マイケル・ブレッカーLIVEレポート 


 Michael Brecker (sax), 
 Joey Calderazzo(p), 
 Chris Minh Doky(b), 
 Jeff "Tain" Watts(ds)

ブルーノート東京 2001.12.15(土)1st Set



凄い!凄すぎる!!マイケル・ブレッカーのステージは予想を越えて驚異的であ った。
過去にも何度もマイケルにはノックアウトされてきたのだが、今回もまたもノッ クアウトされてしまった。
それと人気もスゴイ・・・整理券を取る列がいつもの3倍は来てたのではないか な。
ここまで混み合いながら整理券を取ったのは、僕の来た中では一番だ。
 

ステージが始まると、1曲目EL NINОからマイケル節が満開だ。
今更ながらマイケルのサックスは凄い。なんで1本のサックスでああも色々な音 が出せるのだろうか。
あらゆるフレーズにあらゆる音色をおりまぜながら、ソロがどんどんと昇華する。
聴いていて楽しい・・・飽きない・・・どんどんとSAXの魔術に引き込まれてい く感じだ。
長いカデンツァも緊張感を途切れさせる事なく、最後までカタルシスに持ってい ってくれる。
 

サイドを固めるジョーイ・カルデラッツォ(p)、クリス・ラン・ドーキー(b)、ジ ェフ・ワッツ(ds)。

特にジェフ・ワッツがこのバンドの起爆剤だ。あおる、あおる。Push,Push,Push である。
マイケルの吹いてるときはまだいい・・・ジョーイのピアノ・ソロに移るやいな や、ピアノ・ソロを食ってやるといった勢いだ。
もちろんジョーイも負けてない。身体を硬直させては思いっきりピアノを鳴らし 続ける。
特にジョーイはソロのなかに他の曲のメロディを挿入したりと、アイデアで遊ぶ。
そんな中、クリスだけマイペースでベースでリズムを取る。

それにしてもマイケルは凄かった。CDで聴けるマイケルは録音の都合もあってか リミッターが効いていたのだ。
ここBN東京ではそれが外れて、レッドゾーンを振り切れて、いつもにまして凶暴 さも伺い知れる。
テクニシャンは前から知っていたが、テクニックだけではない。テナーの持つ、 やばさ、雰囲気まで一級品だ・・・今更かもしれないけど再認識させられた。
 

そして今年出たバラード集Nearness Of Youから、ハービー・ハンコック作曲の Chan's Song・・・ため息が出るほどなバラードだ。
ここではあえてジョーイ・カルデラッツォを押したい。ハンコックのオリジナル だし、CDでもハンコック本人が弾いているので、比較聴きしたらジョーイに不利であ る。にも関わらず、ジョーイはなかなかなのソロを聴かせてくれる。オリジナルのハ ンコックっぽさを尊重しながらも、それを上手く取り込んだソロに唸ってしまった。

考えてみるとマイケルもさることながらバンドも凄いし、これって将来的に伝説 的なバンドと呼ばれるのではないかな?
ちょうどエルビン、マッコイのいた頃のジョン・コルトレーンのバンドみたいに ・・・と思っていたら、そのコルトレーンのGiant Stepsを演奏した。
コルトレーン派テナーと呼ばれたマイケルだけに、バリバリとシーツ・オブ・サ ウンドでも聞かせるのか?と想像したら、そんなもんじゃない。凄く細かいフレーズ にアクセントをつけて叩き込んできた。
こういう曲だったらハードブローしそうなものなのに、その上を行かれてしまっ た感じだ。
なるほどこういう解釈もあるのか・・・。以前パット・メセニーのトリオがこの 曲を新たな解釈で演奏したが、マイケルも相当なものだ。

アンコールはDelta City Blues。こんな演奏はマイケルにしかできないよ。
最初のイントロが聴きどころ。ぶぁーと吹き出す部分からあの曲!!となる。
ここまで行くと、もうマイケルは超越してる。神がかりである。
スゴイものを見てしまったかのような感覚。チョー感動ものである。

スゴイ感動のままステージは終わった。もう終わり?って感じだ。2ndも聴けば良 かったなぁ。
演奏はTwo Blocks From The Edgeが中心になっていた。曲もそれで良くこなれて いたのだろう。
ただ、あえて難点を言えば少しベースが弱かったかな? ベーシストだけ固定で きず流動的だ。
それにしてもここまでマイケルのステージが良かったとは・・・期待以上のもの を聴かせてくれました。(TKO)
 


過去のブレッカー ライブ・レポート
1996.10.05 Yoshi's, Oakland, CA
1998.9.28 Osaka Blue Note
2000.02.26 Osaka Blue Note
2000.07.20 Montreux Jazz Festival

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