Antonio Sanchez「Three Times Three」 Cam Jazz(CAMJ7879-2) 2014 - U.S.A.  


Antonio Sanchez(drums), Brand Mehldau(piano), Matt Brewer(bass), John Scofield(guitar), Christian BcBride(bass), Joe Lovano(t.sax), John Patitucci(bass)
  ●骨太いストレート系  ○明るく爽やか系  ○骨太系と爽やか系の中間 
  ○R&B                 ○ブラック系         ○歌物・NAC/AOR 系       
  ○ラテン系(□ブラジル系  □サルサ系        □カリプソ系)           
  ○ユーロ系            ●JAZZ系          ○JAZZとFUSIONの中間系   
  ○ブルース系          ○ロック系        ○その他

アルバムタイトルの「3 x 3」の示すようにピアノ・トリオ、ギター・トリオ、サックス・トリオと編成の違うトリオを3部構成にして2枚のCDに収めている。
ブラッド・メルドーをフィーチャーしたピアノ・トリオが1枚目のCDに丸ごとおさめられているので、ピアノ・トリオの比重が大きいのかと思うと、CD1枚で今時としては珍しく35分ほどしかないので、3つのトリオがほぼ均等な印象である。

ピアノ・トリオは1曲目がビル・エヴァンスで有名な「Nar-This」の馴染み深いメロディーから始まるが、全体の印象はハーモニー感、ビート感ともにブラッド・メルドーの世界になっている。

2枚目の前半に収められたジョン・ジョンスコフィールドをフィーチャーしたギター・トリオは何を弾いてもジョンスコ節になってしまうジョンスコにしては珍しくちょっと違った雰囲気が聴けておもしろい。いつもは調性感のはっきりしたところからどんどんアウトしていくことが多いように思うが、1曲目のウェイン・ショーターの作品「Fall」では最初から調性感の希薄な中でいつもよりオープンなフレーズを展開しているのが新鮮だ。
一方2曲目の「Nooks And Crannies」ではしっかりといつものジョンスコ節も聴け、テンポを上げてサンチェスがビートをプッシュしながらジョンスコに絡んでいくところはこのアルバムの中でも聴きどころのひとつだろう。

ジョー・ロバーノをサックスにフィーチャーした3つ目のトリオは最初のチャーリー・ヘイドンを連想させるような押さえた響きで渋い味を出している。ロバーノのかすれ声のようなサックスの音がなかなかよくはまっている。

リーダーは全体を通してどのトリオでも抑えたリズムからプッシュしてくるビートまで完璧にリズムをコントロールしてさすがは現代を代表するドラマーの一人であると再認識させられるような堂々としたドラムを叩いている。

個性的なソリストをほどよく3通りフィーチャーして3倍楽しんだという気にさせてくれるアルバムである。何故かジャケ写ステッカーのオマケもついている。 (橋 雅人)

   
Slow                     Speedy
Light                     Heavy
Mellow                     Hard
Lyrical                     Cool
Melodious                     Out of melody/code
Conservative                     Progressive/Tricky
Ensemble                     Interplay