上原ひろみのバンドは超強力になって戻ってきました。
ギターのフュージョンスキーが加わったことで、サウンドにバラエティさが広がりましたね。
ピアノ・ソロではかなり弾きまくっていて、そして指が良く動き、前にも増してダイナミックになっています。
それにドラム、ベースも怒涛のサウンドを繰り広げます。
以前も凄いと思っていましたが更にパワーアップしていて、テクニックやトリッキーなプレイなど技巧の先端を行っている、まさに世界クラスのスーパー・グループだと感じました。

今回はJAZZスタンダードがレパートリーになってますが、スタンダードな雰囲気は微塵もありません。
まぁ、どんな曲を持ってきても、このバンドがぐいぐいと違う次元に持っていってしまうのですけど。
"上を向いて歩こう"のメロディも出てきますが、なにかミスマッチ・・・もしかして狙ったものかも？
ただ、このような演奏ならば、スタンダードでは無く、むしろオリジナルの方が良いかもしれません。

非常に押しの強いサウンドで圧倒されますが、あえて言えば引きが無い感じでした。
しかし、ほんのワンフレーズ、上原ひろみの弾いたドビュッシーがあまりにも美しいこと。
まるで宝石のようなそのほんの数音が、非常に印象に残りました。

この日のトリはミッシェル・カミロ・・・・あの陽気で楽しいラテンなピアノです。
今回の東京JAZZでもいろいろとピアノを聞いてきましたが、トリをピアノ・トリオが務めるのはハービー・ハンコック・トリオ以来ですね。
彼もテクニック抜群のピアノを聞かせてくれるのですが、それが技巧っぽく感じさせず、音楽としてストレートに伝わって来ます。

驚いたのは、何もアナウンスしないで弾き出した非常に速く、息の長いフレーズ・・・・これがどこかで聞いたことのあるメロディ・・・と思いきや、ジョン・コルトレーンのジャイアント・ステップ。
あの曲のコルトレーンのソロを、まるで早回しみたいにカミロがピアノで弾ききります。
しかも、それが歌心いっぱいに・・・・これには参りました。

ライブが始まるまでは、なぜカミロがトリなのだろう？という疑問がありました。
この日の面子を見ても、ネームバリューや話題性の高さからして、別のグループの方がと感じたからです。
しかし、実際にライブを見てからは、やはりカミロがトリにふさわしいと思いました。
どんなに話題性やネームバリューであろうと、結局演奏の中身、つまり音楽で勝負なのですね。

聞いたあとの文字では表せないような爽快感は、他のバンドにはなかなか無い、このトリオならでは。
カミロのトリオは、とても気持ち良くさせてくれる、楽しく、充実したステージでした。

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Photo by Hideo Nakajima/Rieko Oka
Reported by TKO

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