Scott Wilkie「More Than You Know」NARADA JAZZ (72438-48990-2-8)2000 - U.S.A.
Scott Wilkie(pf,key)、 Matthew Von Doran(g)、 Paul Jackson jr.(g) 、Eric Marienthal(sax)、 Alec Milstein(b)、 Nathan Brown(b)、 David Derge(drs)
David Owner(drs)、Lenny Castro(per) etc.
○骨太いストレート系 ●明るく爽やか系  ●骨太系と爽やか系の中間
○R&B系 ○ブラック系 ○歌物・NAC/AOR 系
○ラテン系               ( □ブラジル系  □サルサ系  □カリプソ系 )
○ユーロ系  ○JAZZ系  ○JAZZとFUSIONの中間系
○ブルース系 ○ロック系 ●LA系
昨年、彗星のようにデビューした粋のイイLA系のピアニスト、スコット・ウィルキーの2作目の登場です。
既にインタビューでもこの作品に関する情報をお知らせしましたが、1枚目の作品に勝るとも劣らない内容です。
曲を幾つか紹介しながらこの作品のサウンドを紹介します。
まず一曲目の'Sign of the Times'。イントロの幻想的なエレピのリフは泣かせますねぇ。それに続く生ピのテーマは、これまた日本人の琴線をくすぐる様なメロディラインで、きっとお好きな方は大勢いるのでは??この作品は1作目の「Boundless'の路線を引き継いでいます。
二曲目でちょっとびっくり。なんと'The Chicken'をやってます。ベースラインはジャコパストリアのラインとは全く違い、スラップを交えてファンキーなラインです。その上に生ピでテーマを載せています。この曲を生ピでやっているのは、他に思い出せなくて記憶にないんですがいいアイディアだと思います。
ファンキー(死語?)な雰囲気が非常に気に入っています。
それに続くのが、日本のHMVのライブでもやった'NB2000'。これまた、スコット独自のメロディーラインで前作のサウンドを連想させるきれいなメロディです。
面白いのは、テーマのメロディラインを弾き方なんですが、メロディを途中ぶつ切りにしたようなというか、こぶしを効かせているというか、人間の声につ近い様な引き方が面白いですねぇ。インタビューでもお話されたように'NB2000'のNBはNathan Brown(b)の頭文字で彼のフレットレスベースソロが入ってます。
ベースソロの直後のギターのカッティングが右と左に分かれてコンビネーションをとり、それに続くピアノソロはそれまでのファンキーな雰囲気から一転してクールな都会の雰囲気にクールダウンします。この構成のうまさは彼が並みの新人ではないことを証明してます。エッディングに向かう前にもピアノソロが入っていて、やはりこれはじっくり生で楽しみたいミュージシャンだなぁ〜とこの曲を聴いて思いました。
4曲目では、'Rainbow Sheeker'の辺りのジョー・サンプルを思い出させる様な情緒たっぷりのピアノ曲。ピアノの音数は少ないソロなんですが、彼の想いが伝わってきそうなリリカルな演奏です。Matthew Von Doranの生ギターのソロは生ピアノに好サポートしてます。
6曲目の'The Gun Won'では、エリック・マリエンサルのサックスが入ります。ゆったりとしたレイドバック(死語?)した雰囲気で、今のポカポカした陽気にあいます。
青空の下で芝生に寝っころがりながら聴くのにあいそうです。
7曲目の'Fruit Sundwich'では、サルサっぽいピアノのラテン曲。L.カストロのパーカッションが気持ちよく響きます。ちょっと前に流行ったLA系のラテンブームの時に広まったサウンドを思い出します。ピアノソロは出だしは意表を付いた音数が少なく、寡黙な雰囲気。徐々にサルサっぽい雰囲気で盛り上がります。
8曲目はいかにもLA FUSIONというサウンド。エレクトリックピアノのリフに、ハスキーなロングトーンのシンセのテーマがのります。ビートは8ビート系で、TOTO辺りのサウンドっぽい雰囲気です。ここにロックギターが入れば、正統派アメリカンロックなんですが、生ピの静かなソロが入り、イントロとテーマの雰囲気がガラッとリリカルな雰囲気に豹変。このアルバムでの好きなサウンドの一つです。
ラストの10曲目は、彼が15年前に作った'Whale Song'。ピアノソロから入りバックの音が途中から入る徐々的な作品。マリエンサルがソプラノサックスを披露しています。美しいメロディの静かな曲でこの作品のオーラスを飾るエンディングの曲にぴったりです。

全体的にはインタビューで答えたように、エレクトリックサウンド中心の前作より、生ピアノをフューチャーしエレクトリックな部分とアコースティックな部分をうまくミックスして、どちらにもかたよらず場面場面でうまく使い分けています。そして前作は練って作った作品のようですが今回はノリ一発でレコーディングをやったそうで、まさに'The Chicken'なんかは、「一丁やってみるかぁ〜」って雰囲気でミュージシャン同士がその場のインスピレイションでレコーディングした雰囲気が伝わります。
ピアノの作品というとカミロとか以外は、なんとなくフニャァ〜として甘いだけのサウンドを連想してしまうんですが、この人のサウンドはファンキーでビートがしっかり効いていて、骨太いサウンドもあります。何よりもソロが面白いですねぇ。
綺麗なピアノサウンドを聴きたい人も、ガッツあるピアノサウンドを楽しみたい人もどちらも満足させてくれる作品です。
聴きこめば聴き込む程新たな面白さが発見できます。インタビューを読みながら聴くとまた違った面白さが出ます。
脳味噌錯乱級!! 買いっ!!(アスワン)
   
Slow           Speedy
Light           Heavy
Mellow           Hard
Lyrical         Cool
Melodious           Out of melody/code
Conservative                 Progresseve/Tricky
Ensemble             Interplay
\2,390 4/29/2000 at 京都タワーレコード