Chuck Loeb Interview


チャック・ローブはスムース・ジャズ界の売れっ子ギタリストで、プロデューサーでもあり、自己の最新作「Listen」も好調だ。古くはステップス・アヘッド出身でもあり、サックス奏者のビル・エヴァンスとのバンドなどハードなフュージョンもこなすオールラウンドなプレイヤーで、ニューヨークを拠点として数多くのスタジオワークもこなしている。
10月末からはプロデュースも手がけたボブ・ジェームスのバンドの一員として来日予定で大阪、東京のブルーノートにおいて、彼のプレイを生で見ることができる。今回は来日直前にニューヨークからメール・インタビューに答えてもらった。

Masato Hashi (以下MH)
最近の活動についてギタリスト、プロデューサーの両面から聞かせてください。

Chuck Loeb (以下CH)
この一年は幸運にもプロデューサーとしてもギタリストとしてもいくつかの大変よいプロジェクトに参加することができたんだ。アルバムをプロデュースしたのはスパイロ・ジャイラ、ボブ・ジェームス、マイケル・フランクス、キム・ウォーターズとガトー・バルピエリ。ギタリストとしてもスパイロ・ジャイラ以外はこれらのアルバムに全て参加している。スパイロ・ジャイラはフリオ・フェルナンデスという素晴らしいギタリストがいるからね。それと「Dizzy's World」というアルバムでDizzy Gillespie Alumus All Starsとも共演したよ。

MH
あなたはここ2-3年、スムースジャズ界で大変な成功を収めていますが、最近のスムースジャズの人気についてどう思いますか?

CH
スムースジャズの流れにのれたというのは、僕にとっては明らかに大変いいことだった。そのおかげで、はるかに多くの聴衆を得ることができたし、アメリカ全土、ヨーロッパ、日本と世界中にバンドとツアーにでて、演奏する機会をもてた。アルバムを作る時は、商業的レコーディングの制約を受けることはわかっているのだけれど、ライブで演奏する時は、もっとのびのびとギタリストとして思いっきりプレイする機会がある。そしてスムースジャズのお客さんもそれを楽しんでくれるよ。

MH
最新アルバム「Listen」では、数曲のリズムトラックを自分でプログラミングなさっていますね。生のドラマーよりも自分でリズムをプログラムする方がお好きなのですか?

CH
どちらも好きだよ。僕は一番最初のドラムマシーンが出た頃からプログラムをしてきたんだ。それにいつも自分でドラムを演奏したいと思っていて、プログラミングが僕ができるそれに近いことだったんだ。 それと、いくつかの曲はプログラミングした方がしっくりとくると思ったんだ。でもいいドラマーと一緒に演奏するのは楽しいし、これからもそうしていきたいよ。

MH
「Listen」の最後の曲で子供のコーラスが入っていますが、アルバムの最後を子供のコーラスで閉めようとどうやって思い付いたのですか?

CH
僕の2人の娘、クリスティーナとリジーのコーラスの先生に、考えてくれるように頼まれたんだ。そしてこのCDを製作している時に、このアルバムのコンセプトは僕が昔の「リスナー」としての時代に戻ってみるというものだったので、子供を入れるということは意味があると思ったんだ。そして、それに刺激されて曲も書いたんだ。

MH
あなたは、時々ポップスの曲をアルバムで取り上げますね。以前のアルバムの「レット・イット・ビー」など印象的でしたが、どうやって曲を選ぶのですか?

CH
選んだ曲はどれも僕にとって特に強いエモーショナルな意味があったものなんだ。大抵はポップスなんだけれど、それは僕はポップス音楽が好きだからなんだ。時には「Rock With You」のようにただ面白さだけで選ぶこともあるけどね。

MH
あなたはかつて、ステップス・アヘッドやビル・エヴァンス(sax)のバンドなどで、ハードなフュージョンを演奏していましたが、最近はそのような音楽は演奏しないのですか?

CH
メトロというバンドで新しいCDを作る予定なんだ。このバンドはPetite Blondeというプロジェクトから発展したハードなバンドだ。それと、ビル・エヴァンスと一緒にPetite Blondeの新譜を作れたらいいなと思っている。

MH
あなたはスタジオ・ミュージシャンとして数多くのセッションに参加していますが、一番印象に残っているセッションはどれでしょうか?

CH
いままで幸運に恵まれて、数が多すぎるくらいなのだけれど、一番誇りに思っているのはアール・クルーにリズム・ギタリストとして頼まれたことだよ。

MH
最後の質問ですが、今後の計画を教えてください。

CH
僕の妻であり、一番好きな歌手のカーメン・クエスタのためのプロジェクトをプロデュースしているところなんだ。それにスパイロ・ジャイラのリーダーでありサックス奏者のジェイ・ベッケンスタインの新しいアルバムと、さっき言ったメトロのプロデュースする。来年は1年かけてアメリカ、ヨーロッパをツアーし、11月には日本に行く予定だ。

MH
どうもありがとうございました。来日公演を楽しみにしています。


チャック・ローブ ディスコグラフィー(from CDNow)
「Listen」CD紹介
Interviewed by Masato Hashi
Photo from Chuck Loeb web site
copyright 1999 by CyberFusion