Tim Ries「The Rolling Stones Project」Village Records(VRCL12001) 2005 - Japan (SACD/Hybrid 5/18発売予定)  
Tim Ries(sax), John Scofield(g), John Patitucci(bass), Clarence Penn(drums), Edward Simon(piano), Bill Charlap(piano), Larry Goldings(organ), Jeff Ballard(drums), Bernard Fowler(vocal), Michael Davis(tb), Charlie Watts(drums), Keith Richards(g,vocal), Ronnie Woods(g), Cheryl Crow(vocal), Darryl Jones(b,vocal), Mauro Refusco(perc), Norah Jones(vocal, piano), Bill Frisell(g), Lisa Fischer(vocal) Brian Blade(drums), Ben Monder(g) etc.

  ○骨太いストレート系  ○明るく爽やか系  ●骨太系と爽やか系の中間 
  ●R&B                 ○ブラック系         ○歌物・NAC/AOR 系       
  ○ラテン系(□ブラジル系  □サルサ系        □カリプソ系)           
  ○ユーロ系            ○JAZZ系          ○JAZZとFUSIONの中間系   
  ○ブルース系          ●ロック系        ○その他

サックス奏者のティム・リースのローリング・ストーンズのカバー集。
カバー集といってもただのカバーではない。このティム・リースという人、前作はCriss Crossからリリースしている本格派だが、ストーンズの「The Licks Tour」のツアーバンドを務め、このアルバムにはミック・ジャガーを除くローリング・ストーンスのメンバー全員が参加しているのだ。それに加え、ジョンスコ、ビル・フリゼル、パティトゥッチ、ブライアン・ブレイドなどジャズ・フュージョン系の精鋭、おまけにノラ・ジョーンズにシェリル・クロウまで参加しているという豪華ぶり。
あまりにメンバーが豪華すぎると音が散漫になってしまって面白みに欠けるというのはありがちなパターンだが、このアルバムは音のほうも充分過ぎるほどに素晴らしい。

1曲目の「Satisfaction」はジョンスコをメインに据えたグルーヴ感溢れるファンクナンバーに生まれ変わっているし、2曲目の「Honky Tonk Women」はラリー・ゴールディングスを中心としたオルガン・トリオでアーシーに演奏されている。
「Honky Tonk Women」はもう1曲「Keith Version」として収録されているのだが、こちらはキース・リチャードにあのリフを弾かせてしまい、チャーリー・ワッツ、ダリル・ジョーンスのストーンズのリズム隊を使ってリサ・フィッシャーにコーラスさせるという本物のカラオケをバックにティム・リースがメロディーラインを吹いている。カバーとしては反則技と言えなくもないが、なかなか楽しい。

ノラ・ジョーンズはビルフリのギターをバックにカントリー調の「Wild Horses」をまるで自分のオリジナル曲のような雰囲気で歌っているし、「Slipping Away」ではシェリル・クロウとキースのハモリが聴ける。

曲ごとに多くの聴き所があって80分近くにも及ぶ収録時間が短く感じてしまうほどだ。強いて難を言えばゲストの個性が強すぎてティム・リースの影が薄くなっていることだろうが、多彩なアレンジ力、これだけのメンバーをまとめ上げるプロデュース力は見事なものだ。

日本盤にはボーナストラックとしてパティトゥッチ、ブレイドのリズムをバックにビル・シャーラップのリリカルなピアノ、リースのソプラノサックスをフィーチャーした「As Tears Go By」が収録されている。 (橋 雅人)

   
Slow                     Speedy
Light                     Heavy
Mellow                     Hard
Lyrical                     Cool
Melodious                     Out of melody/code
Conservative                     Progressive/Tricky
Ensemble                     Interplay