秋山一将(gt) 峰厚介(ts) 石渡明廣(gt) 岡田勉(bs) セシル・モンロー(ds)
秋山一将 … この名は70年代フュージョンに熱中した者にとって、特別の響きがあります。彼は若くしてジャズフィールドからプロデビュー、ジャズにとどまらず、フュージョン全盛の70年代後期には2枚のリーダーアルバムの他、「ギターワークショップ」シリーズの一連の作品に参加、柔軟なセンスと華麗なテクニックでファンを魅了しました。(特に個人的には、ギターワークショップVol.3に収録された“Hawaian Village”というアコースティック作が歴史に残る名演だと思っています。)当時、渡辺香津美氏に次ぐ若きギターヒーロー(当時の写真を見ると、長髪で色白、アイドル的要素も十分でした。)として将来を嘱望されたのですが、健康上の理由らしく80年代に入り突然活動を休止、80年代末頃から復帰しますが、残念ながらすでに一般的なフュージョンブームは去っており、以後再びジャズフィールドに戻って峰厚介クインテットなどに参加、地道な活動を続けると共に、ギター教室などで後進の指導にも当たっています。 今回の作品は、そんな彼がリーダーを務めるユニット、クワイエット・ストームのライヴ盤であり、彼自身実に約25年振りとなるリーダーアルバムです。現在の彼のスタイルは、いわゆるストレートなジャズスタイルなのですが、かといってウエス・モンゴメリー風などとも異なり、歪んだ電気的トーン、クセの強いフレージングで、たとえばジョン・スコフィールドのような、アグレッシブでブルージーなものです。以前出された峰厚介氏のアルバムにも参加していますが、やはり同様のスタイルで、この10年ほど一貫してこのスタイルで通しているようです。また、ライヴということもあって一曲一曲が10分以上の長尺ナンバーばかりであり、軽いフュージョンを期待している人には、とてもすすめられるシロモノではありません。 グループ自体は以前から活動していたようで、特徴的なのは、ギターが秋山氏のほかにもう一人いることでしょうか。秋山氏が比較的太いトーンなのに対し、石渡氏はシングルコイル系のシャリっとした音の方と思われます。石渡氏はバッキングに回ってサウンドに厚みを持たせたり、時にソロを取ったりと、このバンドのひとつのアクセントとなっているようです。また他のメンバーも相当アグレッシブかつシリアスな演奏で、峰氏もウエイン・ショーターばり(?)に吹いています。決して懐古的ジャズではなく、確実に現在の息吹きを感じさせるものです。秋山氏のギターはさすがに凄く、時折みせる神がかり的フレーズは、かつて天才といわれた片鱗をうかがわせるに十分足るものですが、こういうプレイをフュージョンのフォーマットで演じると面白いものになると、個人的には思うのですが、いかがなものでしょうか。これ聴いていると、思わず姿勢を正してしまいます。寝ころんでは聴けませんね・・・! なおこのCDのレーベル「ジャズインラブリー」ですが、どこかで聞いたことがあると思ったら、名古屋にあるライヴハウスの名前で、ここでオリジナルレーベルを立ち上げたそうで、本作がその一作目だということです。 ○彼の過去の作品も是非CD化して欲しいです。また、何とか「クロスオーバー・ジャパン」に引っ張り出せないものかと・・・ (セリエJ)
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