則竹裕之 Cyber Interview Part 2.

1996年の日比谷野音ライブについて

美芽.
野音についてもおうかがしたいんです。オープニングの、毎年恒例の「日比谷シャ ド ウズ」、私いつも楽しみにしてるんですが・・・ (注 メンバーがオープニングの前に 全員自分以外の楽器をもって登場し、1曲披露するというもの。このバンドを日比谷シ ャドウズと呼んでいる。 T-スクェアは毎年夏に日比谷野外音楽堂でコンサートを行っ ているが、だいたい毎年登場していた。)今年は・・・あの曲は、「竹豊で東京バンブ ーボーイズ」っていうんですか?・・・ある人からききましたけど。(笑)(いつもの 年はG、Sax、Key、B、Drの編成のことが多いが、今年はメンバーが全員竹製の打楽器を 手にもって登場、ドラムは仙波氏でレ・ミ・ソ・ラ・シの5音音階による曲が演奏され た。)
則竹.
(笑)そうです(笑)あのタイトルは誰がつけたんだっけ?
坂本.
仙波さんじゃない?(パーカッショニストの仙波清彦氏。今回の野音ライブでは、ゲス トとして参加。以前スクェアに在籍していたこともあった)
美芽.
あれは・・・楽器は、なんていうんですか?
則竹.
あれはねえ。アンクルン、っていう楽器です。やっぱりどこか、アジアの国の楽器だと 思うんですけど。(インドネシアの民俗楽器で、ひとりでレならレ、ミならミというよ うに1音を担当して演奏する。レ・ミ・ソ・ラ・シの音階でできている曲の場合5人で 演奏することになる。)仙波さん・・・っていうのはもちろん家元でいらっしゃるんで すけど、そこの仙波さん軍団のお弟子さんの・・・・要するにお家芸なんです。あれは 。お家芸というか、仙波さんの一派には持ちネタがいくつもあるんですけど、そのうち のひとつで、僕も以前仙波さんのお教室にずっと通ってたことがあるんです。和太鼓で すけどね。まあそんな感じでずーっとスクェアデビューしてから、ずっとおつきあいし てたんですけど。そんな中で、あのネタがすごい気に入ってて、ちょうどスクェアは5 人だし、5人いればあの曲できるんで。で、やったらどうかな、と思って。そうしたら 、いいね、ってことになって。
美芽.
あれは・・・・難しいんですよね?けっこう・・・・?
則竹.
うん、まあ・・・(言い方を考えている)
美芽.
ミュージシャンの方に「難しい?」っていうのも変ですけど・・・
則竹.
いやいや。(笑)
坂本.
パートによるよ。
則竹.
そう、パートによりますね。
美芽.
則竹さんは、ミでしたよね。シラソミ・シラソミのミをやってましたね。
則竹.
チェックされてますね。(笑)
美芽.
え、いえ、(笑)やっぱり則竹さんのところが難しいのかなと思って。
則竹.
いちおう僕と須藤くんが、まあリズムセクションなんで、一番難しいところをまわされ たんですけど。まあ、どうしても慣れるまでは「人の音を聴いてから入れよう」とする から、どんどん遅くなっちゃっうんですよ。遅れて遅れて。仙波さんってリズムが遅く なるのすごく嫌がる人なんで。「遅い遅い!」とかいって。聴く前に打つ、的な・・・ (笑)だからちゃんと自分の中でリズムとって。うん。こう、どんどんやっていかない と。そういうところで、ちょっと苦労はしたかも。でも、一日2ー3時間やって、もう 、できてましたから・・・。
美芽.
1回、2ー3時間やってできたっていうことですか?
則竹.
そうです。
美芽.
野音のコンサート前って、スケジュールがすごくなかったですか?
則竹.
けっこう・・・。
美芽.
セミナーがあって、すぐ・・・でしたよね?(注 その週はミュージックセミナー の 合宿を苗場で3泊4日でこなした後2日あけて野音ライブだった。)
則竹.
そうなんですよ。
美芽.
その中で、練習はセミナーが終わってから・・・したのですか?それとも・・・?
則竹.
前に・・・一回やったんだよね。で、もうだいたいできてて。まあ、本番前の通しリハ で、もう1回やったんです。
美芽.
あれは・・・意表を突いてましたね。
則竹.
