国府 弘子 トリオ LIVE Report 


大阪ブルーノート 2000.09.02(土)2nd set 

国府 弘子(pf)
八尋 洋一(e.bass)
岩瀬 立飛 (drums)

 

個人的にはデビューの頃以来15・6年ぶりに生で見る国府弘子のライブだった。当時見たときのドラムは今は亡き日野元彦で、女性にしてはタッチの強い、パワフルなピアノが印象的だった。

近作の「ピアノレター」や「ダイアリー」を聞いてはいたものの、アコースティック・ピアノでのトリオでそれもブルーノートでのライブということで、かなりジャズよりの演奏を想像していたのだが、その予想は完全に裏切られてしまった。編成は確かにピアノ・トリオなのだが、出てくる音はプログレロック、ポップス、クラシックといろいろな要素が織り交ぜられている。その中に当然ジャズ・ピアノのエレメントは散りばめられているのだが、それでいてスタンダード・ジャズはあえてやらない。

今回の大阪ブルーノートでの最終ステージとなった、この日のセカンド・セットはオープニングから、パワー全開で聞かせてくれる。 圧巻はステージ序盤に演奏されたエマーソン・レイク&パーマーの「タルカス」だった。「ダイアリー」に収録されていて、CDでも度肝を抜かれた曲だが、原曲はあのキース・エマーソンがオルガンで演奏しているところを、この曲をアコースティック・ピアノでやってしまうこと自体が驚きだ。ライブではCDでの演奏よりも、よりパワフルに演奏されていて、手数を出しまくる岩瀬立飛のドラム、硬質な音のリフでリズムを繰り出す八尋洋一のエレクトリック・ベースが大音量で鳴っているのに対して生ピアノでも負けずにガンガンに弾きまくり格闘技系の演奏で盛り上げていく。
巨人の松井の応援歌という「Go Go Gozilla」も題名通りパワフルで、それでいて抜けた明るさを感じさせてくれる演奏だった。

またステージではソロでリリカルに演奏されたクラシカルな雰囲気も漂う「スノーホワイト」、ポップなラテン・タッチにアレンジされたビリー・ジョエルの名曲「ストレンジャー」など幅広いサウンドが展開されていき、パワフル一辺倒ではなく様々な面を見せて楽しませてくれる。それでいて変化にとんだサウンドの中にも一貫して国府弘子のカラーがにじみ出ている。

約1時間半があっという間に過ぎてしまったようなステージで、理屈抜きに楽しむことができるような演奏だった。  

またステージが終了した後、サインを求めるファンひとりひとりにかなりの時間を割いて丁寧に対応している姿も印象的だった。 (橋 雅人)


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