Tokyo Jazz 2013.9.8 Night Session
J A Z Z   H E R I T A G E
ai kuwabara trio project
桑原 あい(p)、 森田 悠介(b)、 今村 慎太郎(ds)
photo by (c)中嶌英雄/(c)Hideo Nakajima (c)TOKYO JAZZ FESTIVALphoto by (c)岡 利恵子/(c)Rieko Oka (c)TOKYO JAZZ FESTIVAL

 次世代のJazzを育てるということか、今年もニューフェイスが登場した。
若い女性ピアニストのトリオ演奏である。少し前にラジオで聞いたが、ライブが楽しみだった。

演奏は凄く若さの出た演奏だ。
テクニックはすごい・・・ピアノであれだけ指がよく動くと感心する。
ドラムも手数が多く、思いのたけを叩きつけるような、ドラミングだ。
ベースはエレクトリックだが、意外に渋くサポートしている。
テイスト的にはRockに近く、あたかも持てる力を出し切る、すがすがしさすら感じる。

それに反して、音楽(JAZZ)としては、・・・・・いまいち、わからないのが正直なところ。
きっとそれは可能性として、また後に変わっていくのではないかと思う。
また一人、これからどうなるか楽しみなピアニストが登場したのだ。

1. 35seconds of music and more
2. "Into the Future or the Past ?"
3. Riverdance
4. METHOD FOR...
5. from here to there
6. BET UP
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Bob James & David Sanborn Special Session
featuring Steve Gadd, James Genus, Larry Carlton, Hiraly James, 小曽根真
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ボビー・マクファーリンが病気のために来日中止。
残念なことではあるが、それに変わる素敵なステージが用意された。

昼の部にも出たボブ・ジェームス & デヴィッド・サンボーンのカルテットの演奏。
本来ならば昼だけしか登場しないカルテットなので、夜の部の観客にはまたとないプレゼントだ。
むろん、昼夜に連続して聞いても飽きない、凄く楽しい演奏だ。
昼と違って、スティーブ・ガッドのドラムソロで突然曲が終わるという演出もゾクゾクさせられる。

次にそれまで何の予告もされていなかった小曽根真の登場。
その小曽根とボブ・ジェームスとのピアノデュオで”Don't Worry Be Happy”はまさに全てにおいて一期一会。
この二人のデュオという顔合わせも珍しいし、この曲もJazz演奏というのも聴いたことがない・・・。
また一つ、東京Jazzではその後の伝説になるようなパフォーマンスを魅せてくれた。

そして昼には出ていなかった、ボブの娘ヒラリー・ジェームスのボーカルでのデュエット。
この曲は昨年松田聖子とボブとのデュオで披露された曲。
それを再び、今度は親子デュエット演奏で聴ける・・・なかなかシットリした良い曲だ。

再びボブ・ジェームス & デヴィッド・サンボーンのカルテットには、ラリー・カールトンが加わるという豪華さ。
急なことでリハ不足だろうとは思うけど、それでもここまで出来てしまう一流ミュージシャンのポテンシャル。
それにしてもサンボーン、ボブ、ガッド、カールトンという顔合わせ・・・・こんなの他にあったのか思い出せない。

このステージはまさにハプニングの連続のような、その名の通りのスペシャルセッションだった。
東京Jazzはこういったハプニング率が高いのだが、そのハプニングこそがJazz/Fusionの醍醐味だ。

1. Montezuma
2. Sofia
3. You Don’t Know Me
4. Maputo
5. Don’t Worry Be Happy
6. Put Our Hearts Toghter
7. Comin’ Home Baby
8. Deep In The Weeds
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Chick Corea & The Vigil
チック・コリア(p)、 ティム・ガーランド(sax)、 カリートス・デル・プエルト(b)
マーカス・ギルモア(ds)、 チャールズ・アルトゥラ(g)、 ルイス・キンテーロ(per)
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チック・コリアも東京Jazzには再登場の人だ。
今回は新しいバンドを引き連れて、このステージだけの出番になった。

