パット・メセニーの新作はサックスを加えたカルテット編成である。
前作がアコースティック・ソロそしてその前が一人多重演奏のオーケストリオンものだったからバンドもののスタジオ録音としては2008年の「Day Trip」以来4年振りということになる。
フルアコのエレキ・ギターを中心に据えながらも、1曲目の「New Year」ではアコースティック、2曲目の「Roofdogs」ではギター・シンセサイザー、3曲目「Come And See」ではピカソ・ギター、終盤の7曲目ではオーケストリオンを披露し、まさにメセニーのフル・コースを聴くことができる。
完璧なテクニックに裏打ちされた流れるようなフィンガーリング、抒情的なメロディーライン、またその抒情性とは対極にも聴こえる爆発力、どこをとっても完全にメセニーの世界である。
ただ、その完璧性は従来の延長線上の想定の範囲内にあり、新たな驚きはない。
今回の驚きの要素はクリス・ポッターの起用である。
リーダー・アルバムでのサックス奏者の起用はデューイ・レッドマンとマイケル・ブレッカーを起用した1980年リリースの「80/81」以来何と32年振りだ。
(共演物ではオーネット・コールマンとの「Song X」があるがそれでも1985年まで遡ることになる。)
テナーに加えて、バスクラ、ソプラノを披露するポッターだが、演奏の中心は何と言ってもテナーである。
比較的ゆったりとしたテンポのテーマを丁寧に吹き、ソロではシャープなタンギングで細かいパッセージを矢継ぎ速に繰り出してしてくるスタイルは「80/81」のマイケル・ブレッカーのイメージと完全に重なってしまう。
バラードの4曲目「This Belongs To You」や8曲ねの「Then and Now」の演奏は「80/81」の「Everyday (I Thank You)」を彷彿とさせる。
さてこのバンド、ライブでどう発展していくのかが、非常に興味深く楽しみだ。
既に夏から秋にかけてはヨーロッパ・ツアー、アメリカ・ツアーと決まっているようだが、年末にかけて日本にも来てくれるのだろうか。
(橋 雅人)
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Out of melody/code |
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Progressive/Tricky |
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Interplay |
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