プリズム 再発プロジェクト インサイド・ストーリー
第3回 作業過程 Part 2(ライブ録音編)
小澤 芳一氏
プロフィール1962年東京生まれ 19歳からアルバイトでディスクユニオンに勤務、その後タワーレコードに14年間勤務し本格的に音楽制作を開始。そこで深町純 & The New York All Stars Liveの初CD化を手がける。
2001年よりユニバーサルミュージック/ユニバーサル-ポリドールにて邦楽制作を担当。「リール121番」
ここからはアルバム「LIVE」にもなった1978年7月20日東京、郵便貯金ホールで行われた実況録音が収録されています。このライブは24チャンネルのマルチトラックのハードを2台交互に回して録音されています。ですので完璧に録音されているものと曲の途中で切れてしまっているものが混在して1公演が成り立っています。
まずこの「リール121」にはリハーサルと思われる4曲が何度かの録り直しも含め、きちんとした形では残っていない状態で入っていました。最初は“LOVE ME”が数分間あり突然“NIGHT PICNIC”が頭から始まります。これはほぼ完璧な状態で録音されていて、最後に誰かが「長いよー」と言っているのが聞こえます。次ぎにギターソロが数秒あって、“風 神”のイントロをみんなで2度程合わせてそのまま最後まで演奏している音源が続き、さらに“DESPERATION PART 1”が途中までとは言え、ちゃんと終わっているのでほぼ完璧の収録としましょう、しかし最後の方はノイズを拾っていますが・・・。最後は“SLOW MOVE”が全編、メンバー達の話し声が軽く聞こえてテープが終了です。「リール122番」
拍手の無い状態から、始まりを知らせる会場のブザーにより観客の拍手と口笛が鳴り響きメンバーが登場です。ギターのチューニングが始まりいよいよ演奏の始まり。「LIVE」にも収録されたテイク“MEMORIES OF YOU〜WHEN YOU WERE GONE”が静かに始まります。続いて“TURTLE’S DREAM”今回「LIVE」のボーナストラックとして収録しました。次ぎは“DESPERATION PART 1〜OPEN MIND〜DESPERATION PART 2”この楽曲は4分ほどでテープが終了。全体的に曲間での観客の反応はとても静かで、おとなしく聞いている、と言うより、その圧倒的なテクニックに観客も声が出ないと言った感じでしょうか!曲間もとても短いです。
「リール123番」
前のテープですぐに終わってしまった“DESPERATION PART 1〜OPEN MIND〜DESPERATION PART 2”の最初から始まります。この曲も「SECOND THOUGHTS / SECOND MOVE」のボーナストラックとして収録しました。続いて“SLOW MOVE”“PRISM”と2曲連続で演奏。両曲ともアルバム「LIVE」に収録されています。更に“風 神”の途中まで。
「リール124番」
和田氏によるゲストの紹介から始まり、久米大作氏、佐藤康和氏の参加が告げられます。そして“風 神”が始まります。このテイクはオリジナルの「LIVE」に収録です。またまたギターのチューニング。闇のような静けさから、和田氏の「森園君を迎えて」の言葉で会場は大声援です。和田氏の曲紹介で“MORNING LIGHT”が始まります。最初のソロ・パートを弾く森園氏の音が心地良いです(今、私は2ミックスと言う形でバランスだけ取った2チャンネルで音を聞いているからかな?とにかく素の音)このテイクはオリジナルの「LIVE」に収録です。次ぎは“NIGHT PICNIC”ここから伊藤幸毅氏を和田氏が呼びます。このテイクは「PRISM III」にボーナス曲として収録。何度聴いても和田アキラ氏のカッティングが気持ち良い曲です。曲が終わったと同時くらいにテープが終了してしまいます。ちなみに伊藤氏ちょっとだけミスってます(笑)CD化に際しては編集しました(笑)
「リール125番」
和田氏による3曲連続の曲紹介。“SUMMER AFTER NOON” “BREATH OF LIFE”“BENEATH THE SEA”が演奏されます。“SUMMER AFTER NOON” “BENEATH THE SEA”の2曲がオリジナルの「LIVE」に収録。3曲目が終わるとほぼ同時にテープも終わります。
Prism Live Buy CD 「リール126番」
“BENEATH THE SEA”のラスト1分くらいからこのテープは始まります。曲終了から今回「LIVE」に付け足した、渡辺健氏の長〜いMCが始まり、そのまま“LOVE ME”へと続きます(今回の再発「LIVE」を聞いてもらえればそのままの状態で聴けます)この日は雨だったんですね!!