そうですね。みんなあれに命かけてましたからね。(笑)いかにあの「トゥロロロロ」 (則竹氏は巻き舌で表現しているが、実際は竹を振って出すトレモロのこと)っていう トリルを早くやるかに、命かけてましたからね。本田君なんか、すっごい練習してまし たからね。あの人は・・・。
美芽.
和太鼓の教室に通ってた、ってお話ですけど・・・仙波さんとは、いつごろからお つ きあいなさってるんですか?
則竹.
ま、僕がスクェアに85年に入ったんですけど、当時もう仙波さんはスクェアのレギュ ラーメンバーではなかったんですが、まあ「スクェアファミリー」ということで、うち のチーフの青木さんなんかはファミリーのつきあいをしてまして。なんていうのかな・・・ 異才・・・異才っていうか、ああいうパーカッショニストは世界中あの人しかいないっ ていうか。・・・で、まあ、スクェアっていうバンドに僕が新人で入っていって、「興 味あれば和太鼓の方、習ってみればどうだ」ってことで。青木さんが紹介してくれたん ですね。仙波さんは、洋楽と邦楽の和太鼓をずっと並行してやってられる方なんで、そ れをミックスしたことを実験的にやろうとしてたんですよね。で、それがオレカマ軍団 というものだったりするんですけど。で、結局そこに入れてもらったんですね。で、つ かず離れずのおつきあいをこの11年間ずっとしてきたというか・・・うん。
美芽.
「オレカマ軍団」っていうお弟子さんたちがいて、「オレカマ」って曲もあるんで す よね。この曲は野音で演奏なさったんですよね。(仙波清彦氏作曲のパーカッションア ンサンブル)
則竹.
はいはい。
美芽.
私、あれが「オレカマ」って曲だって知らなくて、あとで聞いて「あれが!」と思 っ たんですが・・・
則竹.
そう。あれが「オレカマ」なんですよ。
美芽.
あの・・・譜面台おいてありましたよね。あれは・・・
則竹.
「オレカマ」の・・・内容があまりに複雑なんで、暗譜できなかったんですよね。だか ら、譜面をおいてやりました。(笑)
美芽.
やっぱりそうかと・・・。ふだんは、置かれませんよね。
則竹.
はい。
美芽.
オレカマの由来って、「俺にかまわず行け」なんですよね?すごい由来です よ ね・・・・ (とにかく難しくて、お互い合わなくなってしまっても「俺にかまわずつ いてこい」ということでひたすら演奏を続けるしかない曲とかそうでないとか・・・)
則竹.
すごいです。ほんっ・・・とに大変です、あれは。
美芽.
則竹さんでも大変ですか。
則竹.
大変です。毎回もう・・・・死ぬ思いですね。
美芽.
死ぬ思い・・・!!(絶句)
則竹.
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あのー・・・発想が、その・・・。洋楽的ではないというか、手順から何からなんか変 なんですよ、ドラマーにしてみれば。もうお弟子さんたちはそれでもうずいぶん慣らさ れてますから。ネタっていうのがいくつもあるんですよ。「じゃあ、あれとあれと何番 やろうか、はいっ、ザーン」ってやるんですけど、僕はそのたびに「譜面ください」っ ていって。で、譜面も普通の5線譜ではなくて、縦書きなんですよ。縦譜で、中国の漢 詩みたいなやつ。テンツクテンツクって、返り点とかレ点とかあるんです。それをまず 僕は五線譜に書き換えて・・・。けっこう大変なんですよ。
美芽.
書き換えるのって、その楽譜に書き換えられるだけの情報は入っているんですか?
則竹.
見方を覚えて。
美芽.
見方を覚えれば、書き換えられる楽譜なんですね。(注:日本伝統音楽では楽譜だ け 見ても五線譜にできないものもある。)
則竹.
一応読めるんで。でも、それを見ながらすぐには演奏できないんですよ。
美芽.
あー・・じゃ、大変なんですね。それじゃ、Tーはにわ隊ってなんの方々かと思っ て ましたが・・・お弟子さん?
則竹.
お弟子さんたちです。ええ・・・・もう、仙波さんの、愛弟子さんたちですね。
美芽.
一時、Tーはにわ隊にいた女性がすごい美人だっていうのでパソコン通信でも話題 に なってましたが。
則竹.
