Chick Corea & Touch Stone
Live Report




チック・コリア Chick Corea (Piano)
ヒューバート・ローズ Hubert Laws (Flute)
アイアート・モレイラ Airto Moreira (Percussions/Voice)
ティム・ガーランド Tim Garland(Saxophone/Bass Clarinet)
トム・ブレックライン Tom Brechtlein (Drums)
カルロス・ベナベン Carles Benavent (Bass)
オークシー・フェルナンデス Auxi Fernandez

2006.8.24 大阪ブルーノート 2nd set

昨年はエレクトリック・バンドを引き連れて来日したチック・コリアが、今年は最新ユニットのタッチ・ストーンを引き連れて来日した。
タッチ・ストーン名義では最近ライブ・アルバムがリリースされ、昨年のニューヨークでのライブの模様は当サイトでもレポートしているが、そのタッチ・ストーンとはベースのカルロス・ベナベン、ドラムスのトム・ブレックライン以外は総入れ替えになっており、タッチ・ストーンというよりも最新アルバムの「The Altimate Adventure」バンドと呼んだ方が相応しいだろう。

チックのシンセとアイアートの掛け合いから1曲目の「North Africa」が始まる。
アイアートのブラジリアン・テイストのゆったりとしたグルーヴ、チックのエレピ音にテーマ奏でるヒューバート・ロウズのフルートは、初期のリターン・トゥ・フォーエヴァーのサウンドを彷彿されるものがあった。

続いて演奏されたのも1曲目に続いて「The Altimate Adventure」からの曲、「Moseb The Executionor」で、こちらはリズム隊のソロがフィーチャーされてキメのユニゾンがいかにもチックらしくてカッコいい。

3曲目はヒューバート・ロウズが最近リリースした「Plays Bach for Barone and Baker」というアルバムで取り上げたバッハの曲「Siciliano」で、全くぶっつけ本番だったらしくチックは「リハーサルだから」とか「譜面を見ながらかなり難しい曲だ」など散々言い訳をしてから始まった。ほぼ全編、フルートとピアノのデュオの曲で、チックが譜面にかじりつきながら鍵盤をなでるように弾いていたのはご愛嬌だったが、フルートの美しい音色は、この楽器の第一人者ロウズならではと思わせるものだった。

後半は女性フラメンコ・ダンサー、オークシー・フェルナンデスが登場し、フラメンコ・ダンスやタップを披露する。(曲は同じく「The Altimate Adventure」からの「Planes Existence」だったと思うがちょっと記憶があいまい。)
オークシーの真っ赤のストールを拡げて、両手を上に拡げたキメのポーズは見事で、観客の注目を独り占めにし、このときばかりはチック・コリア・バンドは完全に彼女のバック・バンドと化していた。

アンコールの1曲目はジョビンのナンバーでゆったり目に流し、そして2曲目はおなじみのアランフェス協奏曲とともにオークシー・フェルナンデスが再登場する。踊りがあるだけにピアノとフルートで奏でるアランフェスはかなりのロング・ヴァージョンだった。 そしてオークシーがステージを降りていくとともにスペインのテーマに入っていく。
アランフェスからスペインへの繋ぎはいつもお馴染みのキメのフレーズが入っているのだが、この日はキメなしでスペインのテーマに流れていくような新アレンジになっていた。この曲では観客は当然のごとく大喜び、客席との掛け合いも恒例通りで、この日のステージは幕を閉じた。

ダンサーを加えるというエンターテイメント性の高い新機軸とそして何よりも旧友、アイアート、ヒューバート・ロウズとの競演で乗りに乗ったチックの演奏が非常に満足度の高いこの日のステージだった。
また今回の来日ではそのまま東京JAZZ2006にも出演し、オーケストラや上原ひろみとの競演も予定されており、そちらも楽しみだ。 (橋 雅人)




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