大阪BlueNote 2000.6.17 2nd Set
Hiram Bullock(Guitar, Keyboards & Vocal) |
それでもドラムスのクリント・デ・ギャノンがヴォーカルをとってジョー・ウォルシュ(元イーグルス)の往年のヒット曲「Rocky Mountain Way」まで飛び出したのには少々驚いた。この曲ではハイラムはステージを降りて会場中を走り回って演奏し、店の一番後ろの入り口付近のカウンターに仁王立ちになってギターをかきむしり、大暴れしていた。客席のテープルの上にのって演奏するものだから、店のウェイター達がハイラムの後を追いかけるようにして、グラスや食器を蹴散らされない様に片づけていたのが、滑稽だった。 印象的だったのはステージが始まって間もなくハイラムがギターの弦を切ってしまったのだが、その途端にハイラムは「Hey Will!」とウィル・リーにラップのような調子で話しかけ、ドラムとベースのみをバックに寿司だのお好み焼きだのといった他愛のない内容のラップの掛合いを2人で始めたのだった。その間にハイラムは新しいギターに持ち替え、ラップの掛合いを終えると何事もなかったのように、元の演奏に戻っってしまった。 あまりに完璧なハイラムとウィル・リーのコンピネーションだった。20年以上の付き合いがなせる技だったのだろうか?(実際のところ初めからそういうアレンジだったのか、弦が切れてとっさにラップを始めたのか、区別がつかなかった。) そしてアンコールは「Do you remember 24丁目Band?」とハイラムとウィルの掛け声とともに、78年のThe 24th Street Bandの1枚目のアルバムの1曲目に入っていた「Shoppin' 'Round Again」で始まった。24丁目バンド時代の音よりも、ラウドで荒っぽい演奏だ。歳をとって荒っぽくなっていくというのも、彼ららしいとも言える。この曲では、ハイラムに替わってウィル・リーが、場内を駆け回り、客席中央のテープにのってベースをブンブン弾きまくっていた。初めから終わりまで、勢いのあるステージで、ハイラムとウィルのユーモアのセンスも随所に見られ、理屈抜きで楽しめるステージだった。 ちょっと気になったのは、ライブ自体はHiram Bullock featuring Lalha Hathawayと宣伝されていた割にはレイラ・ハザウェイの出番がほとんどなかったこと。1曲バラードっぽいのをメインで歌った程度で終始ちょっとしたバック・コーラスのみで、ほとんど存在感がなかった。 (橋 雅人) |