山本 美芽
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2006年のレコード界の最も大きなトピックスは日本ではそれほど大きな話題にはなってい 日本のフュージョン界にとって、2006年は衝撃的な１年となりました。６月にシーンの中心的人物であるベーシストの青木智仁さんが急逝、カシオペアが８月に活動休止。でも、その寂しさを埋め合わせるかのようにピラミッドにTRIX、VOICE OF ELEMENTS、FOUR CORNERESなど、新しい組み合わせのバンドが次々に作品を出してきます。時代の移り変わりを痛切に感じました。 海外のフュージョンに関しては、私自身が米カリフォルニアに移住して毎日スムース系ラジオを聴く生活になったため、スムース系をよく聴くようになりました。ラジオで聴いて「いいな」と思って購入したアルバムの中から、お気に入りとなった作品をあげておきます。
元プロバスケットボール選手からベーシストに転向したウェイマン。彼はベースでメロディを弾くソリストで、ファンキーかつシャープな魅力があります。このアルバムではキャッチー、ファンキー、スタイリッシュな要素を融合させていて非常に楽しめました。
ピアノとギターのデュオで、音色がすばらしく良いです。主役はメセニーですが、メセニーをこんなふうに弾かせることができるメルドーが凄い。ふたつの楽器の余韻に対して全身全霊で耳を澄ましているふたりのミュージシャンの気持ちが伝わってきます。 最近コンテンポラリー路線に傾倒していた彼らですが、ここに来てややフュージョン＆ポップ寄りになったように思います。（編成はアコースティックに時々シンセを加えた程度ですが）。ゴスペル風味とジャズが力強く交じり合い、４人の音それぞれに生き物のような立体感があって、異様なまでにまとまった強力バンドサウンドです。
ニ胡とピアノの組み合わせが絶品。ニ胡はヴァイオリンよりも艶やかだけれど、サックスよりは清楚。それがピアノの凛とした音をひきたてます。香り高いジャスミン茶のような、かつてなかった味わいのサウンドが誕生しました。
ピアニストのジェームス・ロイドとドラマーのカーティス・ハーモンの２人組グループで、活動30周年のベテラングループです。R&B風味とスムース色がみごとに融合。80年代のＴ-スクェアにも通じるものを感じました。ゴージャスで楽しい気分が演出され、スリリングな要素もあって聴きごたえがあります。
ジョージ・ベンソンにフィリップ・ベイリーに、いろんな人をフィーチャーしていますが、なかでもジョージ・デュークがプロデュースした「ザ・トータル・エクスペリエンス」がいい。大胆かつ繊細にメロディを描きだすサックスと、ストリングス入りのファンキーなアレンジが最高にお洒落。アメリカで大ヒットしているのも納得です。
哀愁ただようメロディラインに全員で突っ走る高速ユニゾン、スラップのベースソロ、まさに日本のフュージョンの伝統をふまえたサウンドです。さらに「か〜みのけふっさふさ〜」なんて歌詞を入れて異様に盛り上がってしまうセンスにも脱帽。テンションの高さと勢いは群を抜いています。 ７０年代クロスオーバーの伝道師、と本人たちが言っているピラミッドの2ndです。フュージョンが超絶技巧化する前の時代を思わせる、プレイよりも「曲」に重きをおく音楽づくりをしていて、これぞ大人向けの上質なサウンド。くつろいで楽しめます。 ギタリスト天野清継を中心に、イエロージャケッツが大好きという４人が集まったグループのデビュー作。コンテンポラリージャズ寄りの骨太いストレート系フュージョンです。けっこうテクニカルなことをやっているのですが、なぜか聴いた印象はメロディアス。すばらしい大自然を眺めるような、ナチュラルな力強さと美しさがあります。あ〜どこか旅に出たい、という気分のときによく聴きました。
にせスクェアといわれていた同バンド出身のミュージシャン４人によるギターレスの新バンド、デビュー盤です。細部まで完璧に計算されたポップな音は安心して聴けて、さすがといったところ。曲そのものは、スクェアよりも骨太フュージョン路線というかジャジーというか、作りこむ方向になっています。
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