Mike Stern Interview

22歳のときにブラス・ロック・バンド、ブラッド・スウェット&ティアーズのギタリストとしてデビューしたマイク・スターンは、ビリー・コブハム・バンドを経て、マイルス・デイビスの歴史的なカムバック作「Man with The Horn」でマーカス・ミラーと共に一躍脚光をあびる。

その後ジャコ・パストリアス・バンド(Words of Mouth)、ステップス・アヘッド再結成ブレッカー・ブラザーズなどでの活動とともにリーダー・アルバムをコンスタントにリリースしてきたマイク・スターンは、今や名実ともにトップギタリストの座に君臨していると言えるだろう。

Heads Upへの移籍後第一弾のアルバムとなる「Who Let The Cats Out」でも、マイク・スターンの一聴してわかるロック色の強いトーンは健在で、原点に帰ったかのようなストレートな演奏を聴かせている。

今回はヨーロッパ・ツアー中のマイク・スターンからそのニュー・アルバムを中心にコメントをもらうことができた。


ー あなたの最新作「Who Let The Cats Out?」はワールドミュージック色があった前2作「These Times」「Voices」よりもよりファンキーでブルージーかつジャズ色が強いように思いますが、どのようなコンセプトで制作されたのでしょうか?

M.Stern:  このレコードはどちらかというと僕がライブで演奏しているようなサウンドなんだ。このレコードでは一緒にツアーをしている素晴らしいミュージシャン達を何人か起用した。
またこのレコードでは普段は一緒に演奏する機会がない偉大なミュージシャン達とも演奏する機会を得ることができた。

Who Let The Cats Out
Heads Up HUCD3115
ー トランペット奏者のロイ・ハーグローブが2曲で参加し、キーボード奏者のジム・ベアードは全曲に参加していますが、何年もの間、ライブではサックスを加えた4人編成で演奏していますよね。

M.Stern: ジム・ベアードとは他の仕事をやっていて、彼の演奏とプロデュースのやり方が大好きなんだ。
ロイ・ハーグローブとはほとんど一緒に演奏したことがなかったんだけど、これは僕にとって特別な機会だったね。彼は凄いよ。

ー このアルバムではあなたはリチャード・ボナ、ヴィクター・ウッテン、アンソニー・ジャクソン、クリス・ミン・ドーキー、ミシェル・ンデゲオチェロという現在考えられるうるベストとも言える5人を起用していますが、どのようにそれぞれ使い分けていったのでしょうか?

M.Stern: 彼らは皆、偉大なプレイヤーで独自のサウンドを持っているので、彼らそれぞれのスタイルにフィットするような曲を思い描いていったんだ。

ー ベーシストに劣らずドラマーも凄いですが、ドラマーとベーシストのコンビネーションというのはどのように考えていったのでしょうか?

M.Stern: 時には思いつきでいかなくてはならないよ。このレコードで起用した2人のドラマー、デイブ・ウェックルとキム・トンプソンのことは、今まで何度も演奏したことがあってよく知っていたから、誰が誰と演奏するという組み合わせは変化させていきたかったんだ。キム・トンプソンはミシェル・ンデゲオチェロと1曲一緒に演奏しているけど、もう1曲はデイブ・ウェックルとミシェルが一緒に演奏している。リチャード・ボナも両方のドラマーと一緒に演奏している。だから僕はできる限り組み合わせを変化させていきたかったんだ。

Steps Ahead
Mt.Fuji Jazz Festival 2004

ー あなたがアコースティック・ギターを演奏されているのをライブでは一度も見たことがないし、非常にめずらしいように思うのですが、今回は何故アコースティック・ギターの曲を入れたのでしょうか?

M.Stern: 今までも他のレコードでアコースティックは演奏したことがあるんだけれど、それはサドウスキーのナイロン弦のエレアコだったんだよね。
今回のはヤマハのナイロン弦の本物のアコースティック・ギターでマイクを使って録音している。

ー 去年はステップス・アヘッドの再結成ツアーに参加されていましたが、いかがでしたか?

M.Stern: 大好きな凄いミュージシャンばかりの偉大なバンドだよ。マイク・マイニエリは天才だね。

ー あなたのギター・スタイルはロック色が強くて昔はブラッド・スウェット&ティアーズのようなブラスロックバンドで演奏もされていましたが、子供のころはどんなギタリストが好きで影響を受けたのでしょうか?

M.Stern: 多すぎて言うのは難しいな。何人か名前を挙げるとすると、ジミ・ヘンドリクス、エリック・クラプトン、BBキング、アルバート・キング、バディ・ガイ、ジェフ・ベック、ウェス・モンゴメリー、ジム・ホール、パット・マルティーノ、ジョージ・ベンソンといったところかな。

ー 最近は他のミュージシャンの演奏を聴いたりしますか?

M.Stern: 管楽器奏者の演奏をたくさん聴くのが好きなんだ。より伝統的なスタイルの管楽器奏者やピアニストでジョン・コルトレーン、ソニー・ロリンズ、マッコイ・タイナー、ウィントン・ケリー、ビル・エヴァンスなどだ。僕はギターより他の楽器を聴くのが好きで、そこからアイデアを取ったりしている。

ー 今後の予定を教えてもらえますか?

M.Stern: このレコードのためのツアーをたくさんやるつもりだ。ツアーの日程はhttp://www.mikestern.orgで見れるよ。
しばらくの間はもうレコーディングはしないつもりだ。このレコードの仕上がりを本当に気に入っていて、それをサポートするために時間を費やしたいんだ。
他にはアトランティック時代の全てのレコードが2007年の初めにWounded Bird Recordsから再発される予定になっている。
それとリチャード・ボナ、デニス・チャンバース、ボブ・フランセスキーニとのライブDVDがIn-Akustikからリリースされているということも言っておかなくてはね。

ー どうもありがとうございました。

マイク・スターン公式サイト

「Who Let The Cats Out」CD Review




Special Thanks to Heads Up International
Mike Stern photo courtesy from Heads Up International
Steps Ahead photo by Wahei Ohnuki
Interview by Masato Hashi
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