2005 Best Albums
セリエJ

昨年も様々なフュージョン作品を聴きましたが、昨今、フュージョンのCDというのはよほどの有名盤は別にして、大都市の大手CD店にでも行かない限り入手できない例が多々あります。私のような地方在住者にとっては、結局、最近では店頭での入手をあきらめ、もっぱらAmazon等の通販に頼らざるを得なくなってきました。今では通販の方が、情報量は豊富だし、待つ時間さえ我慢すれば、よほどマニアックなものでも製造されている限りは入手出来るので重宝しています。しかし今にCD店(レコード店)というのは絶滅してしまうんじゃないかと思ったりもしています。少なくとも、絶滅危惧種には近いところに位置する業種なんじゃないでしょうか?

 さて、2005年ベストアルバムです。昨年聴いた中で印象強かった作品ですが、どうも今回、ギター物にだいぶ偏ってしまいました。他になかなか印象強いものがなかったのが残念でしたね。

Lee Ritenour「Overtime」

昨年の目玉盤の一つです。同窓会的内容とも見られますが、このアルバムを通して聴くと、何はともあれフュージョンギターのスタイルがここにほぼ集約されていることがわかります。これはすごいことだと思います。「キャプテン・フィンガース」のようなハードなプレイも、現在でもやれば出来るじゃない!という感じですね。なお日本盤ではボーナストラックに「キャプテン・カリブ」も収録されています。

Rippingtons「Wild Card」

非常に内容の濃いアルバムです。ラス・フリーマンのギター、エリック・マリエンサルのサックスを中心に、ラテンあり、ヴォーカルあり、従来型フュージョンありと、カラフルで飽きのこない内容で、特に夏に聴くとピッタリです。彼らの底力を認識した一枚でした。

Jeff Golub「Temptation」

あのポール・ブラウンのプロデュースですが、個人的にはブラウン本人のアルバムより気に入りました。とにかく、あまり余計なことをやらずギターを弾くことに徹しているようです。スムース系のフォーマットはそのままですが、若干、泥臭い部分も残されており、内容的には、ちょっとフュージョンっぽいスムースジャズといったところです。

松岡直也「Sincerely」

昨年末に出たばかりのニューアルバムです。村上ポンタ秀一(ds)、土岐英史(sax)、渡辺香津美(g)などのメンバーが豪華! 土岐、渡辺の両名には、それぞれをフィーチャーした曲も用意されています。全体的に、かつてのWesingを連想させる、爽やかで軽快な曲が中心です。大ベテランの若々しい一枚、というところでしょうか。

Rick Derringer「Free Ride」

ロックンローラーの作ったスムースジャズアルバムです。ジャケットが、不気味な刺青をした血管の浮き出た手がギターを弾いてる写真で、お上品なスムース系ファンは引いてしまうでしょうね(笑)。しかし内容は悪くないです。確かなテクニックを持っており、オクターブ奏法も軽やかにこなしています。ただやはり、どことなくロック・スピリットみたいなものを感じてしまう、ちょっと異色な作品です。

吉田次郎「Made in New York」

彼は、いわゆる“ジャズ”ギターリストで、これまでの作品もスタンダードをベースにしたものが中心ですが、従来の枠にとらわれない自由な発想のプレイが持ち味のようです。本作はフュージョンの香りも感じるアルバムで、一枚のアルバムの中で色々やり過ぎている嫌いもありますが、優等生的ジャズとは違う、骨太でひとひねりある内容はなかなか聴き応えがあります。

T-Square「Passion Flower」

このところメンバーの動きが多かった彼らですが、この作品から新メンバーとなりました。内容は、安藤・伊東の2人ユニット時代を引き継ぐような感じで、どちらかというと落ち着いた大人の味を感じさせるものです。本アルバムのような作品は、個人的にはいいと思いますが、古くからのファンは若干物足りなさもあるのかも?



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