向谷実 Interview

ライブハウスに出る
美芽.
向谷さんはセッション活動をここ何年かあまりやっていらっしゃらないようですが、ファンとしてはライブハウスで間近で演奏を聴きたいんですよね。
向谷.
僕はそういうのはあまり出たことなかったんで、みんな興味ないのかと思ってましたけど。僕は今度の櫻井君のステージで、一つ気になっているのは本当にバックミュージシャンでいられるのか、本当にコンサート中に一言もしゃべらなくていいのかというのが非常に興味があります。2時間寡黙に通した経験がないんです。途中で発作を起こして倒れるんじゃないかとか。「しゃべりたーい!!」なんていってね(笑)。でもたぶんしゃべるんじゃないかと思いますけど。以前は結構やってたんですよ、セッションも。自分でFMの番組を持っていたときにゆうぽうと公開録音をやったりとか。久保田利伸を呼んだり渡辺香津美さんに出てもらったりね。テレビでも企画もので「MUSIC PARTY」をやったりね。
美芽.
最近というか、今後は。
向谷.
日程的にちょっと辛いかなあ。そうか・・・やっぱりやらなきゃいけないかなと思ったりするんですけどね。話が来たこともあるんですけど、スケジュールが合わないんですよ。クローズにしてるわけじゃなくて、みなさんが想像している以上にお誘いはあったんですけどね。
美芽.
じゃ、今年の11月は貴重な機会ですね。
向谷.
そうですね、来年になったらやらないかもしれないし。ドラムが途中から則竹君になるんですよね。彼は昔のカシオペアの曲は全部知ってるだろうけど、大丈夫なんだろうか(笑)。
美芽.
12月に赤坂BLITZでライブがありますね。
向谷.
そうですね、まだ曲は考えてないですけど。また違うメドレー作るのかな。でも、この前以上のメドレーはないような気がするんですよ。

