マイク・マイニエリ インタビュー

昨年の「Smokin' In The Pit」に続きSTEPS時代の旧譜「Steps by Step」、「Paradox」をまとめて2枚組として、自己のレーベルNYC Recordsより「Collection」として再発したSTEPS/STEPS AHEADのリーダー、マイク・マイニエリに、このアルバムのこと、最近の活動などについて聞いてみました。

at The Seventh Avenue South in 1983

Masato Hashi@CyberFusion (以下CF)
今回の「Collection」には前作の「Smokin' In The Pit」のように未発表曲は含まれているのですか?

Mike Mainieri (以下MM)
「Paradox」に収録されていた「The Aleph」の別テイクをボーナストラックとしていれてある。スタジオ録音の方の「Steps by Step」は日本コロンビアが信じられないことにオリジナル・マスターを紛失してしまったので、ボーナストラックを入れることができなかったんだ。
(編集部注:新しく収録されたThe Alephの別テイクはドラムソロを含んだ19分にも及ぶもの)

CF
「Steps by Step」は東京で「Smokin' In The Pit」をライブ録音した直後にスタジオ録音されたものなのに、この2枚のアルバムに共通して収録されている曲はありませんが、当時「Steps by Step」の中の曲はライブでは演奏されなかったのでしょうか?それともまだ「Smokin' In The Pit」の未発表テイクが残っているのでしょうか?

MM
その通りだね。この2枚のアルバムで共通曲はないよね。でも実は「Steps by Step」の中の曲をピットインで演奏したものを録音したテイクを数曲分持っているんだ。ただ、音響的にかなり違うので今回は「Steps by Step」のボーナストラックとしては入れなかったんだ。将来的にはSTEPSの20年にわたるライブ演奏のコンピレーション・アルバムをリリースすることを計画している。

CF
その前の2作が完全なアコースティックだったのに対して、「Paradox」ではシンセサイザーを使っていて、その後のエレクトリック化するSTEPS AHEADに通じるものがあるようにも思いますが、その間、何か変化があったのでしょうか?

MM
「Paradox」でのシンセサイザーの使用はグループのサウンドを替えようと意図したほどのものではなかった。ドン・グローニックや私はそれ以前の「Love Play」や「Wanderlust」のレコーディングでシンセを使っていたのを覚えてるかい。この「Paradox」のアルバムではたまたまシンセパッドの音を中心にして何曲か作曲してみたんだ。ドン・グローニック作の「Four Chords 」がその例だよ。

CF
「Paradox」は今はもうなくなってしまったニューヨークのセブンス・アベニュー・サウスというジャズ・クラブで録音されていますよね。このクラブは当時はコンテンポラリー・ジャズの中心地とでもいうべき存在でしたが、何か思い出などありますか?
at The Seventh Avenue South in 1983


MM
そうだね。このクラブには沢山の楽しい思い出がある。ブレッカー兄弟がオーナーで、ニューヨークのエレクトリックなプログラムの多くはこのクラブで演奏されていたね。ジャコ・パストリアスとかマルサリス兄弟がいたアート・ブレーキーのバンド、ファンク・バンドにフュージョン・グループ、ビーバップとこのクラブではどんなジャンルでも聞く事ができた。それにニューヨークで先端をいく人達の溜まり場でもあった。有名人やプロデューサー、作家などが皆このクラブにたむろして音楽を聴いていた。

CF
だいぶ前にL'Imageという昔のバンドのアルバムをリリースするという話しをしておられましたが、このプロジェクトはまだあるのでしょうか?L'Imageとはどんなバンドだったのでしょうか?

MM
The L'ImageはSteve Gadd, Tony Levin, Warren Berhardtそれに私というメンバーだった。私達は当時、皆ウッドストックに住んでいて数ヶ月の間、音楽を作る事に没頭しようと決めたんだ。私たちは私の家の納屋をスタジオに改造したところでリハーサルをしたんだ。そのグループはウッドストックのジョイアス・レイクやスティーブの故郷であるニューヨークのロチェスターでも演奏をして、グループとして仕上げていった。ところが不幸にもスティーブがスタッフと演奏するというオファーをもらってしまったので、グループは解散してしまった。ただ我々は「Love Play」と「Wanderlust」の何曲かを録音することができた。

CF
「Love Play」と「Wanderlust」の中のどの曲でしょうか?「Wanderlust」には「L'Image」という曲が収録されていますが、スティーブ・ガッドの名前はクレジットされていませんが。

MM
「Love Play」の中の「Silkworm」と「Love Play」、「Wanderlust」の中の「L'Image」はいづれも、それより前に作曲されていて、The L'Imageによって演奏されたものなんだ。「L'Image」を録音した時はスティーブが忙しかったので替わりにピーター・アースキンに叩いてもらったんだ。

CF
NYC Recordsのウェブサイトを見ると今年、中国ツアーをやることになっていますが、中国のどこへ行くのですか?

MM
中国でのライブに招待されているんだけど、まだ詳しいことは決まってないんだ。

CF
今年の他の予定について話してもらえますか?

MM
来週はNYC RecordsのTHE FRINGE PLUS ONEというのをレコーディングすることになっている。今年はGeorge GarzoneのボストンをベースにしているバンドTHE FRINGEの30周年なんだ。このバンドはトリオでジョージがサックス、John LockwoodがベースでBob Gullotti がドラムという編成なんだ。僕たちは2-3回カルテットとしてギグをしたことがあって、それを記録に残そうと決めたんだ。という訳で新譜のTHE FRINGE PLUS ONEというのはこのトリオとゲストとして私がフューチャーされることになる。 それと「JUST FRIENDS」というスタンダードのアルバムも作ろうとしていて、私の好きなスタンダードの曲に古い友人達に演奏に参加してもらおうと思っている。 10月、11月はSteps Aheadでヨーロッパ・ツアーにでて、2001年の春はTHE FRINGEのツアーを計画している。そして2001年の夏にはStepsのエレクトリックファンクバンドのツアーを考えている。

CF
どうもありがとうございました。


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Interview,photography and translated by Masato Hashi
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