番外編
98'J-fusion界をふりかえって

 

●T-スクェアメンバーチェンジの産物 
 
98年のフュージョン界をふりかえって、私にとって一番大きな事件はT-スクェアがメンバーチェンジしたこと。 
毎年T-スクェアのアルバムは自分の定番として聴いていました。でも今年は2〜3曲は聴き込みましたが、
アルバム全体としては残念ながら愛聴したというほどではなかった・・・。
そのかわりといっちゃなんですが、神戸チキンジョージの
「フェアウェル&ウェルカムライブ 1998」のビデオ(ソニー)は、 
死ぬほど良かったですね。
前半の旧メンバーの演奏が、もう、涙モノ。 
「ROMANTIC CITY」の淡々としたメロディー。
ソロでグランドピアノを弾きまくる和泉さん。
これがこのメンバー最後のライブというシチュエーションとあいまって、心にじ〜んと沁みいってきます。 
「CIAO!!」での則竹−本田が繰り広げる白熱のデュオの場面。何度繰り返し観たかわからないほど・・・。 
これ、CDにできる音も録ってあるんじゃないかと思うんですよね。アルバムも出してほしかった・・・。 
泣ける名演なのに、もったいないな〜。個人的には2月に出るというベスト盤よりも、こっちが聴きたいです。 
 
一方でT-スクェアから抜けた 
本田雅人のソロアルバム「GROWIN’」(ビクターテンタテイメント)が出ました。
「CONDOLENCE」は名曲! 曲、演奏ともに本田雅人の真骨頂という感じで、繰り返し聴けるアルバムですね。
ほかに和泉宏隆さんのピアノソロがライブで聴けるようになったり、
T-スクェアのメンバーチェンジで起きたメリットもありました。
T-スクェア自体も、年末ライブで 新キーボードの松本圭司さん が、本田さんの加入時を思わせるハイパープレイで思いっきり魅せてくれたので一安心というところでしょうか。

●メジャーデビュー組、カシオペア、国府弘子 

勢いのあるミュージシャンといえば・・・。
まず、ついにメジャーデビューした野獣王国の「パワージャングル」(キング)と,
熱帯ジャズ楽団「SEPTEMBER」(ビクターエンタテイメント)でしょう。
野獣は野性味あふれつつも優しさもあるのが魅力だし、
熱ジャの1曲目「スパイ大作戦」のカッコ良さに度肝を抜かれたのも記憶に新しいところ。
神保さんサポートでますます勢いづいてきたのが
カシオペア「be」(ポニーキャニオン)
16分音符の裏でキメを次々に決めるカシオペアの伝統芸と、一瞬フォープレイを彷彿させる、華麗に洗練されたスムース・ジャズ、どちらもいいですね〜。
アメリカ留学から帰国してノリにノッている国府弘子「DIARY」(ビクターエンタテイメント)
「タルカス」のカバーのカッコよさにはぶっ飛びました!

●ディメンション&塩谷哲
  
年間にアルバムを2枚出したパワフル派がDIMENSIONと塩谷哲。
両者ともに中堅どころとしてファンも多いですね。
DIMENSION「TENTH DIMENSION」(ルームスレコード)は、
ギター増崎孝司のヘヴィメタル、キーボード小野塚晃のジャズ色、パワフル吹きまくりのサックス勝田一樹。
メンバー3人の個性がぶつかりあって異様なまでのパワーが感じられる1枚でした。
塩谷哲「88+インフィニティ」(ファンハウス)では、
華麗かつリズム感抜群、弾きまくりのピアノに大満足。楽しさあふれるおもちゃ箱のような雰囲気も花マルです。

●矢堀孝一関係

 ギタリスト矢堀孝一さん関係「矢堀ファミリー」の動きも活発でした。
爆笑しつつも演奏に聴き入ってしまう傑作「TV−JAZZ SEVEN」(コンポジラ)
ピアノの古川初穂さんや、岡田治郎さん、大坂昌彦さんなど、面子もおいしすぎ。
新人オルガニスト大高清美「THIRD HAND」(コンポジラ)のプロデュースなど、矢堀さんは、もう止まらぬ勢いといった感じ。引き続き目が離せません。
パワフルにハモンドオルガンを操る大高清美さんには、私から今年の新人賞をあげたいです。

●ヴィレッジレコードの会心作!!

そして最後に。私が今年一番気に入ったのは、
OTTOTRIOの10年ぶりの作品にして初レコーディング盤
「TRIPTICH」(ヴィレッジレコード)
ちょっとマニア入ってる私にはたまらないアルバムです。
安藤・是方・野呂、3人のギタリストたちの魅力を、改めて感じた1枚でした。
 今年はヴィレッジレコードやコンポジラなど、インディーズのレコード会社の作品がけっこう光ってました。
引き続き期待したいところです。メジャーどころではビクター、それとキングが存在感ありますね。

●1999年のフュージョン界はどうなる!?

今年期待するアルバムをざっと眺めてみましょう。
12月中に録音が終わっているはずの和泉宏隆ソロアルバム、
現在デモテープまではできているはずの則竹裕之ソロアルバム、
是方さんがライブのMCで出したいといっていた「KORENANOS」のアルバム。
去年新譜を出さなかったピアニスト木住野佳子。 
同じく去年出なかった神保彰のソロアルバム
神保さんは最近マジで世界各国でドラムセミナーを展開しているようで、どんな曲を書いているのかとても楽しみ。
そしてマイク・スターンが参加と噂のフラジャイルの新譜。・・・あたりかな。
もちろん、T-スクェア、カシオペア、野獣王国、国府弘子、塩谷哲、ディメンション・・・あたりは、きっと新譜が出るでしょう。
 そういえば、この前、今井美樹の新譜「未来」でジョー・サンプルがピアノを弾いていて、とってもステキだったんですよ!
最近、カシオペアの「4×4」を聴き返しても面白かったし。「フュージョン冬の時代」で予算が限られてるのはわかるんだけど、J-FUSIONに海外のミュージシャンがゲスト参加したアルバムがもっと増えたら楽しいだろうなと思います
塩谷哲とミシェル・カミロでソロ回ししてる曲が入ったアルバムが出たら、絶対何十回も聴くだろうな。(美芽)


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