ああ、やっぱりね。
美芽.
ほさかよしこさんっていうんですよね?女性がスクェアのステージにのるのは珍し い ですよね。
則竹.
うーん・・・・まあ、いつも男ばっかりでやってますからねえ。旅出ても。メンバーも スタッフも。リハーサルもなんかこう、華やかになるというかね。あの、ぼくらけっこ うこうなっちゃいますけど、(といって目を大きくして集中して必死な顔をする)リハ が大変だからね、日にちもないし。スタッフなんか結構、本当に見とれてた人何人かい たみたいですね。(笑)
美芽.
客席でもそうなってた人がいっぱいいたみたいですよ。
則竹.
そうでしょうねえ。(笑)
美芽.
パーカッションアンサンブルをやった曲が何曲かありますよね。どの曲をやるのか 、 どうやって決めたんですか?
則竹.
まず、どの曲をやるのかっていう段階で、「せっかく仙波さんチームに来ていただくん だから、それが映えるようなかたちの曲を、メインに持っていきたいな」ってことから 始まって、スクェアの膨大な資料の中から、お互い、この曲なんかいいんじゃない、っ てことで。って決めたのがみんなでやった曲なんですけど。どういうアプローチするの かっていうのはほとんど98%、仙波さんにおまかせして。僕らも楽しみだっていうか、 この曲はどういうふうに攻めてくるのかなっていう感じで。うん。予想通り強力でした けどね。音がね、あれだけ打楽器なまものが集まるとホント耳がおかしくなるぐらいで かいんです。
美芽.
今回はメンバーの中で則竹さんが一番大変だったんじゃないですか?
則竹.
いやあの、大変っていうか、一応、あの・・・ま、橋渡し的なことをしなきゃいけな い立場なんで、去年なんかブラス隊が来たときには本田君が橋渡しをして、今回は、僕 が、その・・なんていうかな、何も僕はしてませんけど、ただ、「うーん、ちょっとそ のアプローチは、ちょっと変えてほしいな」「そこはパーカッションちょっと抑えてほ しいな」みたいなところは、あると思うんですよね。そういうときにやっぱり代表して 言わなきゃいけない。うーん。まあ、みんなが報われる形でやりたいんで。・・・・ま あ、仙波さんチームだけが目立って、スクェアの肝心の5人がひいちゃってもあれだし ・・・そのへんのバランスのことは、特に本田君なんかよく考えたみたいでしたね。
美芽.
私はアンサンブルの中では、「CIAO!!!」が一番印象に残ってるんですけど。
則竹.
あれ面白かったね。(笑)間違えましたけど・・・
美芽.
えっ!?そうなんですか??
則竹.
仙波さん・・・あんなフィルやられちゃうともう、わかんないんだなー。
美芽.
演奏なさる前に、須藤さんが「この曲は難しいから、気合い入れて演奏します」み た いなお話が須藤さんからあって、こっちも気合い入れて拍子をとってたんですよ。でも 、途中でだんだん拍がなくなっちゃったじゃないですか。私、則竹さんはこんなときど うしてるんだろうと思って、見たら・・・とっくにもう、拍とるのやめていらして・・ ・
則竹.
もう、あきらめてました。(一同爆笑)っていうかね、まあ、ブレイクがあって、ブレ イクがあって、ブレイクがあって、っていう曲の真ん中へんで、そういうセクションが あったと思うんですけど、ブレイクの間の中で、仙波さんが自由にフィルをやるってい う、パートなんですね、そこは。・・・で、最初はインテンポでやるっていう予定で、 で、最後のブレイクのところだけ、仙波さんのまあフェルマータというか、で次に入る っていう約束だったんですけど。その最後から2番目のところでもう仙波さんはその、 わざとリズムをかく乱するような・・攻撃に出たんで、(笑)「あ、もういいや!」と 思って。「誰かが出たら続けよう。」みたいなところで。(笑)うん。
美芽.
やっぱり打ち合わせ通りにやっていた訳ではなかったんですか。
則竹.
まあ半分打ち合わせ通りこっちもわかってたんですけど。
美芽.
ちょっと打ち合わせと違う部分も・・・。
則竹.
うん。もうもちろん、仙波さんはねえ、必ず何かやってくれますから。
美芽.
大ウケで、もう爆笑させていただきました。
則竹.
