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ニューヨークを拠点に活動し、コンスタントにアルバムをリリースしているギタリスト、スティーブ;カーンの3年振りの最新作である。
 
1曲目のオーネット・コールマンのナンバー、「Bird Food」はライディー・ブレッカーのフリューゲルホーンがノスタルジックなラテンジャズの雰囲気を醸し出す、カーンしては珍しいジャズ色の強いナンバーである。
 
2曲目のカーンのオリジナル曲「Blue Subtext」ではオクターブ奏法を駆使しながら哀愁漂うメロディーを弾いており、これもカーンの演奏としてやちょっと異色である。 
異色と言えばもっとも異色なのは7曲目のギル・ゴールドスタインがアコーディオンでゲスト参加している「Cada Gota De Mar」だろう。ヴォーカル入りのボサノバなのである。おそらくカーンのリーダー・アルバムとしてはヴォーカル曲は初めてなのではないだろうか。
 それもボサノバとカーンのギターソロのマッチングも想像つかないと思うが、それはそれで無理やりはめ込んでしまっている。
 
それでも、3曲目はフレディー・ハバート、4曲目はウェイン・ショーターの曲を取り上げてくるのだが、この辺りからいつものカーン節が前面にでてきて、80年代のアイウィットネスからの延長線上のサウンドなってくる。セロニアス・モンクの曲「Hackensack」を取り上げている8曲目はボサノバとは対照的にモンクのひねりの効いたテーマ、コードが、カーンのギターにしっくりマッチして、やはりこれがベスト・トラックかなと思ってしまう。
 
いつもはOne And Onlyのギターでごりごりと押してくるカーンだが、珍しく変化球が多くて、いつもと別の楽しみ方のできるアルバムである。
(橋 雅人)
 
 
|  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  
| Slow |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  | Speedy |  
| Light |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  | Heavy |  
| Mellow |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  | Hard |  
| Lyrical |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  | Cool |  
| Melodious |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  | Out of melody/code |  
| Conservative |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  | Progressive/Tricky |  
| Ensemble |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  | Interplay |  
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