1999 Best Albums
久保 智之
Patweek


僕は役割的に「直球」担当なんだろうなぁ(笑)、ということで比較的普通のアルバムを心がけました。

雑誌でよくある企画ですが、受賞したアルバムがバッヂ付きで広告に載るというのもよくあること。このインターネット時代、そろそろそういう仕掛けがヤバくなる時期かもしれませんね。(逆に楽器の広告がほとんどのJL誌におけるベスト・アルバムはかなり面白く読める、ともいえます)

それにしても、昨年のステップスの再発は素晴らしい「事件」と思いました。マイク・マイニエリが昔のメンバーと共に古いアルバムをリメイクし、ボランティア・ベースのCyberFusionがそれを紹介。そして CDが口コミで売れていく…… これからこういうことが増えていくと、アーティストにとってもリスナーにとっても幸せなんでしょうね。いまこういったことを推し進めるチカラをもっとも強く持っているのがインターネットと思います。今年も皆でどんどん活性化していきましょう!

Pat Metheny「A Map Of The World」
僕がパット・メセニーのファンサイトを運営しているから、なんてことを抜きにして、1999年のダントツ一番。これはホント凄い。 一曲目の最初の何小節かだけで、もう、完全にこのアルバムの世界に引き込まれてしまいますよね。まずはこの吸引力に脱帽。で、ざーっと一時間あまりアルバムを聴いてきて、ほぼラスト26曲目の"Home Coming"にたどり着く…… と。こういう仕組みです。最高です。

Keith Jarrett「A Melody At Night With You」
これはフュージョンなのかどうか迷ったのですが、1999年モノとして、はずすわけにはいかないでしょう。鳥肌たちまくり。

Michael Brecker「Time is of the essence」
世間では"イマイチ"との声をよく耳にしましたが、巧くなり過ぎちゃってスリルがないってことなのかなぁ? テナーでこれだけ吹いちゃってるんだから凄いです。

Mike Stern「Play」
フュージョンっていえばこのアルバムの8曲目のlinkみたいな曲だと思ってますんで、「あ〜、このご時世にまだこんなことやってるよ…… (^^;)」と思いながらも心拍数上げて聴いちゃいました。Jim Beardもいい味だしてますね。ジョンスコ、フリゼルが参加してもマイク・スターンのアルバムという個性は全然変わりませんな。

David Sanborn「Inside」
フレーズなどにサンボーンの凄さを感じさせるところが少なくて残念でしたが、アレンジなどは例えば上述のマイク・スターンなどに比べると、圧倒的に上品であると同時に濃い。良くできたアルバムだと思います。

Bill Frisell他「The Sweetest Punch」 1999年は個人的に一番良く聴いた気がします。たまらなく和みます。

Incognito「No Time Like The Future」
ポップスとしてよく売れたんじゃないかと思いますが、フュージョン系リスナーにはまだまだ聴かれてないんじゃないかなー、っつうことでこちらに挙げときます。こんなにかっこいい演奏を放っておくのはもったいない。CDショップでもフュージョン・コーナーに置いてもいいのにね。

Groove Collective「Declassified」
確か彼らの4枚目のアルバム。こういう元気なバンド系サウンドって少なくなってると思うので、どんどんがんばって欲しいです。

Guinga「Suite Leopoldina」
ブラジルのギタリストのアルバムです。日本ではまだマイナーなんでこのアルバムを聴かれた方は少ないと思いますが、アコースティック・ギターのお好きな方はぜひチェックしてみて下さい。ただ、日本盤は無いですしお店で見つけるのも東京以外はちょっと辛い。ネット上のストアでしたら13ドル前後で売られてますのでこちらがいいですかね。

Steps「Smokin' In The Pit」
久々に聴いたらまぁ、ぶっ飛びました。みんな若い! ハジけまくってますねぇ! 最近は「フュージョン」=「スムースジャズ」って感じになって来ちゃってますけど、こういう熱い演奏こそフュージョンだよな〜。と、この一枚でガガ〜ッと目が醒めましたです。今年はぜひこういうライブを生で観てみたい!


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