面白かったね。
美芽.
ぜんぜん話が飛ぶんですが、衣装が素敵だったんですけど、あの衣装はどこから・ ・ ・もっていらしたんですか?
則竹.
あれはねえ。あのー・・・自前ですよ。
美芽.
どこかで・・・ご自分で買っていらしたのですか?
則竹.
あれはねえ。・・・まあ、自分で買ってきたということにしましょうか。(笑)
美芽.
奥様が買ってきたとか。
則竹.
あれはね、マクレガーなんですよ。マクレガーって僕中学ぐらいのときに流行ったんだ けど。久しぶりにマクレガーっていうあの商標を見て、面白いの買ってきたね。」「ス テージ用にどう?」って。で、いつもだと、Tシャツ着て上から着るんですけど、たま たまその・・・夜、「買ってきたよ」って渡されたもんだから、そのまま裸の上にお風 呂上がりに着たら、「そのほうがいいかも。」みたいな。
美芽.
会場から、「フィリップ!!」という歓声が上がってましたね。(去年の野音ライブ のゲストのキーボード奏者、フィリップ・セス氏の衣装と同じ、白のベストに白のズボ ンででスーツになっているもの。須藤氏がMCで「今日のノリちゃんの衣装は、去年の フィリップの衣装と同じです」と紹介した)
則竹.
いや、(フィリップ!と)言わせたって話もありますけど。(笑)フィリップ・・・私 、好きでねー。憧れるんですよ、あの人に。いろんな意味でね。ミュージシャンとして もね。まあ、そういうのが自分でも気づかないうちにあの服を選ばせてたんでしょうね 。(笑)
美芽.
ベストがお好きってあちこちでおっしゃってますよね。それで選ばれたのかと思っ て ましたが・・・実は、伊東たけしさんがほとんど同じデザインの衣装で昔のビデオに写 ってたのを最近見て驚いたんですよ。ご存じでしたか?ぜんぜん雰囲気は違いますけど 。
則竹.
ああ、言われてみて「ああそうかな」と思い出しましたね。まあ、衣装もみんないろん なパターンもう出尽くしちゃってるからね。まあ、あんまり光り物っていうんでもない し・・・僕の場合。まあ、ストちゃん(ベースの須藤 満)がちょっと、今度新しく方 向性を打ち出すらしいですけど。(笑)なんか、髪型も変えたみたいだし。
坂本.
衣装はねえ、則竹くんの場合ドラム叩かなきゃいけないから。どうしても制限 あるよねえ。
則竹.
そうなのよ。
坂本
こーんな(といってジュディ・オングのまねか、脇の下にヒラヒラがついてるジェスチ ャーをする)の着れないよね。
則竹
着れない着れない。靴も好きなのはけないし。ドラム・シューズですから。でも、気に 入ってる衣装着てやってるときは、気分いいですよね。どうしても気に入ってない衣装 だと・・・。
美芽.
気になっちゃうっていうか。
則竹.
気になっちゃうっていうか。まあ、できれば、気に入ったの着てやりたいですよね。
美芽.
でも、なかなか気に入るの探すの大変ですよね。
則竹.
そうですね。
美芽.
そこで、奥様が活躍なさるわけですか?
則竹.
いやいや、もう、ほとんどカミさんはそんなことしないんですけど。たまたま、なんで すよね。そうそう。うーん。昔は自分で1日かけて、こう・・・渋谷とか原宿とかでね え、探しましたけどねえ。もうざっと歩くだけでねえ、あの・・もう疲れちゃうんです よ。で、けっこう洋服屋さんによってはしつこく「これ似合いますよ」(ヒソヒソ声) とか来るじゃないですか。(笑)「あっすいません・・・無理しなくていいです」って いう感じで、・・・気に入ってないのに買っちゃったりね。ダメなんですよ、床屋さん とね、洋服屋さんって、苦手なんですよ。
美芽.
則竹さんは、美容院派なんですか?
則竹.
本当は!!理容室が好き。あの、いろいろしてくれるでしょ。顔そりとか、耳そうじと か、マッサージとか。うん。それが好きでねー。(注:とってもうれしそう)でもー・ ・・、そう、あと、理容師さんのほうが、ハサミの使い方がこう・・・・どこか、こう 手際いい気がするんですね。美容師さんて、切るの遅いイメージがあるんですよ。僕。 切るのに。理容師さんって、ぱぱぱぱぱっ・・・と、このー・・・(といって、ハサミ をチョキチョキ素速く切る仕草をする)こういう感じがたまらないんですよ・・・。
美芽.
