清水興/NANIWA EXP Interview

J-Fusionの雄、ナニワ・エキスプレスが結成30年を期にライブ、通産10枚目となるニュー・アルバム「30th」、1986年の解散ライブの発掘映像のDVD及びボックス・セットのリリースにと一気に活発に動き出している。

そのナニワのリーダーであり、ベーシストである清水興がニュー・アルバムのことなどを語ってくれた。

NANIWA EXP

ー 3年ぶりのニューアルバムですが、タイトルが30周年記念ということで「30th」、そして86年の解散ライブのDVD、旧作のBOX SETが同時リリースとかなりの気合が感じられますが、30周年ということについての思いはどのようなものがあるのか聞かせていただけますか?

Ko Shimizu(以下Ko):  まあ、間に十数年間のブランクがあっての30周年という事になりますが、休止期間もメンバー全員現役として各方面で活躍を続けてきてくれたからこそ活動再開が出来たのだと思っています。
30年というひとつの区切りに新旧織り交ぜて自分達の軌跡を徹底的に掘り下げてみようという形が、結果として3アイテム11枚同時発売というとてつもない形になってしまいました。このような状況を作ってくれた各レコード会社にはとても感謝しています。

30th初回限定BOX
(Bonus CD+DVD付3枚組)
ー 新作は青柳さんが活動休止ということで4人でのナニワということになっていますが、この辺りの事情を聞かせてください。

Ko: NANIWAはあくまで5人であるべきものです。86年に一度解散した時も5人の足並みがそろわなくなったからでした。
活動再開してからはさすがに全員大人になったなあ、と感心してしまうことも多々ありました。昨年2月に青柳が脱退を申し出た時も、脱退という言葉は簡単に却下されてしまいました。
リキは彼に言いました。「俺達は家族なんや。お前、自分のおかんに明日からあんたの息子やめますって言えるか?」彼が今やりたいことを優先してもらって、またやりたくなったらいつでも戻ってもらおうと思ってます。

ー 4人になったせいというわけでもないのでしょうが、再結成後の「life of music」、「THIS is IT!」と較べると「30th」はアルバムとしてのカラーが統一されていてよりバンドとしての音のまとまりが感じられるように思うのですが、アルバム制作の際にどのように方向性とかカラーとかを考えられたのでしょうか?

Ko: 正直言って、ずっと5人でやってきたわけですから、4人でのNANIWAには当初は戸惑いを感じていました。事実今回ばかりはカナリの長い時間をかけてスタジオでリハーサルしました。
そんな中、30周年記念アルバムを作るにあたって、自分達が今まで愛してきた先人達が作ってきた色んなスタイルに対するオマージュを形にしようというアイデアが生まれました。悪く言えば「なんちゃって」になってしまうのですが、4人のイメージを集約させるにはとてもいい方法でした。様々なモチーフを基にJAMしながら作っていった結果が今回のアルバムです。そういった意味での統一感はあったかも知れませんね。

30th通常盤CD
ー 唯一、異質に感じる曲が「君と僕の渚」ですが、このムード歌謡のような雰囲気と語りは大阪のバンドとして笑いを取ろうとしてるのでしょうか?それともそれ以上の意図があるのでしょうか?

Ko: 我々の世代にとってGSはやはり原点なのです。楽器に触れるきっかけになっているのはやはりGSからでした。その後にウッドストックを体験することになったのです。
笑われるだろうな、とは感じてますが、笑いを取ろうとは思っていません。多分同世代の方々には分かっていただけると思うんですけど。

ー あと7曲目のブルース・ナンバー「B.P.J.P.」、何だったか思い出せないのですが、どこかで聞き覚えのあるモチーフが使われているようですが、何だったでしょうか?
またタイトルの「B.P.J.P.」って何のことですか?

Ko: 何だったか思い出せたら、おのずとタイトルの答えが分かる趣向になっております(笑)

ー アルバム全体を通して清水さんと力哉さんのコンビネーションの生み出すグルーヴ感が今まで以上に心地よく感じるのですが、ベーシストの立場からナニワとしてのノリ、グルーヴをどのように考えていますか?

Ko: 何も考えてませんね。とにかく気持ちがいいって感じてるだけです。特にリキのコンディションは彼の長いキャリアの中で今が最高と断言してもいいぐらいの状態なので、楽しくないはずはありません。NANIWAの場合はバンドですから、やはり信頼関係が他のどのユニットとも比べものにならないぐらいDEEPなわけです。しいて言えばそのあたりがNANIWAのノリやグルーヴの基になっているのではないでしょうか。

伝説のバナナホール解散ライブ

ー 今回は86年の解散ライブのDVDも同時リリースされます。かなり若さと勢いのある演奏だと思いますが、自分達の20年以上も昔の演奏を改めて振り返って見てどう感じられますか?

Ko: やはり若いですね。演奏がよりフィジカルです。余裕無いです。タイトロープの上をエライ勢いで一輪車こぎ倒して進んで行ってるような演奏でしたね。

ー デビューアルバム「No Fuse」が1982年リリースで30周年ということはデビュー前に5年ほど活動されていたことになります。ボーナストラックには当時の演奏が収録されていますが、デビュー前にどのような活動をされていたのか聞かせてください。オリジナル以外のカバー曲なども演奏していたのでしょうか?

Ko: 77年の結成当初は単なるリハーサルバンドでした。クルセイダーズやヘッドハンターズなど当時流行り出してたクロスオーバーもののカバーしてました。やがてライヴにも出るようになって、当時のメンバーで1ヶ月くらい渡米したりして、帰国後ミナミの老舗ジャズ喫茶"DUKE"の金曜レギュラーになって、それからですね、人気が出だしたのは。81年にリキと青柳が加わってからは一気にパワーが加速してデビューにつながったって感じです。
当時の数々のエピソードはSONYからのBOXのブックレットに綴られてます。支離滅裂で面白いですよ。
NANIWA EXPRESS BOX
SONY MUSIC YEARS
icon
SONY時代の旧譜5枚
ボーナスCD1枚(3曲)
84年の名古屋ライブDVD1枚
オマケ:ミュージシャン人生すごろく

ー 30年間ナニワとして活動してきた中で一番印象に残っていることを教えてください。

Ko: やっぱり85年の10月16日、阪神タイガースが22年ぶりに神宮で優勝を決めた時、隣の日本青年館でコンサートしてた日のことですね。終演後そのまま屋上に上って10回の表裏を観戦しました。吉田監督が宙に舞う姿は今でも忘れられません。現実とは思えなかったぐらいです。ってNANIWAと関係なかったっけ(爆)

ー 最後に30年という区切りを超えて今後どのような活動を計画されているのかお聞かせください。

Ko: 夏には去年に続いてゴスペラーズやマーチン達とSOUL POWER SUMMITをやります。
秋口には神戸JAZZ2007のメインアクトとして、古谷充さんのNEIGHBORHOOD BIG BANDとのコラボでNANIWAをビッグバンドでやってみようと思ってます。
30周年記念イベントもやろうとは思ってるんですが、とにかく超多忙でまだプランニングが出来ない状況です。

ー どうもありがとうございました。


NANIWA EXP Live Schedule
Go 4 It Tour 2007@STB139
6月24日(日) Open 17:00 Start 19:00 料金\5,500
STB139電話予約 03-5474-0319
STB139HP予約 http://stb139.co.jp

NANIWA EXP公式サイト

2004年の清水興Interview




Interview by Masato Hashi

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