杉山泰のLAレコーディング日記 Part 3
連載形式でお送りしている、ピアニストの杉山泰のLAレコーディング日記ももう第3回目です。今回はいよいよベースのエイブラハム・ラボリエル、ドラムのヴィニー・カリウタを迎えてのレコーディング本番初日です。
Part. 3 Recording The Day One
10月16日(水)
いよいよレコーディング初日、そういえばカリフォルニアだと言うのに天気がいまいちだ。どうも僕がLAに来ると天気が悪いらしい。(ちなみに僕が帰ってからすごく天気がよくなったらしい) 11時Oceanway Studioに集合で 、着いたのは10時半、David氏はもう来ていて、Drum Technicianがセッティングをほぼ終え、エンジニアのClarkと軽くサウンドチェックをしている。AbeのBassはすでに完璧にセッティングされていて、12本のベースがスタンドに立っている。
僕がピアノを弾いているとAbeが登場!本当に来てくれてありがとうというと、こちらこそ呼んでくれてありがとう、と言ってくれた。そして少ししてVInnieの登場。彼はどうも道に迷ったらしく、しかも食べ物を買っていたらどこにいるかわかんなくなっちゃったんだよ、本当に遅れてごめんという感じで機関銃のように喋って登場した。そしてスタジオの中で3人で喋った時、多分David氏が僕が緊張している事を彼等に伝えていたのだろう、Abe日本に言った時道路でみんなが踊っていてね、(多分盆踊りのようなものだったのではないだろうか?)僕もみんなの中に混じって踊って(ここで完全に盆踊りのポーズで手を叩きながら踊りまくる)日本のグルーブに圧倒されたよ、といいながらもう止まらないのなんのって朝から踊りまくって何故か僕も一緒に踊っていて2人で笑い転げた。今思えばAbeは僕の緊張を感じてそういう事をしてくれたんだと思う。音楽は心!と日本語でなんども言っていた。VinnieもAbeといるととてもリラックスして楽しそうだ。サウンドチェックは20分くらいですぐ終わる。VInnieはグレッチのドラムで、スネアを6個持って来ていて、曲事に変えていた。
さて1曲目は「BlueBird」。いきなりすごいグルーブで今でも音を聞くと必死について行こうと演奏している感じがわかる。この曲は1回リハーサルしてTake 1でOK.ありゃまあ、コードとメロディーだけの僕のきたない譜面で完璧に演奏してしまう彼等、やはり経験の豊かさと、シビアなスタジオでの仕事を数多くやってきたという感じがする。
2曲目は「Bright morning」。ここで短いながらもピアノソロがあり、そのパートでVinnieが、ここはもっとYasuが自由に弾けるようにスペースを作ろうと言ってくれてその部分を何回かリハーサルする、そして考える間も無くAbeのRolling!という声。彼等はその曲の新鮮でいいイメージができたらそれを失わない内に録音したいという感じで突然Recordingに突入する、始めはこれにびっくりしてついていけなかった。待ってくださーいって感じ。
今一つペースをつかめないまま、3曲目「Tree by the lake」というBossanovaの曲、ここでやっと自分らしさが出せたと思う。David氏も最初は緊張していてなかなかYasuのいいところがでなかったけど、この曲でやっと3人が一緒に演奏している感じで、Yasuのいいところが出て良かったと言ってくれた。話が前後してしまったが、ここまではセッティングの都合上ギターはダビングにという事になったので、今日の昼LAに到着して飛行場か直行の江口さんはここからダビングという事になった。「Bright Morning」をラインでカッティングを、「Tree by the lake」をガットギターでダビングして終了。さすがに長く一緒にやっていて僕の事も分かっているし、時差で疲れもピークなのにプレイは素晴らしいです。VinnieとAbeがクローズアップされてしまうけれど、彼もとてもProfessionalで素晴らしかったです。
この夜は近くのチキンを食べさせるレストランで乾杯。このレストラン、本物のSOULFOODって感じで 、映画に出てきそうな雰囲気、アジアの人も殆どいなくて、せっかくLAに行ったら是非お勧めです。名前忘れちゃったけど、Oceanway のすぐ近く。結構並んで列になっているからすぐわかると思う。
1日目終了!(つづく)by Yasu Sugiyama
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Special thanks to Yasu Sugiyama