あの音にリズムを感じてしまうというか。
則竹.
そうそうそうそう。うん・・・。
美芽.
だけど、いろいろあって、美容院に行って・・・いるんですか?
則竹.
んーー・・・・行きつけって今ないんですね。前回もだめだったから今回違うところ 行こう、みたいな感じで・・・今だに・・・
美芽.
一時、けっこう髪の毛が茶色っぽくなってたときがありましたよね。だから美容院 に 行かれてるのかな、と。床屋さんってそういうのやってくれないでしょう?
則竹.
あれはうちでやるんですよ。
美芽.
えっ!?(びっくりして、目が点に・・・)(一同爆笑)
則竹.
そうね、整髪料とかつけると黒くなるのね。うん。普通にざばっとおろしてると、まだ 茶色いよね。(突然ここで、則竹氏はカメラ目線でカメラマン向かってにっこりしてく れたが、カメラマンはあまりに突然のことで、ドキッとしてその瞬間を逃してしまった たとか。・・・一同大爆笑)
坂本.
髪の毛って、濡れると黒くなるじゃないですか。金髪の人でも濡れると茶色くなるし。 そういう意味じゃないですか?
美芽.
なるほどー・・・・。えーと、野音の話でしたよね。
則竹.
ええ、すいませんねえ、もう。
美芽.
いえいえ!!あとうかがいたいのは、去年のビデオにミノ・シネルさんと共演なさ っ たのが入ってますけど。私、あれ大好きなんですけど。ご自分ではいかがですか?気に 入ってますか?
則竹.
そうですねえ。まったく、打ち合わせなしで、あのー・・・・。やったんですね、あれ 。で、リハーサルは一度もしてなくて。で、まあ、スクェアって・・・結構ずっと、決 められた・・・っていうか、曲自体の構成がしっかりしてますから、メロディーも強い し、あの、まあ、けっこう最初から最後まで、2時間ないし2時間半のステージ、こう ・・・、ずうっと決められた中で・・・もちろん、おんなじ演奏じゃないけども、まあ 、いつもそういうかたちでやってて。で、せっかくミノさんといっしょ   だから、ドラムとパーカッションのDuoをやらせてほしいって僕が言って、で、 内容に関しては、そこだけ白紙はもうにしておきたいっていうか、だからそこだけとば してリハーサルしてて。で、ミノさんも、本番の楽しみにとっておこうって。だからは じまり方もエンディングもなんにも決まってなくて。(笑)
美芽.
えーーーーーーーーっ・・・・!!!!!(絶句)
則竹.
でも、ぴったり、終わったんですよ!あのとき。あれたぶん初日のほうのがビデオにな ってるんだと思うんですけど。
美芽.
うん、夜ですよね。
則竹.
夜ですよね。・・・ビシッ!・・・・・・って終わったとき、長くもなく短くもなく、 自分で・・・ちょっとびっくりしましたね。もうねえ。だから、もちろんミノさんとい っしょにやるのははじめてだったし。お互いの楽器を通したしゃべりかたっていうのは まったくこう、手探り状態で相手のいうことを尊重しながら、お互いやるっていう。だ から本当にあれは、録っといて良かったなと思いましたね。2日目はもっと・・・いろ んなことになっちゃって。うーん。一日目の方が、なんかこう・・・すごく、旬があっ たかな、って。
美芽.
ああ・・・。じゃ、白紙にしたっていうのが良かった・・・
則竹.
良かったんですねー。
美芽.
私、昼間は学校の先生をしてまして、去年は中学校の音楽を教えてたんです。授業 で 去年の野音のビデオを見せたんですが、生徒はこのDUOが一番印象に残ったようでした ね 。
則竹.
へえー・・・。おもしろいね。やっぱり、打楽器って、わかりやすい、とっつきやすい のかな?みんなの中にあるのかな。
坂本.
わかりやすいんじゃない?
則竹.
ドラムって楽しいもんね。
坂本.
なんか、叩いてるっていうのもわかるし、一生懸命だっていうのもわかるし。
美芽.