*次ぎのテープからは1978年8月31日に行われた愛知文化講堂での収録です。全体的にテープの繋ぎが悪く、1本のテープにちゃんと曲が収まっているのが少ないです。当時の技術的なことを考えると名古屋公演の収録曲が少ないのもうなずけます(鈴木徹氏の不在も影響があると思いますが)曲順は東京公演と全く同じです。
「リール127番」
始まる前の静けさが長く、メンバーが登場してもパラパラと軽い拍手のみです。名古屋の皆様はおとなしいのでしょうか?“MEMORIES OF YOU〜WHEN YOU WERE GONE”で始まりです。何かのアンプのノイズを拾っている様で始めの1分くらいはかなりうるさいです、特にエレピ1本ですからね。このテイクはどのアルバムにも未収録となっております。結構演奏が違ってたりするんですよ!ん〜東京公演に比べると出来は良くないです、まだ体が動いてないのでしょうか?続いて“TURTLE’S DREAM”“DESPERATION PART 1〜OPEN MIND〜DESPERATION PART 2”です。この2曲はオリジナルのライブに収録されています、が、若干のダビングがされて収録されています(ダビングは他にあんまり無いんですけどね)ちなみに“DESPERATION PART 1〜OPEN MIND〜DESPERATION PART 2”はCUE SHEETでは新曲と表記してありました。
「リール128番」
“DESPERATION PART 1〜OPEN MIND〜DESPERATION PART 2”が「リール127」では途中で終わっているため、PART2の途中からこのテープは始まります。ライブアルバム収録の際は繋ぎ合わせたのでしょう。それくらいの繋ぎは当時でも簡単でした。
演奏終了後は和田氏の曲紹介です。そして次ぎは“PRISM”と間違って曲紹介の後、改めてサックスの白尾氏とパーカッションの佐藤氏を呼び寄せます。曲は“SLOW MOVE” 続いて“PRISM”がすぐにスタート。“SLOW MOVE”“PRISM”共にこのテイクは今回の再発にも未収録です。ここで軽くメンバー紹介、ステージ向かって左から紹介を開始、佐山氏、「今日は右利きの人がドラムに座っている」と紹介され村上氏、渡辺氏、和田氏自分を紹介。キーボード久米氏、パーカッション佐藤氏を紹介して次ぎの曲“風 神”に行きます。曲の途中でこのテープは終了。「リール129番」
“風 神”が頭から収録。このテイクは今回「LIVE」のボーナストラックに収録しました。かなりの出来です、とにかく素晴らしい!終了後、和田氏の紹介で森園氏登場!“MORNING LIGHT”が始まります。このテイクも未収録です。曲間でポンタさんおかず打ち過ぎです、そのままテープは終了。
「リール130番」
伊藤幸毅氏を紹介。“NIGHT PICNIC”始まりのカウントする声が聞こえます、多分ポンタさんでしょう!?曲終了後軽い和田氏のMC「この辺でそろそろ8時も回ったんで最後に凄く面白い事をやろうと思うんでね!」と次ぎの3曲を紹介して、「佐山君に拍手を」で曲が始まります。“SUMMER AFTER NOON”“BREATH OF LIFE”“BENEATH THE SEA”を演奏。このテイクは“SUMMER AFTER NOON”はアルバムに未収録、“BREATH OF LIFE”はオリジナルの「LIVE」に収録、“BENEATH THE SEA”は今回「SECOND THOUGHTS / SECOND MOVE」のボーナストラックに収録しました。テープは3曲目途中で終了。
「リール131番」
“BENEATH THE SEA”の頭から始まります。しかし名古屋公演は後半に行くにしたがってかなりハイ・テンションな演奏が繰り広げられます。テクニックの競い合いをしているようなほんとスリリングな演奏です、実際にこのライブを見た人を羨ましくて仕方ありません。演奏者全員の名前を紹介し“LOVE ME”へと続きます。もちろん東京公演同様、久米氏のエレピをバックにメンバー全員の紹介があります、そして“LOVE ME”の途中でこのテープは終了です。
「リール132番」
このテープで名古屋公演でのライブ収録は終了です。
“LOVE ME”の頭途中からこのテープが始まります。このテイクは「LIVE」のボーナストラックとして収録しましたが、MC部分のみカットしました。以上がライブのマルチテープの全てです。音で聞かせられない分出来る限り雰囲気をお伝えしましたが如何だったでしょうか?
今回の再編集に際しては各アルバム収録時間目一杯(79分57秒)を目指し、アウトテイク、ライブテイクをより沢山と思い作業しました。ライブに関しては途切れているものをPro Tools上で繋げ、何の遜色も無く再現し収録しました。しかし曲の時間配分や「LIVE」の様に曲順等がそれを許さなかったりと色々苦労させられました。ボーナストラックとオリジナルアルバムの関連性なども考慮に入れながら最善を尽くしたのが今回の再編集です。ぜひお楽しみ下さい。by 小澤 芳一
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