Pat Metheny 「Unity Band」 Nonsuch(7559-79615-0) 2012 - U.S.A.  


Pat Metheny(guitar), Chris Potter(sax), Antonio Sanchez(drums), Ben Williams(bass)
  ●骨太いストレート系  ○明るく爽やか系  ○骨太系と爽やか系の中間 
  ○R&B                 ○ブラック系         ○歌物・NAC/AOR 系       
  ○ラテン系(□ブラジル系  □サルサ系        □カリプソ系)           
  ○ユーロ系            ○JAZZ系          ○JAZZとFUSIONの中間系   
  ○ブルース系          ○ロック系        ○スムース系

パット・メセニーの新作はサックスを加えたカルテット編成である。
前作がアコースティック・ソロそしてその前が一人多重演奏のオーケストリオンものだったからバンドもののスタジオ録音としては2008年の「Day Trip」以来4年振りということになる。

フルアコのエレキ・ギターを中心に据えながらも、1曲目の「New Year」ではアコースティック、2曲目の「Roofdogs」ではギター・シンセサイザー、3曲目「Come And See」ではピカソ・ギター、終盤の7曲目ではオーケストリオンを披露し、まさにメセニーのフル・コースを聴くことができる。
完璧なテクニックに裏打ちされた流れるようなフィンガーリング、抒情的なメロディーライン、またその抒情性とは対極にも聴こえる爆発力、どこをとっても完全にメセニーの世界である。
ただ、その完璧性は従来の延長線上の想定の範囲内にあり、新たな驚きはない。

今回の驚きの要素はクリス・ポッターの起用である。
リーダー・アルバムでのサックス奏者の起用はデューイ・レッドマンとマイケル・ブレッカーを起用した1980年リリースの「80/81」以来何と32年振りだ。
(共演物ではオーネット・コールマンとの「Song X」があるがそれでも1985年まで遡ることになる。)
テナーに加えて、バスクラ、ソプラノを披露するポッターだが、演奏の中心は何と言ってもテナーである。
比較的ゆったりとしたテンポのテーマを丁寧に吹き、ソロではシャープなタンギングで細かいパッセージを矢継ぎ速に繰り出してしてくるスタイルは「80/81」のマイケル・ブレッカーのイメージと完全に重なってしまう。
バラードの4曲目「This Belongs To You」や8曲ねの「Then and Now」の演奏は「80/81」の「Everyday (I Thank You)」を彷彿とさせる。

さてこのバンド、ライブでどう発展していくのかが、非常に興味深く楽しみだ。
既に夏から秋にかけてはヨーロッパ・ツアー、アメリカ・ツアーと決まっているようだが、年末にかけて日本にも来てくれるのだろうか。 (橋 雅人)




   
Slow                     Speedy
Light                     Heavy
Mellow                     Hard
Lyrical                     Cool
Melodious                     Out of melody/code
Conservative                     Progressive/Tricky
Ensemble                     Interplay