そう!!あのとき、すごく必死というか、真剣な、いい表情なさってましたね!
則竹.
あれは、最高に楽しかったですよね。あんな顔してやってますけど、すっごい楽しいん ですよ。何も決めないで、人前で、さあなんかやれる、・・・っていう気持ちってすご いハッピーですからね。もちろんこわいのもあるんですけど。
美芽.
今年のツアーでは、ドラムソロは決まった曲だったんですよね?
則竹.
まあ、骨組みは決まってるんです。今年はまあ、ベースとデュオって形でやったんです けど。メロディーはないんですけど、テーマ部分があって、ブリッジ部分があって、み たいな。一応、あの、骨組みはしっかり決まってるんで。中身は、その時その時でイン プロビゼーションでやるんですけどね。
美芽.
今年は、そうやって何でも好きにやっていいよという場所があんまりなかったこと に なるのですか?
則竹.
うん・・・あの、まあ、ドラムソロは、「ノリちゃん好きなの考えてね」、って感じだ から、まあ、その時点で自由なわけなんですけどね。で、まあ、曲を書くようにドラム ソロパートをつくって・・・という感じですね。そんな不自由なバンドなんじゃないん ですよ。うちのバンドは(笑)まったくなんの段取りもない・・・っていうのはね。ス クエアだとまずそういうのってありえないから。
美芽.
ツアー中の練習は、どのようになさってますか?
則竹.
ツアー中はねえ、まあ・・・戻り日があって・・・中休みみたいなときはうちにドラム セットもって帰るし、ほんとに出っぱなしのときは、そうだなあ・・・自室で、ホテル の部屋でスティック振って、こう、練習パッドでカタカタやってるみたいなことが多い かな。
美芽.
スタジオとって特にやったりとか、そういうことは・・・
則竹.
大昔ですけど、10年ぐらい前に、和泉さんと、当時DATもないからカセットだったと思 う んですけど、カセットにベースラインを打ち込んでつくって、各地でスタジオ・・・ほ とんどヤマハのスタジオだったと思うけど、借りて。二人で入って。それに合わせて、 なんか・・・やりましたね、そういうの。
美芽.
じゃ、やっぱり、ツアー中はホテルで練習・・・みたいな感じなんですね。椅子と か 前に置いてやるんですか?
則竹.
あのね、まあホテルの部屋によってもあるんですけどね。まあ、一番多いのは化粧台・ ・・ドレッサーの椅子があるでしょ。それをサイドにひっくりがえすんです。ベッド側 に向けて。ベッドに練習パッドを置いて、ちょうど高さがいい感じ。
美芽.
それだと結構、イメージトレーニング的な感じですよね。
則竹.
そうですね。
美芽.
音は出ないわけですけど、それでどのくらい練習なさるんですか?
則竹.
その時点でも・・・そのときどきですね。短いときもあるし。でも、調子悪いときはや っぱり、長くやりますよね。何で違うんだろう、なんできのうのステージはああだった んだろう・・・みたいな。そういうときはやっぱり、かなり入りこんじゃいますけど。
美芽.
でも、楽器はなくてもそれはそれで大丈夫なんですか。
則竹.
いや、ホントはやっぱり楽器がないと。・・・つらいですけど。そうですねえ。仮にス ティックがないときでも、イメージトレーニングってどこでもできますから。例えばそ の、そういうのなんていうの?自問自答するっていうかね・・・。で、音楽って、その 、実際リアルタイムで5人が一つのことをやるっていう、すごく不思議なことでしょ。 そういうところから、メスが入っちゃうんですよ。実際自分がやっているときはどこに 意識があるんだろうとかね。そういうこと考えはじめるとこう(両手で視界を狭めるゼ スチャーをする)なってきて。それなりに答えが出ないとね、眠れないんですよ。だか らこう、一生懸命考えるんだけど。それがわかっちゃえば、あとはスティック持ってや るだけですから。だからスティック持ってやってるときは、ある意味で気がらくなんで すよね。スティックなくていろいろ考えるときっていうのは、すごく・・・・つらいで すね。


前書き
Part 1. ニューアルバム「B.C.A.D.」について
Part 3. 則竹氏の音楽的ルーツとミュージックセミナーについて


Interviewd by Mime
Photography by Linda
Copyright 1996 by CyberFusion