Marcus Miller 「TUTU revisited」 Dreyfus Jazz (FBM460503697225) 2011 - E.U.  


Marcus Miller(bass),Christian Scott(trumpet), Federico Gonzalez Pena(keyboards), Ronald Bruner(drums), Alex Han(saxophone)
  ●骨太いストレート系  ○明るく爽やか系  ○骨太系と爽やか系の中間 
  ○R&B                 ○ブラック系         ○歌物・NAC/AOR 系       
  ○ラテン系(□ブラジル系  □サルサ系        □カリプソ系)           
  ○ユーロ系            ○JAZZ系          ○JAZZとFUSIONの中間系   
  ○ブルース系          ○ロック系        ○その他

マーカス・ミラーが2009年に行ったTUTU revisitedツアーのフランス、リヨンでのライブ録音盤。同年9月に同じメンバーで日本公演も行われている。
日本盤はCD2枚組DVDが別リリースになっているが、EU盤がCD2枚とDVDがセットになっておりお買い得である。但しDVDはリージョン・フリーではあるがヨーロッパ仕様のPALになっているためPAL対応プレイヤーでなければ再生できないので注意が必要だ。
演奏そのものはCDもDVDも同じ日の公演から収録されており、収録曲も同じようだ。

マーカスがプロデュース、アレンジそしてほとんど全てのバックトラックを多重録音で作り上げたマイルス・デイビスの1986年の作品「TUTU」の再演という形になっており、「TUTU」収録の全8曲およびそれ以外では「Jean Pierre」,「Human Nature」,「Hannibal」,「So What」などのマイルス・ナンバーが演奏されている。
この「TUTU」というアルバムは当時売れっ子スタジオ・ミュージシャンの一人に過ぎなかったマーカスを一躍一流ジャズ・ミュージシャンとして世界に認知させたマーカスとしては記念碑的作品と言ってよいだろう。

過去を振り返らなかったマイルスをトリビュートするために過去の作品を取り上げることの矛盾はマーカス自身がライナーノートの中で語っているが、86年当時スタジオの多重録音で作られ、既にマイルスのツアー・バンドから脱退していたマーカスにとってはライブでの「TUTU」の楽曲は再演ではないということなのかもしれない。

このライブ盤と86年の「TUTU」を聴き比べているとその差は明白だ。
「TUTU」80年代半ばという時代を反映してか今の耳で聴いてしまうと多重録音のサウンドがちょっとポップすぎるというか軽薄にさえ聴こえてしまうのに対してこの全編ライブで演奏された「TUTU revisited」は音色、グルーヴ感ともにはるかに重厚な雰囲気になっている。
またライブだけあってマーカスのベースソロもたっぷりとフィーチャーされている。

今更という感もあるマイルス・トリビュートの企画ではあるが、若手ミュージシャンを従えたマーカスの演奏内容は期待以上の仕上がりを見せている。 (橋 雅人)

   
Slow                     Speedy
Light                     Heavy
Mellow                     Hard
Lyrical                     Cool
Melodious                     Out of melody/code
Conservative                     Progressive/Tricky
Ensemble                     Interplay