Bill Evans/Randy Brecker「Soul Bop Band Live」ビクターエンライトメント(VICJ61269)2005 - Japan  (日本盤)  (EU盤)
              

Randy Brecker(tp),Bill Evans(sax),Hiram Billock(g),
David Kikoski(key),Victor Bailey(b),Steve Smith(ds)

●骨太いストレート系 ○明るく爽やか系 ○骨太系と爽やか系の中間
●R&B ○ブラック系   ○歌物・NAC/AOR 系
○ラテン系(□ブラジル系 □サルサ系 □カリプソ系)
○ユーロ系 ○JAZZ系 ○JAZZとFUSIONの中間系
○ブルース系 ○ロック系   ○ECM系

どうも「サム・スカンク・ファンク」が入ってるCDは無条件に購入してしまう癖があります。
当然、「サム〜」とは、ブレッカーブラザース「Heavy Metal BeBop」のあの名曲のことです。
また、この名曲が入ったCDが発売された訳ですが、ブレッカー兄となんとビル・エバンス(sax)・・・という、この顔合わせはなかなか意外でした。
そして、その他にも面白そうなメンバーがそろっている・・・・これは買って聞かねばならないと即購入しました。

1曲目からなんともアグレッシブで凶暴なリズムが炸裂してます。
ヴェイリー&スミス、そしてキコスキーの強力なリズム隊に、さらに絡んでくるハイラム・ブロック。
割って入ってくるランディとエバンスが、まさにアナザーBBみたいな雰囲気で迫ります。
もちろん、ブレッカーブラザースほどのコンビネーションではないのですが、これはこれで面白いです。

考えてみると、ランディが弟マイケル以外のSax奏者と組んでもそれはそれで面白い盤も多く、古くはDave Liebman「Penduram」やBob Bergと組んだ「Live at Sweet Basil」など、どのSax奏者とも相性が良いですね。
ランディ・ブレッカーのトランペット・ソロは流石に上手く、まさにこのトランペット・トーンこそフュージョンの華と言いましょうか。
ビル・エバンスもテナーにソプラノに、まさにバリバリに吹きまくってますね。打ち込み系作品もあるエバンスですが、やはりこういったバンドでのプレイの方がソロも生き生きしていると感じます。

そしてお目当ての5曲目「サム・スカンク・ファンク」。さすがにあのテーマにはぞくぞくします。
ただ、このバージョンではベース・ソロがほとんどのヴィクター・ヴェイリー・フィーチャー曲になってます。
マイケルとエバンスの聞き比べをもくろんでいただけに残念。
しかし、ヴェイリーのベース・ソロはなかなか聞かせますし、途中でWetherReport「Birdland」が挿入されます。
Birdlandかぁ・・するとジャコのカバーでと思ったのですが、考えてみればヴィクター・ヴェイリーってWetherReportのメンバーでしたね。なのでこのカバーも当然でした。(ごめん、ヴェイリー!)

ところでこのCDはビル・エバンス、ランディ・ブレッカーの双頭バンドのような感じになってますが、これには少し異論あり。
後半はハイラム・ブロックがかなりフィーチャーされ、ハイラムも入れて3人名義が相応しいと感じるからです。
曲もランディ3曲、ビル4曲、ハイラム2曲の全9曲ですのでそれが妥当なところですが、何か契約上なことがあるのかもしれません。
それだけにハイラム・ブロック・ファンも要チェックでしょう。

デヴィッド・キコスキーも脇役ながらなかなかナイスなサポートに徹しています。
ディブ・リーブマンのサポートとか結構アコースティックなセッションが多い人ですが、こういったFusionにもぼちぼち顔を出すようになりましたね。
サポートながら、アコースティック・ピアノなんか非常に美しいです。

全体的にハードで、ランディ、エバンスともソロを沢山取っているのでファンにはこたえられない内容でしょう。
また、国内盤はCD1枚ですが、輸入盤はCompleteな2枚組で曲数も3曲多いようです。
(自分は国内盤にしましたが、これだけの内容なら輸入の方が良かったかも???)

# なかなかハードなFusionで聴き応えは十分ありました。(TKO)


ランディー・ブレッカーとの2管のフロント、ハイラム・ブロック、デビッド・キコスキーのブレッカー・ブラザーズ在籍経験者、ベイリー、スミスの後期Steps Aheadのリズム・セクションとまるで、ブレッカー・ブラザーズのマイケル抜きバンド?と思わせるようなメンツのバンドになっている。(ちなみに日本盤ライナーにはスティーブ・スミスがSteps Ahead初代メンバーと紹介されているが、これは間違い。)

このアルバムでは、ブレッカー・ブラザーズのお馴染みのレパートリーも演奏されているが、ビル・エヴァンスの曲、ハイラム・ブロックがヴォーカルを取る曲などバランスよく演奏されている。

ただ正直なところ「Some Skunk Funk」などブレッカー・ブラザーズのレパートリーでの演奏は必ずしも彼らのベストの演奏とは言えないように聴こえる。「Some Skunk Funk」の演奏はこの曲本来のスピード感に欠けるし、ホーン・アンサンプルの切れ味にも欠け、ビル・エヴァンスのサックスソロも本来の調子ではないように感じる。

またアルバムを通してどうもスティーブ・スミスの比較的直線的なノリのドラムスがこのバンドの志向するSoul Bopなノリとかみ合っていないようにも感じる。

ハードコアなフュージョンを充分に楽しめる作品なのだが、どうも期待が大きかっただけに辛口の評になってしまった。彼らの潜在能力はこんなものではないはずゆえ、今後の活動に期待したい。
ちなみに日本盤未収録の曲は以下の通り。(橋 雅人)

Soul Bop
Cool Eddie
Hangin' In The City

   
Slow                     Speedy
Light                     Heavy
Mellow                     Hard
Lyrical                     Cool
Melodious                     Out_of_melody/code
Conservative                     Progresseve/Tricky
Ensemble                     Interplay