特集 : 深町純 & The New York All Stars Live
3.アルバム参加メンバーについて
深町純
このアルバムのリーダー。
71年、ポリドールレコードよりファーストアルバム「ある若者の肖像」をリリースし、日本で最初の、ピアノ弾き語りのシンガーソングライターとしてポップスの世界にデビュー。75年よりは「The New York All Stars Live」をはじめとする数多くのフュージョン作をリリースし、和田アキラとのKEEPの活動でも知られる。またシンセサイザー演奏家としては日本における草分け的存在でもある。
84年、東京大学教養学部特別講座の講師に招かれ一年間音楽美学を教え、89年4月、洗足学園大学音楽学部教授に就任し、日本で最初のシンセサイザー専攻科を設立。また同大学音楽工学研究所長を兼任し、これまで未開発の分野であった、音楽と科学との文化的融合を目指す研究機関を発足させた。96年に退職。
近年は商業主義に背を向け、ピアノの即興演奏、ヴァイオリン、アコースティック・ギターとのユニットなどアコースティックなサウンドを追求している。
|
Jun Fukamachi
|
代表作
On The Move(廃盤)
DG-581 by Keep (HMVにて入手可能)
春(Piano Solo)
|
Randy Brecker(ランディー・ブレッカー)
トランペット奏者で、Michael Brecker(マイケル・ブレッカー)の兄であり、The Brecker Brothers(ブレッカー・ブラザーズ)のリーダーでもある。The Brecker Brothersの代名詞でもある、変態的なリフのほとんどはランディーの手によるもの。このアルバムでも「Rocks」、「Inside Out」、「Jack Knife」と3曲の特徴的な曲を提供している。The Brecker Brothers結成前はブラス・ロック・バンドのBlood Sweat & Tears(ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ)、Frank Zappa(フランク・ザッパ)、Billy Cobham(ビリー・コブハム)のバンドなどにも参加していた。The Brecker Brothersは1981年に一旦活動を停止するが、1991年に再結成、その後断続的に活動している。
|
代表作
|
Michael Brecker(マイケル・ブレッカー)
テナー・サックス奏者で、Randy Breckerの弟。兄とのバンドThe Brecker Brothersの活動停止と前後してこのNew York All Starsにも参加しているMike Mainieri(マイク・マイニエリ)、Steve Gadd(スティーブ・ガッド)らと共にStepsを結成する。それと並行してPaul Simon(ポール・サイモン), Joni Micthel(ジョニ・ミッチェル),SMAP,吉田美和など幅広いジャンルの数多くのレコーディングにも参加している。
1987年に初リーダー・アルバムを発表して以降、今日では現代を代表するテナー・サックス・プレイヤーの地位を確固たるものにしている。
先日、来日したMichael BreckerにこのCDを見せたところ、まずジャケットを見て
「オリジナルのLPとジャケットが変更になったんじゃない?」
LPからジャケットは変更になっていないので、どうやらもう一枚のライブ盤「Triangle Session」と記憶が混ざっているらしい。
「とにかくCrazyなコンサートだったことを覚えているよ。」
とのことだった。
|
代表作
|
David Sanborn (デビッド・サンボーン)
アルト・サックス奏者。ブルース・フィーリング溢れる泣きのアルト・サックスはサンボーンのトレード・マーク。近年のスムース・ジャズの流行で彼のスタイルをフォローするプレイヤーは多い。David Bowie, Eagles, Carly Simonなどロック、ポップスでのレコーディングが数多くあるが、Gil Evans Orchestraでも数多くのレコーディング、ライブに参加している。
|
代表作
|
Richard Tee(リチャード・ティー)
ピアノ奏者。当時はStuff在籍中。メローなフェンダー・ローズ・ピアノ、ファンキーで力強いアコースティック・ピアノは誰と演奏していても一聴してTeeとわかるほど特徴的でOne and Only。残念ながら1993年に死去。晩年はSteve Gadd, Michael BreckerとともにPaul Simonのバンドに加わっていて、そこでの「明日に架ける橋」のイントロのゴスペル調のピアノはTeeならではだった。
|
代表作
|
Mike Mainieri(マイク・マイニエリ)
ヴィブラフォン奏者。70年前後のニューヨーク系フュージョンの祖といわれるプロジェクト「White Elephant」の中心人物。80年にMichael Brecker、Steve Gaddらと共にStepsを結成、その後、アメリカデビューのために、Steps Aheadと改名してMichael Breckerらが脱退後も現在に至るまで断続的に活動を続けている。また自己のレーベルNYC Recordsを主宰している。
|
代表作
|
Steve Khan(スティーブ・カーン)
ギタリスト。1977-1979年にかけてこのNew York All Starsに近いメンバーで3枚のリーダーアルバムを残している。その後、Anthony Jacksonらとともに自分のグループEyewitnessを結成、独自のギターフュージョンの世界を作っていった。セッション・ワークも数多く参加し、ビリー・ジョエルの「Stranger」などにも参加している。(現在Eyewitness時代の一連の作品は廃盤になってしまっているようなのが残念。)
以前の当サイトでのインタビューではこのライブについて、
「あまりよくは覚えていないのだけど、唯一、覚えているのはバンドがあんなに大きすぎると、音楽的には実際にはあまり楽しくなかったということだ。多分、観客はあれだけの有名なプレイヤーを一度に見られてもっと楽しかったと思うけど、僕らにとってはまるでサーカスみたいで、いい音楽の助けとなるような雰囲気ではなかったよ。 あの場合は和音楽器の数が多すぎたんだ。深町純、リチャード・ティー、マイク・マイニエリ、そして僕、これは多すぎだったし、多分それぞれの相関関係もばらばらだった。あれが音楽的に大成功だったとは思わないな。でも個人的、音楽的に親しい友人達とツアーして演奏するっていうのは常にいいものだよ。 」
とちょっと否定的なコメントをしている。
|
代表作
|
Anthony Jackson(アンソニー・ジャクソン)
ベーシスト。おそらくジャズ・フュージョン界で、自分のリーダー・アルバムをリリースしていない最も有名なアーティスト。スピード感かつ重量感が溢れるベース・プレイは超一級。Michael Petrucciani,Michel Camilo,Al Dimeola,矢野顕子らとの共演で知られる。
|
代表作
|
Steve Gadd(スティーブ・ガッド)
神様的存在のドラマー。
1978年時点ではRichard TeeとともにGordon Edwards, Eric Gale, Cornel DupreeらのStuff在籍。その後Stepsのオリジナル・メンバーとして2枚のアルバムを残している。ポップス、ロック、ジャズなど幅広いレコーディング、ライブに参加し、近年はEric Claptonのバンドのレコーディング、ワールド・ツアーに加わっている。
|
代表作
|
目次.特集 : 深町純 & The New York All Stars Live
1.アルバム発売当時の音楽状況、またその歴史的意義について
2.アルバム収録曲について
4.深町純が語るThe New York All Stars
Copyright by 2002 Cyberfusion
Text by Masato Hashi
Special thanks to Jun Fukamachi