杉山泰のLAレコーディング日記 Part 2



前回からお送りしている、ピアニストの杉山泰のLAレコーディング日記の第2回目です。前回は日本出発前の準備の話でしたが、今回からいよいよLAでの話に入ります。プロデューサーのデビッド・ベノアと杉山のレコーディング前の打合わせの様子が生々しくつづられています。

Part. 2 Preparation in LA

10月13日
Yasu Sugiyama & David Benoit

さてLAに着いて、今回の目的の一つである、クラスタシアンというビバリーヒルズにあるレストランに行く。ここはシーフードレストランで、知人の勧めで、是非ローストした蟹を一匹まるごとだす料理があるので食べてみたら良いとのこと。さすがに強く勧めるだけあってこれは日本ではお目にかかれないうまさ!!何か言葉では説明しようがありません。みんなアメリカは美味しいものがないといいますが、やっぱりアメリカならでは、のものもあるんですね。LAに行かれる時は是非お勧めします。ちょっと高いけど3人で行ってひとり6000円くらいだったかな?ビバリーヒルズとあのうまさだったらそんなに高くはないと思いました。

10月14日

そんなこんなで車の運転になれたり、時差を解消したりしながら、いよいよDavid氏の自宅でミーティングです。1時の予定だったのですが、2時半に変更、ドアチャイムをならすとDavid氏が迎えてくれました。それから色んな話をして、お互いの音楽的なバックグラウンドや、私はあなたのファンだったのでとても感激していると言うと、自分もGRPからある日電話があって、Dave Grusinにあった時は感激したよ。と話してくれました。それからグランドピアノに向かって、僕が曲を弾いては、コードを少し直してくれたり、曲の構成についてアドバイスをくれたりしました。この日は12曲のなかから9曲を選ぶ作業もあったのですが、アルバム1曲目のBright morningという曲を自分としてはあまり気に入っていないと言うと、いや、この曲はいいと言って自分がアレンジするから入れなさいとのこと。同時に日本では人気のあったバラードの曲は、なんかちょっと地味だなーとか言われながら却下になってしまいました。また後で書こうと思いますが、やはりスムースジャズと言うのは、キャッチーなメロディーとわかりやすさが基本で、構成などもソロはそんなに長く要らないという感じでした。このへんの感覚の違いに、頭ではわかっているのですが、ちょっと戸惑った感じもありました。でもせっかくだから今回は彼の意見を最大限に取り入れようと思い、全9曲が決まり、1日目のミーティングは終了。

10月15日

そして2日目は3時からDavid 氏のオフィスでクラビノーバを使いながらミーティング、ここでは主に、一昨日僕が渡しておいた共作のアイデアをDavid氏が発展させて出来上がった曲を、譜面にして練習しました。これはタイトルを決めてあるんだとは Palos Verdesという彼の住んでいる所の地名で、そこから見る夕陽はたしかに綺麗でしたが、、、、、。 さてそこからミーティングが終わると今日は家でディナーを用意しているからとの嬉しい申し出。奥様は日本人でKeiさんと言って、とても気さくで素敵なかたでした。日本食のごちそうでおもてなしを受けました。
David氏は酔っぱらって御機嫌で、明日は間違えたらビニーのスティックが飛んで来るかもしれないぞーハハハとかいう冗談を言っておりました。その時点ではかなり緊張していた私は、そんな冗談やめてくれーという感じでしたが。そこにエンシニアのClark氏が登場彼は僕と同じ歳で、チックコリアやハービーハンッコックと仕事している、(もちろんデビッド氏のCDも殆ど彼ですが)素晴らしい人です。2人でYasu,良いレコーディングにするためにみんなでベストを尽くそう、と言われて、何かああ、来て良かったなーと思いました。 やはりビジネスとはわかっていても自分はDavid Benoit氏のピアノをずーっと聞いて来たわけですから、簡単には割り切れませんよね。そして明日からVinnie とAbeが合流するわけです。格好わるいですけど、もう何か興奮の絶頂でしたね 。

そして、明日からいよいよレコーディング本番です。(つづく)

by Yasu Sugiyama



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Yasu Sugiyama