ジェフ・バーリン インタビュー

ジェフ・バーリンは70年代中頃からアラン・ホールズワース、ブレッカー、渡辺華津美を始めとする硬派フュージョン系、ビル・ブラッフォード、イエス、ヴァン・ヘイレンなどのロック系と共演するなど幅広い分野で活躍してきた、独自のスタイルを高度なテクニックで聞かせてくれる伝説のスーパー・ベーシストです。

最近ではニュー・アルバム「In Harmony's Way」をマイク・スターン、ゲイリー・バートン、デイブ・リーブマンなどを従えて正統派硬派フュージョンとも言えるサウンドを存分に聞かせてくれています。(このCDは彼のサイトwww.jeffberlinmusic.comでのみ入手可能)今回はそんなジェフに話しを聞くことができました。


In Harmony's Way
アスワン@CyberFusion (以下ASW)
「In Harmony's Way」を聴かせて貰いました。素晴らしい出来ですね。気に入りました。このCDでは、あなたが以前より4ビートタッチの曲が多いようですが意識して4ビートJAZZを出しているんでしょうか。

Jeff Berlin (以下JB)
そうだね! 私はスイング音楽を愛しているんだ。それに、私は4/4の音楽が好きだ。私は、初期の変拍子音楽の開拓に貢献したフュージョン・ベース・プレーヤーとして知られている。でも、私は正直なところ、どちらかというともう変拍子の曲を演奏したくないんだ。ファンク、ロックそれにジャズ音楽の多くは理由があって4/4なんだ。それを聞いたり、演奏したりすることは凄いと感じるよ。それで、私は「In Harmony's Way」では4/4にできる限りこだわることにしたんだ。

ASW
歌のイメージの考慮によりCDのための音楽家を選びましたか。あるいは、音楽家を選んだ後音楽にタイプするものを決定しましたか。

JB
音楽の方が先だった。その後、私の音楽を演奏するのに見つけることができるベストのミュージシャンを選んだんだ。彼らは、皆十分にジャズ・スターだ。それに彼らモンスターのようにプレイする。私を奮起させてベースをより高いレベルでインスパイアさせてくれるようなプレーヤーと演奏すると、いつも私はよりよい演奏ができるんだ。ダニーは何年もの間、パット・メセニーのドラマーだった。リチャードは私がプレイしたことがある中でも本当に才能のあるピアニストのうちの一人だ。デイブ・リーブマンとマイク・スターンはマイルス・デイビスとプレイしていたし、彼らは皆、信じられないようなプレーヤーだよ。それにゲイリー・バートンは天才というしかない。

ASW
デイヴ・リーブマン、ダニー・ゴットリーブおよびゲーリー・バートンの選定は意外な感じなのですがどういう経緯で 彼らを迎えたのですか?

JB
私の音楽は彼らがいれば、最高にホットになることがわかっていたので、このレコードでプレイしてくれるようにゲーリー、デイブ、マイクに頼んだんだ。それでこのCDは、東京まで突っ走る新幹線みたいなエネルギーを持っている。これらのミュージシャンがいたからできたんだ。ゲイリーとは1972年に会って依頼の付き合いだ。デイブ・リーブマンは1970年代の中ごろに一緒にレコーディングをして彼のバンドで演奏した。ダニーと私はかつてはパット・マルティーノとパット・メセニーと一緒にプレイしていた。マイク・スターンと私はかつては場所が見つかればどこででもギグを一緒にしていたこともある。リチャード・ドレクスラーとは1990年代にフロリダのクリアウォーターで会った。いつの日か彼とレコーディングしたいと思ってたんだ。"Pale Glider" and "Reggae Ricardo" でリズム・ギターを演奏してくれたキャプテン・ビリー・ラングは、ニュージーランド航空の本物のキャプテンなんだ。彼はまた同時になぜか信じられないようなギタープレイヤーで、だからレコーディングに参加してくれるように頼んだんだ。

ASW
例えば'Emeril Kicks it up'のベースソロのベースの音は前によく出ているのですが、 これはコーラス等のエフェクトを使っているのですか。

JB
私は、プレイするときもレコーディングのときもコーラスを使っている。でも、「Emeril Kicks it up」私のソロはスタジオでのレコーディングの手法によるものだ。ベースのちょっとしたうなりを録って、高音を使わないでブライトにしようとしたんだ。この曲のベースソロではホントにいい音がでてると思うよ。Emeril Lagasseはアメリカでは有名なシェフなんだ。彼は、アメリカのテレビで最も有名な料理ショーの1つをやっているんだ。また、その他の人気のある料理ショーには日本から来てる「料理の鉄人」(Iron Chef)がある。アメリカ人はこの番組が大好きなんだ。私もそれが大好きで、一度、鉄人に会ってみたいし、ゲスト審査員になってみたいと思ってる。

ASW
Jeff Berlin and Dave Weckle
このアルバムのコンセプトは何でしょうか? また、この新しいCDの中の一番気に入っている曲は何でしょうか? 

