2004 Best Albums
久保智之

 2004年のインターネットと音楽に関する動きですが、いよいよiPodやiTunesといった考え方が世間に浸透してきたようですね。
「CCCD等のコピーガード付のCDはiTunes等に取り込めなくて不便」ということで、その手のCDが徐々に無くなってきているようです。確かにアルバム作りはもっと本質的なところで勝負していってもらいたいです。

 2005年はオンライン・ストアの出現などがあると思うので、次は「日本盤ならではのボーナストラック」等の考え方も変わってくるのかな?? ん〜大変だ。

 さて、今年はなぜかライブ盤が多くなりました。2003年のジョアン・ジルベルトのライブを体験してから、ライブの良さ、凄さをあらためて感じて来ているのかもしれません。

John Beltran「In Full Color」

2004年も一番聴いたアルバムはJohn Beltranかもしれない。雨の中を歩いていて、ランダム演奏させているiPodが「Rain In Shibuya」を選曲してくれた日なんぞは、雨で足元がぐじゅぐじゅでも気分は最高になるのでした。「Kissed By The Sun」もとっても良い曲です。

Incognito「Adventures in Black Sunshine」

メイザ・リークも戻ってきて、サウンドも「Positivity」とか「Tribes, Vibes & Scribes」あたりの元気な頃に戻ったような感じ。こういうサウンドはやっぱり好きだなぁ。「バンド」感覚に溢れる、乗れる一枚です。

Toninho Horta「Com O Pe No Forro」

トニーニョの久しぶりの新作。待ってましたのトニーニョ・ワールド炸裂です。たまりません! 今年はライブ向けに来日してくれそうな気配なので、もっともっと聴きこんでその日を待とうと思ってます。

Azymuth「Brazilian Soul」

ブラジルのフュージョンバンド「Azymuth」のデビュー30周年記念アルバム。メロウで心地良いサウンドは健在。ローズ・ピアノ系の音を中心にしたとろけるメロディにどっぷりと浸った2004年でした。

Joao Gilberto「in Tokyo」

2003年の東京でのライブをほぼ未編集で収録したもの。アルバムのコンセプトとしては、普通のライブ盤とかなり趣が異なるかな、と思ってます。個人的にも楽しむのがとても難しいアルバムだと思ってますが、鑑賞手順としてはまず「ライブ当日のあの空気を想い出すためのきっかけ」としてちょこっと聴いて、その後十分に空気感を思い出した後にもう一度頭から全てを一気に聴く。聴く時は当然正座相当の姿勢で。という感じです。以上手順を踏むと泣けます。(でもライブを観ていないとちょっとつらいかもしれない)

Jesse Van Ruller「Live at Murphy's Law」

Jesse Van Rullerの初ライブ盤。静かに控えめにオーソドックスなスタイルで聴かせながらも、演奏内容は非常に濃い。グイグイとその世界にひきこまれます。

John Scofield「EnRoute」

ジェシと同じくライブ盤。しかしこちらは静かでもオーソドックスでもなく、のっけからウネウネのジョンスコ・ワールド全開。だけどやっぱりこれが気持ちいい!

Brad Mehldau「Live In Tokyo」

美しく、また緊張感に溢れる演奏です。聴く時はこちらも相当気合いを入れておかないとノックアウトされます。

Keith Jarrett Trio「The Out-of-Towners」

だんだんフュージョンから離れて来てますが、これもやはり外せないですかねぇ。「意外さ」のようなものがあまり無いようにも思いますが、この安定した世界観はそれはそれで嬉しいです。



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