2007 Best Albums
セリエJ

2008年おめでとうございます。フュージョン界は相変わらず冬の時代ですが、年末年始にかけてちょっと面白い出来事がありました。@大みそかの紅白で寺尾聰が26年振りの出場で唄った「ルビーの指環」。このバックがすごかった。井上鑑、山木秀夫、今剛、高水健司らレコーディング通りのメンバーで(26年前も同様に錚々たるメンバーだったが)、演奏では特に今氏のバッキングギターが目立っていたような(笑)…。A女優松たか子の結婚相手が、何とギターリストの佐橋佳幸氏だって!・・・芸能人には疎い私ですが、このときばかりは周囲の誰もわけわからず、私ひとり驚きまくっていた次第です。
 ということで、私の2007年ベストアルバムです。今回はかなり渋めの選択になってしまいました。

Nils「Ready to Play」

 日本での知名度はまだまだですが、彼の作品は本場スムースジャズシーンでは結構聴かれているようです。2007年リリースの本作は、昨今多くのスムース系作品がアルバム内でヴォーカル曲を必ず何曲か取り入れているのに対し、あくまでもギターインスト曲で勝負といった、結構硬派な(?)姿勢が垣間見られます。ギターはチャック・ローブやノーマン・ブラウンらの影響を感じますが、わかり易いメロディーとよく唄うソロで、日本人にも好まれる作品だと思います。

梶原順「EVER」

 彼は私と同世代で、しかも同じ愛知県出身(といってももちろん何の面識もありませんが・・・笑)なので、常々注目していたギターリストの一人です。今回満を持してのソロリーダーアルバムはこれまで多くのセッションワークで得たノウハウ、人脈をいかんなく投入した力作となっています。キャラクターの異なる2枚のディスクを1セットとしたアイデアも面白いですが、とにかく、ジャンルの枠を超えた多彩なプレイが聴き物で、まさに「フュージョンしてる」作品になっています。

小沼ようすけ「Beautiful Day」

 彼はこの世界では毎年アルバムを出すことが出来る貴重な存在です。今回はいわゆるコンセプト・アルバムというべきもので、「休日の海でのサーフィン」というリラックスしたイメージのテーマでありながら、内容はトリオ編成の非常に高い緊張感を持ったものです。ジャケット写真など爽やかでちょっと軽めな雰囲気ですが、実は通をうならせる濃い内容です。

芳野藤丸「Lonely Man in a Bad City」

和製ポップス界ではよく知られたベテランギターリスト/ヴォーカリストの久々の新作と思って聴いてみたらビックリ、これは彼の長いキャリアの中でも初のギターインストアルバムです!(ヴォーカル曲も少しあり。)ギターはベンチャース、シャドウズ系のちょっと懐かしい音色で、ブルースフィーリングたっぷりの渋い演奏を聴かせてくれます。彼はさすがにAORで鳴らしただけあって、インスト曲でもメロディーの良さが持ち味です。

伊東たけし「Mellow Madness」

 ブラックミュージックのカバーを中心とした作品。基本的にはスムース系に区分されるべき作品ですが、実際にはファンクっぽいテンションの高い曲が多く含まれています。このところT-スクエアではハードで若々しい演奏が中心ですが、ソロでのこういった大人のプレイもまた捨てがたいですね。「Me and Mrs. Jones」など、チキンシャックの土岐英史氏のプレイと聴き比べてみるのも興味深いです。




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