JB
ベース・プレイヤーとして、私が一番好きな曲は「This Is Your Brain on Jazz」だ。このソロは私が今までレコーディングした中でベストのベースソロだよ。そして「Runaway Train」はアルバムの中で最もパワフルな曲だと思う。この曲は、ドレクスラーとリーブマンがすばらしいソロをとっている。それに加えて、私は、この曲で他に世界中のどこでも聞くことができない全く新しいベースのコンセプトを編み出したんだ。ノリをとるなら「Emeril Kicks it up」だ。この曲でのベースのプレイとノリはナッシュビル、テネシーで今までレコーディングされたどんな曲とでも較べれると思う。

ASW
レコーディングの時の話しなど聞かせてください。

JB
レコーディングの出来事で記憶に残っている面白い話しはスタジオの中の私のベースに起こったことだ。私は、ディーン・ギターズのジェフ・バーリン・モデルたった一本だけでこのCDをレコーディングしたんだ。セッションにはこのベース一本だけしか持ってこなかったので、注意深く扱わなければならなかったんだ。ある午後、私は、ベースを壁にもたせかけたんだ。そのすぐ後に、私は滑るような音を聞いたんだ。私がふり向いた時、ちょうどベースが床に向かって倒れ落ちるところで、大きなスラップ音とともに叩き付けれたんだ。実際ベースは床からバウンドしていたよ。私は、本当に大好きだったベースを壊してしまったと思って死ぬほど脅えたよ。結果的には、ナットが欠けてしまっただけだで、そのベースはまだ演奏可能な状態だった。それで、私はレコーディングを終えて、フロリダのクリアウォーターへ帰ってから、ナットを修理したんだ。

ASW
ベースソロに入るとハマリングだけで音を出しているように思えます。ハマリングだと音がフィンガーピッキング と比べると弱く小さくなると思うんですが、フィンガーピッキングの音を同じ大きさで聴こえます。 このコツは一体何なのでしょうか。

JB
私のベース・プレイは今あるような形まで発展してきたんだ。私は左手でレガートをしている。でも、右手でもそれぞれの音をピッキングしている。左手でのプレイは、長年の間に私にとって自然になったので、たやすくできるようになったんだ。それでサキスフォン奏者のようにより滑らかにプレイできるようになった。でもまだ右手でもはじいてるよ。ただ、多くのベース・プレイヤーがジャコ・パストリアスのようにな音を出そうとするので、私は反対の方向へ向かってプレイする新しいやり方を見つけようとしている。左手でのレガートは、こうした私の演奏上の変化から出てきたんだ。

ASW
スムースジャズの人気についてはどう思いますか?

JB
自分が聞くようなものではないね。でも、多くの人々がこの音楽を楽しんでいるのなら、それはそれで存在価値があるし、尊重されるべきだと思うよ。

ASW
最近の活動について教えてください。またこれからの計画のことも教えてください。

JB
最近は「In Harmony's Way」のプロモーションのためにツアーしていた。このCDは私のウェブサイトwww.jeffberlinmusic.comでだけで入手可能なんだ。何故かというと私は医療費を払わなければならないんだ。私の息子は癌にかかっていたんだ。もう今は回復したんだけども、保険でカバーしきれなかった医者の請求書がまだ沢山残っているんだ。この借金を返すために新しいCDをプロモーションしているんだ。 ツアーとしては、バンドでイギリスとイタリアにこの秋に行く予定だ。それに何本かのアメリカのテレビ番組に現われる出演する予定だ。今までにないくらいの、注目を集めているので、大変嬉しく思っている。それに今でもまだ音楽学校での教えているよ。The Players School of Music(www.playerschool.com)というところだ。また、他のミュージシャンとクリニックとレコーディングもしている。

ASW
日本へ来る計画はありますか。またファンへのメッセージがあればお願いします?

JB
私は是非、日本にいってプレイしたいと思っている。私を日本でプロモートしてくれることに興味を持ってくれる誰かを見つけることができたら、バンドを連れて行って、できるだけ多くのショーをやりたい。

日本のファンへの私のメッセージは.......ありがとう! 私の音楽をサポートしてくれて感謝します。また、みんなのためにいつか早いうちにプレイすることを願っています。それと既に「In Harmony's Way」を持っている日本のファンに本当にありがとう。

ASW
どうもありがとうございました。




「In Harmony's Way」のCD評

Interview by Aswan
Translation by Masato Hashi
Photos courtesy from jeffberlinmusic.com
copyright 2001 by CyberFusion