ここでなんと鳴瀬喜博さんが乱入。
鳴瀬.
まだやってんの!?
向谷.
取材だもん。
鳴瀬.
次の取材入ってますからね、早くして下さいね。(注:冗談)
向谷.
ナルチョってステージのときと変わらないでしょ(笑)。
美芽.
息子さんが菅沼孝三さんの弟子!?
(苦笑)お子さんが菅沼孝三さんにドラムを習っているという噂を聞いたのですが、お嬢さんのほうですか?
向谷.
ああ、息子のほうです。ロックバンドで、スマッパーなんとか・・・。
美芽.
お子さんの音楽教育に関しては、どういうふうにお考えになっていますか?
向谷.
それを話すと長くなっちゃうんだけど、僕がピアノをやっていたからピアノを習わせたりしてみたんですけど、2人とも続かなかったんですよ。それに、普通の子よりもすすみが悪くて。どうしてだろうな、と思って、向いてないんだろうなと思って結局やめましたけどね。今は本当にピッチ(PHS)、ポケベルの世界ですから。(お嬢さんは高校生)。息子のほうはインターナショナルスクールに行ってるので、友達関係が外人が多くてすごく楽しそうにやってるんですよ。うらやましいですね。ライブハウスとか出ちゃって。
美芽.
えーっ!かっこいいですね!
向谷.
かっこいいですよ(笑)。女の子にも「キャー」なんて言われちゃって「うらやましいな、お前」なんて(笑)。
美芽.
ロックをやってらっしゃる?
向谷.
いや、それがこの前「カシオペアの曲を今度やりたい」なんて言い出して「できるわけないだろ」とか(笑)。この前ウェザー・リポートなんかやったりしてましたけど。ませたベースがいて、彼がいろいろジャズの曲とか持って来るんですよ。「やめたほうがいいんじゃないの?」なんて。ベースが上手くて、ドラムがめちゃめちゃで、キーボードはとっかえひっかえで誰だかわかんない。この前どこか姉妹校の女の子がピアノ弾いてたけど、音が出てなかったなあ。
美芽.
息子さんのライブがあると、行かれるわけですね。
向谷.
この前行きました。「原宿ロサンゼルス」(笑)。
美芽.
それにしても、すごいですねー。
向谷.
いや、彼は全然ドライなんですよ、「プロになろう」なんて全然思ってないし。遊びで楽しいからやってるという感じで。もっぱら勉強が忙しいからって勉強をやってますね。すごくいい感じで、僕から見るとうらやましいですよ。趣味としての音楽としては充分なレベルになるでしょう。この前、NHKホールの時にキーボードの横に立たせたんですよ。結構びっくりして、結構鼻高々で(笑)。「どうだ、すごいだろう」。「お父さん、人間じゃないよ!」(笑)とか。結構親としては気持ちいいですよ。プロ野球選手は引退するまでに自分の子どもに試合を見せたいっていうけど、だいたい30代半ばで引退するから子どもは小さくて記憶に残らない。でも、うちは子どもが高校生になってもホームランが打てるわけです。うちではビール飲んで飲んだくれてるけど、ビシッとしてるところも見せられる。そうなると気持ちいいですよ。
美芽.
息子さんはおいくつなんですか。ライブハウスに出るっていっても結構若いような・・・
向谷.
15歳ですけど、そういうのは当たり前の学校みたいですね。この前も夏にアメリカに行って、いろいろ大学のサマースクールに行ったりして、その話を聞くといっぱい教わることがあって面白いですよ。
美芽.
ドラムをやるなら、菅沼孝三さんに教えてもらおうというのはお父さんのほうから出てきたんですか。
向谷.
いや、渋谷のヤマハでドラム習いたいっていったら、たまたま先生が菅沼孝三さんだったんですよ。考えたら菅沼君ともよくイベントとかやってるし。家も近くなんですよ。ミュージシャン同士って結構仲がいいものなんです。そういう意味では非常に普通の世界ですよ。表のきらびやかさと、普段の普通さのギャップが面白い世界でしょうね。
美芽.
ミュージシャンの方って、お会いするとみなさん普通なので驚きました。
向谷.
普通ですよ。だって、ステージみたいに生活してたら病院入っちゃうもん。そうじゃなかったらあんなによだれたらして弾いたりしないです(笑)。そのギャップを、本人が一番楽しんでいるんですよ。ステージの記憶なんてないです。大ざっぱな流れは覚えているけど、何をどうやったかなんて全然覚えてないですよ。例えばあのメドレーの途中に「今日は終わったら何食べようかな」って思った瞬間次の曲に行っちゃうじゃないですか。自分でソロとか、「GOLDEN WAVES」のサビなんか弾いてるときは天にも上る気持ちです。
美芽.
記憶がなくなるほど集中してるってことなんですね。
向谷.
そうそうそう。もうちょっと痩せたいんですけどね。
美芽.
アブフレックスはどうなったんでしょうか。(注:日比谷野音で向谷さんが何度も話題にしていたウエストまわりのぜい肉を落とす健康器具)
向谷.
あれねえ、全然使ってないです。野呂君とか「やめたほうがいいんじゃないの」って言うんだよな(笑)。
美芽.
それでは、今後の予定などを。
向谷.
12月20日に赤坂ブリッツでコンサートやります。その前、11月に櫻井君のセッションに出ますね。去年に較べて今年はライブが多かったな。でも一時期のカシオペアに較べるとたいしたことないですよ。120本やってた時ありましたからね。それから僕の個人としては、トレインシミュレータの第5作、12月17日発売の西武新宿線を出しまして。来年も4作ほど決まってるんですよ。あれの音楽作りもあるし、カシオペアのアルバムも作るので、来年もかなり忙しいですね。(非常に嬉しそう)
美芽.
嬉しそうですね・・・。
向谷.
嬉しいですよ。この歳になってこんなに忙しくなると思わなかったですからね。



Interviewed by Mime
Photography by Wahei Onuki
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