げで鍋をしながら「お前ばっかり取るな!」とかいうことが、ものすごく楽しい。

 とにかく、みんなにありがたい、感謝してる。オルガン運んでくれる人、直してくれる人、音楽聴いてくれる人、演奏してくれる人。俺がその人たちの気持ちに応えるためには、精いっぱい「いい音楽」をすること。そして日本のゆがんだジャズ世界を少しでも変える手助けをすることしかないと思っている。(おわり)


Index | 1 | 2 | 3 | 4 | 5

KANKAWAオフィシャル・サイト 

Interview, photography & Text by Mime
Live photo courtesey of Mr.Yoichi Ikeda
Copyright  by 2001 Cyberfusion