これは一人の偉大なミュージシャンの生と死のアルバムである。
アルバムのほとんどの部分が録音されている2006年8月はちょうどマイケルがカーネギー・ホールでのハンコックのコンサートに奇跡的な客演でのカムバックを果たした時期にあたる。
この頃マイケルは一時的に回復期にあり、カーネギーホールでの演奏とともにレコーディングも実現したようだが、それでも体調は不安定だったようでいつキャンセルになるかわからないような状況でのレコーディングだったようだ。
全曲がマイケルのオリジナルの楽曲はかなり複雑で難易度もかなり高かったようでパット・メセニーをして最初スコアを見たときには本当に弾けるんだろうかと途方にくれ、数日間こもって練習したという。
マイケルのサックスの勢いは病気を感じさせない吹きっぷりで、素晴らしいの一語に尽きる。敢えて病気の影を探すとすればいつもはフラジオに一気に行ってしまいそうなところで押さえているように聴こえるところくらいだろうか。
現代最高とも言えるメンバーがそろったバンド全体の演奏もできるだけ少ないテイクで取らなくてはという緊張感からくるのか、アルバム全体を通して凄まじい高いテンションをキープしている。
なかでも「Tumbleweed」は楽曲の出来も素晴らしく何度でも繰り返し聴きたくなる。
今回レビューに使った盤はアメリカ盤でのみリリースされているSACD/CDのハイブリッド盤で、SACDサイドには5.0chのマルチ音声が収録されている。ミックスは奇をてらわないオーソドックなものでサラウンド・チャンネルは奥行き感を出すのに使用されている。
そのためマイケルのサックスはCDの2ch盤よりもより朗々と唄っているように聴こえる。
これは間違いなく歴史に残る現代最高のジャズの名演が記録されているアルバムと言ってよいだろう。
(橋 雅人)
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Speedy |
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Heavy |
Mellow |
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Hard |
Lyrical |
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Cool |
Melodious |
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Out of melody/code |
Conservative |
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Progressive/Tricky |
Ensemble |
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Interplay |
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