則竹裕之「Dreams Can Go」Village Record (VRCL-3001)99 - Japan

1.Time To Landing  2.Secret Market  3.Train In The Rain 4.Clione 5.Lilac Time 6.番犬"Larry!" 7.Mia Cadol 8.Port Town（unforgettable days） 9.Cyber City Slicker 10.Time To Landing（to the nex voyage）

則竹裕之(Ds) 古川初穂(Ac.Piano,Keyboards,Programing) 石黒彰(Keyboards,Programing)  古川望(E.Guitar,Ac.Guitar)
古川昌義(Ac.Guitar) 小池修(S.Sax,T.Sax) 住友紀人(S.Sax,EWI) グレッグ・リー(E.Bass) 坂井紅介(Ac.Bass) バカボン鈴木(E.Bass) 村上聖(E.Bass) 渡辺健(E.Bass) 三沢またろう(Perc)

　Ｔ-スクェアに入って14年目、ドラマー則竹裕之の初ソロアルバム。
１曲を除きプロデュースは古川初穂。２曲提供しアレンジもかなり担当しているので、全体的に則竹・古川両名の個性が感じられる内容になっています。
　則竹裕之がこれまでＴ-スクェアのアルバムに残した曲は、ちょっとメロウな、でもさわやか･･そんな傾向がありました。このアルバムも基本的にはこうしたトーンにまとまっていますが、結構いろんな要素が入ってます。
　１曲目「Time To Landing」は、「WAVE」あたりのＴ-スクェアを思わせる伸びやかな広がり。
２曲目はドラマーらしく複雑なリズムに、アフリカっぽいエスニックな雰囲気。
３曲目はいきなり力強い８ビートに思いっきり歪んだエレキギターが吠え、ドコドコ鳴るタム（！）、もろロックです。
４曲目・７曲目は、どこかに思いを馳せたくなるようなせつないメロディー。特に４曲目の「Clione」はパット・メセニーの「シークレット・ストーリー」を思い出しました。定番則竹ワールドが堪能できます。も〜ウルウル来ます。
　５曲目は古川初穂の曲で、なんといきなりＥＣＭ系。ソプラノサックス、アコースティックピアノ、ウッドベース･･･「こっ、この編成って、イエロージャケッツ!?」･･･そうじゃないんですけど（笑）、繊細な響きが新鮮。
さらに古川初穂の曲がもう１曲、「羅麗若」（ラレーニア）の幻の2ndアルバムに入るはずだったという「Mia　Cadol」。ちょっとプログレっぽい･･･で、いいのかな･･･コードなどはわりと複雑な曲のように感じますが、不思議と頭にメロディーがスッと入ってきます。９曲目「Cyber　City　Slicker」のみ、石黒彰の作曲とプロデュース。一部ではかなり知られた名曲で、細かく作り込んだ
アレンジががなんとも魅力的。キラキラ光る感じが走り抜けていきます。

　わたしはこのドラマーのファンをずいぶん長いことやっていて演奏もかなり聴いてきましたが、ここまですごいものを作る人だとは知らなかった。正直言って驚きました。もちろん古川初穂さんのプロデュースというのが非常に大きいとは思うんですが、ドラマーという枠から完全に脱け出して、音楽家として自分の世界が構築されています。
　則竹さんが雑誌などで「好き」と言っているという動機で私が聴きはじめたアーティストは、パット・メセニー、イエロージャケッツ、ステップス・アヘッド･･･有名どころばっかりですね（笑）。そして彼が出演するというので、プログレ系フュージョンや是方博邦のセッションには相当通いました。
　　スクェアに入る前に関西のライブハウスで演奏していた音楽までも含めて、こうしてこれらの流れが全部、必然となってこのアルバムにたどり着いているのが感じられます。リラックスして聴ける力作です。（美芽）
　　 

Slow												Speedy
Light												Heavy
Mellow												Hard
Lyrical												Cool
Melodious												Out of melody/code
Conservative												Progresseve/Tricky
Ensemble												Interplay