1曲目は意外にJazzスタンダードの”Tempus Fugit”
この曲はバド・パウエルの演奏で有名で、チック自身も「バド・パウエルへの追想」で演奏している。
当然、チックの過去演奏はアコースティックだが、今回はエレクトリックにアレンジしたものだ。
チックはシンセサイザー、エレクトリックピアノ、アコースティックピアノを自在に操り、バンド全体のカラーや方向性を決定付ける。
ある意味ではチックのワンマンバンドなのだが、チック内の音楽を実現するのには、これだけのメンバーが必要なのだと思う。
興味深いのはギターのチャールズ・アルトゥラのプレイ・・・彼はJazz系ギタリストの範疇のプレイをする。
ギブソンES-335をクリーンなトーンで演奏し、滑らかなフィンガリングはなかなか心地よい。
これまでのチックのエレクトリック路線のギタリストは、全てがROCK系ギタリストだったが、こういうJazz系ギタリストもなかなかフィットする。

2曲目は新作「The Vigil」から"Postals Forever"。
これはチックのシンササイザーが冴えにさえまくり、まさにファンタジーの世界に誘われる。
この演奏は、いわゆる”楽器のかけあい”が聴きどころではないかと思う。
チックのキーボード VS ギターの掛け合い。
同じく、チックのキーボード VS ベースの掛け合い。
そして、ドラム VS パーカッション の掛け合い。
こういう即興部分を聞くと、改めてこのバンドは電化されたJazzバンドということを認識する。
Jazzの電化はRockビートとペアで行われたが、Rock抜きで電化が行われたら、このバンドのようなサウンドになっていだのではないだろうか。

3曲目は新作「The Vigil」から”Galaxy 32 Story”
ドラムソロから始まったこの曲は、3曲目にしてこのステージの最後となり、そしてかなり長い演奏になった。
Galaxy=宇宙は、チックのエレクトリックの原点テーマであり、それをタイトルに冠する場合はそれだけ力作になる。
その慣例どおりに、この演奏は重厚かつ圧倒的で、ステージの最後らしく荘厳に飾った。

全体的にかなりシリアスな演奏で、約1時間のステージでたった3曲という、1曲の演奏時間が長い。
正直にいうと、ちょっと最後に聞くにはしんどかったというのが率直な感想だ。

ただ、ここで聴かれるのはチックの途絶えることの無い探究心であろう。
ここまで多様な活動をしながら、まだ可能性を見つけ、そこに果敢に挑戦するミュージシャンはなかなか他に見当たらない。
若いミュージシャンを揃え、いまだに前進をし続ける、チックの挑戦をもっと見て行きたいと感じた。

1. Tempus Fugit
2. Portals To Forever
3. Galaxy 32 Star 4




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今年の東京Jazzもなかなか魅力あるステージを見せてくれた。
正統的なJazz、Jazz Beyond、新人Jazz、Fusionと多彩だ。
そして、今一番聞きたい「旬の音楽」が聴けたということで、今回も凄く良かった。

Fusionに限って寸評したい。
残念ながら、今年は日本人のFusionバンドが無く、少々寂しく思ったりもした。
ここ数年は日本人Fusionで目玉があったし、まだまだ東京Jazzに未出演の日本人Fusionも数多くいるので、是非とも来年に期待したい。

海外Fusionに関しては、まさに「旬の人」が登場しているので、充実している感じだ。
新譜が出て間もない、「チック・コリアの新バンド」も「David Sanborn&Bob James」も、こんなに早く観られるなんて嬉しい限りだ。
実際のステージも予想を上回るものだったので、非常に満足できるものだった。

少し心配なのは、ボビー・マクファーリンの病気による来日中止だ。
また、 マンハッタン・トランスファーのティム・ハウザーも病気療養のため、代役が来日している。
観ることが出来なかったのは残念ではあるが、はやく回復していただきたいと切に願う。(TKO)



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Reported by TKO

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