コンテンポラリー・テナー・サックスの雄、ジョー・ロヴァーノの最新作はWDRビッグ・バンドとの共演盤である。
WDRビッグ・バンドはドイツの放送局、西部ドイツ放送協会所属のケルンに本拠を置くオーケストラで、数多くのミュージシャンをゲストに招いて共演し、最近ではブレッカー・ブラザーズ、ジョー・ザヴィヌルとの共演がCD化されている。
ただしブレッカー・ブラザーズ、ジョー・ザヴィヌルとの共演の際はヴィンス・メンドーサがアレンジ、指揮をしていたが、このアルバムではマイケル・アビーンがアレンジ、指揮を手掛けている。
マイケル・アビーンは90年代のGRPビッグ・バンドのアレンジ、プロデュースをしていたことで名を知られ、最近ではパティ・オースティンのWDRバンドとのガーシュウィンをテーマにした共演盤はアビーンの手によるものである。
またこのアルバムではWDRビッグ・バンドだけでなく、シンフォニー・オーケストラも加わり総勢50名余りの大掛かりな編成となっている。
このアルバムでもWDRビッグバンドと他のアーティストとの共演盤同様にロヴァーノの過去の代表的な曲がアレンジされる形で収録されている。
1曲目の「Emperor Jones」(オリジナルは90年の「Landmarks」に収録)から分厚いサウンドをバックにロヴァーノのテナー・サックスはノスタルジックに、そして時にはロマンティックとさえ感じられるように歌い上げる。
ソプラノ・サックスを演奏する2曲ではよりその印象が強まるが、曲調としてはその対極にあるようなブレッカー、リーブマンとの共演盤サキソフォン・サミットで演奏されていた「Alexander The Great」のような曲のバトルの中でも同様にノスタルジックな部分を感じてしまうから不思議だ。
大編成をバックにしているが、逆にジョー・ロヴァーノというサックス奏者の個性をより際立たせているように聴こえるアルバムだ。
(橋 雅人)
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Progressive/Tricky |
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Interplay |
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