The Brecker Brothers Band Randy Brecker(Trumpet) Michael Brecker(Tenor Sax) Dave Kikoski(Keyboards) Mitch Stein(Guitar) Chris Minh Doky(Bass) Rodney Holmes(Drums) 富士スピードウェイ特設ステージ 2003.08.23 |
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ブレッカー・ブラザーズバンドが再結成ライブを行うというのでマウント・フジ・ジャズ・フェスティバルに行ってきた。場所は富士スピードウェイの駐車場の特設ステージでブレッカー・ブラザーズ・バンドは日が暮れた後、マーカス・ミラー・バンドの後にとりとして登場した。 一昨年あたりはアコースティック・ブレッカー・ブラザーズとしてヨーロッパツアーをしていたようだが、本来のエレクトリックのブレッカー・ブラザーズ・バンドとしては95年以来の再結成、しかも世界でもこのマウント・フジで1回だけのスペシャル・パーフォーマンスである。
メンバーはランディー、マイケルに加え95年のバンドでドラムを叩いていて、その後はサンタナ・バンドで叩いていたロドニー・ホルムス、アコースティック・ブレッカー・ブラザーズでピアノを弾いていたデイブ・キコスキー、ランディー、マイケルのバンドでツアーを回っているクリス・ミン・ドーキー、ドン・アライアスのバンド、ストーン・アライアスでギターを弾いていたミッチ・スタインというラインアップである。 1曲目はランディーの新譜のタイトルナンバー「34th N Lex」から幕をあける。アルバムではロニー・キューバーのファンキーなバリトン・サックスで始まるイントロにマイケル、ランディーが絡んできてホーン・セクションにはデビッド・サンボーンまで加わっていたのだが、ここではマイケルがロニーのパートを吹いていてホーン・セクションも2管となりちょっと原曲の切れ味に欠けていて物足りなかった。マイケルはソロに入ってもこの曲では乗り切れない様子だったが、後から聞いたところによると大音量のエレクトリックバンドは95年のブレッカー・ブラザーズ以来で、ダイナミックスが付け易いアコースティックバンドと違って最初から最大音量で吹かなくてはいけないので調子がつかめなかったとのことだった。
この日のステージではランディーのアルバム「34th N Lex」からこのタイトルナンバー以外にも「Shanghigh」、「Give It Up」と計3曲演奏されており、当サイトのCD Reviewで「34th N Lex」はブレッカー・ブラザーズの新譜であると決め付けたのは間違いではなかったようだ。
2曲目は1975年のデビューアルバムに収録されていた「Sponge」が演奏される。ランディーのトランペットは張りのあるトーンで鳴っていてなかなか好調なようだ。マイケルも徐々にエンジンがかかってきているのが伝わってくる。キコスキーのアコピでのソロもファンキーで気合いが入っている。 4曲目のマイケルのバラードアルバム「Nearness Of You : The Ballad Book」に収録されていた叙情的なナンバー「Nascente」はテーマがランディーとの2管のハーモニーにアレンジされて演奏されていた。ここでのマイケルのソロは秀逸でこの日のハイライトのひとつだったと言えるだろう。続いて演奏された「African Skies」のイントロ部でもマイケルは快調な無伴奏ソロを聞かせてくれた。 「Return of The Brecker Brothers」からのレパートリー「Above And Below」ではロドニー・ホルムスのドラムスが光っていた。以前ブレッカー・ブラザーズに参加していたときよりもリズムの切れ味が鋭くなったような印象を受けた。 そしてその後に演奏されたのが、「Rocks」!筆者はこの曲が生で演奏されるのを聞くのは初めてで、これを聞けただけではるばる富士スピードウェイまで来た甲斐があると思ってしまった。この曲はランディーのバンドでは最近でもレパートリーに入っていたそうだが、マイケルはこの曲を演奏するのは1978年のニューヨークオールスターズ以来とのことなので、ブレッカー・ブラザーズとしてこの曲が演奏されたのは25年ぶりだったということになる。 少々、構成上のミスもあったが、一旦走り出してしまうとあの独特のホーン・アンサンブルのハーモニー、リズムは完璧と言えるものだった。 そして最後をしめたのはお約束の「Some Skunk Funk」。ランディーが「人間が演奏可能な最速テンポで演奏する」と言ってはじめた割には普通のテンポで、入りそこないや、合わせそこないが何ヶ所かあったものの、演奏そのものは圧倒的にパワフルでブレッカー・ブラザーズならではのものだった。
たった1回だけのステージということで全体にリハーサル不足が垣間見えたステージだったが、それでも一旦ドライブ・モードに入って走り出すとアンサンブルのハーモニー、リズムの切れ味、各プレイヤーのソロとどれをとっても超一級品の演奏でフェスティバルの出演バンドの中でもレベルの高さは際立っていた。(実際のところその前に出演したTake6などをゲストに迎えたマーカス・ミラー・バンドでさえもかすんでしまうような迫力だった。)まさにジャズ・フェスならではのスペシャル・パーフォンマンスを、大いに楽しむことができたと言えるだろう。
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