Lee Ritenour with special guest Ivan Lins
Live Report 

 Lee Ritenour(g),
 Ivan Lins(vo,key),
 Alan Pasqua(p,key),
 Dave Carpenter(b),
 Michael Shapiro(ds)

 BlueNote東京 2002.11.16 1st set


今回はお客さんが滅茶苦茶多く、整理券を取るときから長蛇の列。こんなに並んだのは自分の記憶ではパット・メセニーかマイケル・ブレッカーに並ぶ盛況ぶりだ。当然、立ち見が出るような満員状態。人気の高さを伺わせる。

リトナーは1曲目"Module 105"にギブソンES-335で弾き出すと、その1音でグっと引き寄せられてしまった。(友人談・・僕も同感)
ソロも最初から好調で最初から早いフレーズを惜しげもなく弾ききる。
そのソロに続くアラン・パスカのエレピソロ・・は多分シンセのエレピ音であろうが、これもなかなか良く、彼が以前所属したトニー・ウィリアムスLife Time時代を彷彿するエレピ・ソロである。

そしてギターをジャズ・ギターのギブソンL-5に持ち替えての"Little Bumpin"も圧巻。
多分、弦は太いゲージのものが張られているのだろうが、そんなこともものともせず、たやすくJAZZギター・サウンドを奏でる。今回は指使いまでわかる位置で見たのだが、本当にリトナーは簡単そうにギターを弾く。あれはアマチュアがやったら難しい・・・オクターブをあんなにキレイな音はなかなか出せるモノではないはずだが、リトナーがやると本当に簡単そうで、まさにテクニシャンだよなと実感する。

気が付いたらベースのディブ・カーペンターは1曲目はエレキベース(6弦)だが、2曲目のJazz曲では、ボディの無いアップライト・ネックだけのベースを弾いていた。カーペンターにはエレベもアコベもどちらも味がある。さすがピーター・アースキンからアラン・ホールズワースまでと共演歴がある強者・・・・このLIVEでは裏方に徹していたが、たまにソロでその凄さを聞かせる。
特にこの日に演奏された"13"での粘るようなベースはなかなか良かった。

またドラムのマイケル・シャピロもなかなか気持ちよいリズムを叩き、小気味良さが光り、彼もはソロは取ることなく、完全にリズム・サポートに集中していた。

前半リトナーがメインでのハイライトは"Mizrab"であろう。ガボール・ザボの曲とアナウンスでハッとしたが、ザボと言えば超個性的で曲もエキゾチックなギタリストである。ザボの曲は、サンタナやラリー・コリエルもカバーしたことがあるが、リトナーがというと改めて不思議な感じがする。
エキゾチックなイントロを付けたのはザボを意識したのかもしれないが、リトナーがテーマに移ると、もうそこは心地よいメロディになる。そしてリトナーのソロ・・・これがなんとも良い・・・うまく表現できないのが悔しいのだが、本当に聞いていて気持ちよくなるソロだ。
それに続くパスカも今度はアコースティック・ピアノを弾く・・・これが抜群で、さすがピーター・アースキンのピアノ・トリオの要になるだけはあると感心してしまった。

そしてボブ・マーリーに捧げた「a twist of marley」からは"Get Up Stand Up"で軽いノリを聞かせた。そうこう聴いているうちにそろそろイバン・リンスが登場しないかなと期待も高まる 。

そして後半はイバン・リンスの登場である。ステージ右手にマイクとキーボードが設置されてるのは、リンスのためだったのかというのは、リンス登場するまで気づかなかった。
リンスはステージに立つやいなや、キーボードでイントロを弾きだし、"Dinorah,Dinorah"になる。
最初の部分は歌詞を歌わず、リンスのスキャットとリトナーのギターがユニゾンな感じで「Dinorah,Dinorah」という部分とサビだけ歌詞ツキになる、初めて聞くバージョン。
演奏後半は客に「Dinorah,Dinorah」と歌わせようとしたが、今日の客はあまりそれには乗らなかったようで、ついついならばと自分は大声を出した。(後でノドがヒリヒリした。)

今回のイバン・リンスは前回見たときと比べて全然良かった。 声にも張りがあるし、なにかエネルギッシュにも感じた。今回はゲストということで気が楽だったのだろうか? 
リンスが出てきても、リトナーはバッキングにソロに活躍したのだが、なんとなく喰われてしまった感じでもある。でも、こういう音楽が目的であるのは過去のHARLEQUINなどを聞けば明白なので、そのような見方は間違ってるのだろうけど・・。

そしてSHE WALKS THIS EARTH、HARLEQUIN・・・だが、僕としてはこのタイトルでは無く、それぞれSoberana Rosa、Arlequim Desconheicidoなのにと思ってしまう。
リトナーと一緒だから英語タイトルということなのかな? でも、なんか違和感がある。

圧巻だったのは"Harlequin"(Arlequim Desconheicido)だ。
リンスの熱唱もそうだし、リトナーのソロもさえた。しかし、ここでのアラン・パスカはピアノ・ソロを文字通り他の楽器も止めたソロ・パートを持ち、本当に美しく包み込むようなピアノ・ソロを聞かせてくれたのだ。これまでリトナーのバンドでここまでキーボードにソロを与えられたことがあっただろうか? 
そしてリズムが戻ってまたイバンの熱唱からクライマックスに。

アンコールはリトナーのFestrivalから"Latin Lover"。(実はこのCDは未聴で、この曲だけ知らなかった。)
リトナーがギターのフレーズを弾き出した瞬間に、一人で思わず拍手をしたお客さんを近くで見たが、リトナーもどうやらそれに気づいたらしく演奏もノったものになった気がする。
 

結果的にコンサートが終わった後「リー・リトナー・ウィズ・スペシャル・ゲスト・イバン・リンス」というのは、一文付け加えるのが妥当でないかと思った。
それは「フィーチャーリング・アラン・パスカ」という一文である。リトナーのバンドでこれだけピアノが目立つのも珍しい。それにそれだけアラン・パスカも素晴らしかった。

もちろん、リトナーもリンスも言うに及ばず素晴らしかった。
リトナーはアンプにメサ・ブギを使い、ときおりエフェクターでワウ(最近は珍しい!)を掛けてのギターを聞かせていた。特にリトナーは年齢のわりに枯れない・・・ポテンシャルを維持してる気がする。それを軽々しくやってしまうのでイージーに見えるけど、音を聞けばそうではない。それにLIVEが始まってすぐに調子が出てTOPポテンシャルになるのがさすがだ。
ステージ上でもウィットに富み、しょっちゅうメンバーをめくばせしながら笑顔を振りまいていた。

イバン・インスも今回はゲストながら、楽しいプレイを聞かせてくれた。
イントロにちょっと違うフレイズをおりまぜてでリトナーを驚かせたり、パーカッションだとマッチ箱を叩いたりと茶目っ気タップリ。

ある意味で今回のライブはリユニオン的性格をもったものであろう。
ハーレクインから既に17年である。親交がが続いてるとしたら、本当に長い長い親交である。
今回は大阪東京で出演者が違い、東京だけでのユニオンになったが、またこのコンビで新作を出して欲しいと思った。(TKO)
 
 

 

Lee Ritenour in Seattle Live Report(2002/6/15)

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