マイケル・ブレッカー・ライブ・レポート


1998.9.23 大阪ブルーノート 2nd set

マイケル・ブレッカー
(テナーサックス)
ジョン・パティトッチ(アコースティック・ベース)
ジョーイ・カルデラッツォ(ピアノ)
ジェフ・ワッツ(ドラムス)

大阪ブルーノートでの最終日セカンド・セットの演奏は最新アルバムの「Two BlocksFrom The Edge」の中のマイケル流のアコースティック・ジャズナンバー「Madame Toulouse」から始まります。
今回のマイケル・ブレッカーのバンドはベースがいつものジェームス・ジナスに替わって最近ニュー・アルバム「Now」をだしたばかりのジョン・パティトッチとなっている以外はピアノのジョーイ・カルデラッツォ、ドラムのジェフ・テイン・ワッツ(ちょうど前日に大阪に台風が直撃したためジェフ・タイフーン・ワッツと呼ばれていましたが)の最新作Two Blocks From The Edgeにも参加しているお馴染みのメンバーです。ジョン・パティトッチはスペシャル・ゲストと紹介されていたので今回の日本ツアーのみのベーシストでしょうか?

再結成ブレッカー・ブラザースとしての活動を停止して以来マイケルはどんどんアコースティックなサウンドによってきていますが、その延長線上のサウンドです。ブレッカー・ブラザーズでの演奏でEWIは極めてしまい、リズム面での自由度、音の隙間があって自由にフレーズを組み立てれる余地の大きい4ビートに傾注していっているのでしょうか。このライブでもリズム隊が繰り出す変幻自在のリズムとコードの嵐の中をひたすら自由奔放なフレーズを繰り出していき、宗教的とさえ思えるような孤高の世界を築き上げていきます。

そして2曲目は同じく最新アルバムからジェフ・ワッツの曲で「The Impaler」。彼のドラムは見るたびごとにパワーアップしているように感じます。
そしてパティトッチがホテルの部屋でほんの数日前に書いたという未発表の新曲「The Well」が弓弾きベースのソロから始まります。パティトッチはソロのメロディー・ラインが美しく表現力豊かで個人的に好きなベーシストなのですが、ジェフ・ワッツのパワーがパティトッチの繊細さを食ってしまってマッチングはいまひとつという印象でした。
そして4曲目のブルージーなナンバー「Bye George」で怒涛のようにエンディングになだれ込みます。この曲ではカルデラッツォがぶち切れたようなピアノソロを聞かせてくれ盛り上げてくれます。

アンコールは今までの曲とがらりとかわってファンキーな8ビートをジェフワッツが刻みはじめ、その上でマイケルが吹き始めます。ヘッドハンターズの「カメレオン」のような雰囲気をかもしだしながら、ブレッカー・ブラザーズのレパートリー「Song For Barry」のメロディーも顔をだし、おやっ?と思わせておいて始まった曲は意外にも「枯れ葉」でした。テーマはファンキーな8ビート、ソロパートは4ピートになります。8ビートでのマイケルはブレッカー・ブラザーズはまた違った味を出してくれリラックスした雰囲気でしめてくれました。改めてマイケルの奥の深さを実感させてくれるライブでした。(橋 雅人)

Michael Brecker Joey Calderazzo Jeff Watts John Patitucci



協力 : 大阪ブルーノート
Photography by Wahei Onuki
Copyright 1998 by CyberFusion