2003 Best Albums
久保智之

2003年のインターネットと音楽に関するニュースといえば、iTunes Music Storeでしょうか。iTunesの説明は省きますが、日本でも今年あたりから有料音楽配信がどんどん実用化されていくのでしょうね。

ところでこのiTunes、日本ではまだStoreから曲を購入することはできませんが、アメリカのサーバに登録されているものはどの曲も30秒間試聴ができますので、アーティスト別に一気聴きしたり、曲名で検索して複数アーティストから好きな演奏を探したりと、ジャズ・フュージョン・リスナーとしては面白いツールとして使えるんじゃないかと思います。

さて本題です。2003年のベストアルバムはちょっと少なくなってしまいました。今回選んだ中には厳密に言うと2002年末リリースのアルバムもあるのですが、微妙な時期なのでどうかごかんべんを。

John Beltran「Sun Gypsy」

いわゆるジャズ・フュージョンでは無くて、デトロイト・テクノあ たりにジャンル分けされるアーティストなのですが、このアルバム はテクノ色は薄く、切ない分数コードと16ビートをベースにした ジャズとブラジルの中間あたりのサウンドなので、フュージョンファ ンにはきっとマッチすると思います。個人的には2003年に一番聴い たアルバムです。

Anna Maria Jopek & Friends with Pat Metheny「Upojenie」

歌モノのアルバムなんですが、Pat Methenyの気合の入り方が凄い! Patのさまざまなスタイルの演奏を聴くことができます。ポーラン ドでのみ発売なので日本では手に入りにくいですが、時々ショップ にも入荷するようなので、見つけたら即ゲット! をオススメしま す。

Pat Metheny「One Quiet Night」

変則チューニングのバリトンギターによるソロ演奏で、演奏中の細 かいノイズもそのままと、ほとんど味付けがされていないアルバム ですが、そういった編集の無い分逆にPat Methenyのエッセンスが ぎっしりとつまっているような気がします。中でやっていることは かなり深いと思いますし、聴けば聴くほどハマる、とっても濃いア ルバムです。

Michael Brecker「Wide Angles」

いやぁもう、ものすごい貫禄! いまこういった企画で正々堂々と 勝負できるアーティストというのは、少ないのかもしれませんね… 聴いているうちに思わず正座してしまいそうになります。

Richard Bona「Munia The tale」

これといった目新しさというのは無いのですが、この人の安定感と いいますか安心感といいますか、これはホント素晴らしいですね。 全曲通してじっくりと味わえるアルバムです。

Steely Dan「Everything Must Go」

私は普段、良く聴くアルバムをiPodに入れてランダムに聴いている のですが、このアルバムの曲が始まると音圧というか密度といいま すか、もの凄い音の濃さに驚きます。音へのこだわりの次元が全く 違うんでしょうね。「このソロが最高」といった細かい善し悪しを 超えた、曲にしても音にしても全体に超ハイレベルなサウンドが ぎっしりと詰まったアルバムです。



All right reserved by CyberFusion