Micro Stone「Groovers Move On」BQRecords(BQR-2023)2003 - JAPAN  

シラキ ヤスユキ (bass)  町田 浩明(ds)  太田 剣(as,ss)  羽毛田 耕士(tp)  岩堀 孝俊(tb)  桜岡 晋吾(ts)  斉藤 力(as,ss)  太田 光宏(Ac.g & E.g)  片桐 幸男(E.g)  渡辺 具義(E.g)  安井希久子(Perc)  岸川 恭子(Voice)  イシハラ ケンジ(Voice)  J.D. Blair(Voice of "Cue ! ")
.
○骨太いストレート系 ○明るく爽やか系 ○骨太系と爽やか系の中間
○R&B系 ○ブラック系 ○歌物・NAC/AOR 系
○ラテン系 (□ブラジル系 □サルサ系 □カリプソ系)
○ユーロ系 ○JAZZ系 ○JAZZとFUSIONの中間系
○ブルース系 ○ロック系 ●マイクロストーン系
  マイクロストーンの2作目がついに出ました。1作目では類まれな作曲とアレンジセンスが既存のFusionの枠では捉えきれないものがあり、新たな息吹と可能性を感じました。
そんな直感から彼らを追っていましたが、マイクロストーンバンドの「Hey!!」でも一作目で感じた彼らの才能がほとばしった作品であり、一作目で感じた直感が確信へと変わってきました。

  この2作目は、「Beats are ready」、「Hey!!」そして「Planet Love!」で聴かせてくれた路線に新たなサウンドが加わって強烈なサウンドになってます。
’Cue!’
オートワウのようなイフェクターをかけたベースのイントロからJ.D. Blair氏のクールな「キューッ!」の声はかっこいいですね。この曲はMSの表看板ともいえる’Bumps’、’G.T.U’タイプのスキャットのボイスをフューチャリングした曲です。このパターンで完全に誰にも真似ができないMSオリジナルなサウンドを確立してしまいましたねぇ。
イシハラ氏が第1メロ、岸川嬢の第二メロはメロディとそれぞれのボーカルがよく合っています。イシハラ氏は以前にも増して男の色気を感じます。岸川嬢は持てあまるパワーを全部出さずにサラ〜と歌っているとこが却って凄みを感じます。これは名曲ですね。TVのCMとかにも合いそうです。
何といっても生のホーンセクションがこの曲に締まりを与えてます。

'Axle'
ギターをメイン楽器に持ってきたのは初めてです(よね)しかも生ギター。
初めて聴いたときはちょっと戸惑ってしまいましたが、聴けば聴くほどまぎれもないMSサウンドです。サビのリフレインのバックにイシハラ氏のコーラスを被せるとこなんぞは、MSサウンドの真骨頂とも言えます。今回初めて参加した太田光宏氏のギターは絶品ですねぇ。次から次へと出てくるギターソロのフレーズは玉手箱から出てくるの如く聴く者をワクワクさせるものがあります。よく唄っていて、収録されたソロでは短すぎてもう延々と聴いていたい気持ち良さがあります。サビのリフレインの前の生ギターに合わせているシンセの音が絶品です。私にはお花畑を自由に飛び回る蜂のイメージを感じました。

'Gold & Blue'
この新作を聴く前に見た‘デア・デビル‘の映画のイメージがあります。
盲目の正義の味方のデア・デビルがレーダー(だっけ)を使って夜のニューヨークを駆け巡るような戦いの前の静寂とレーダーで写し撮った映像のようなイメージを感じます。
エレピとソプラノサックスそしてオーボエが作り上げる空間は今までMSには無かった新境地を見せてくれます。

'Bitter Brown'

これもMSの新境地というべき路線ですね。ミュートしたトランペットと渋いジャズギターが特徴な曲。
意外な感じで聴いていましたが、何回か聴いているうちに後半のサビのリフレイからミュートさせたトランペットのあたりはいかにもMS風というか彼らの色が出ていますネ。
MSはなんでもあり、なんで今更驚くことでもないんですが。

'Symbiosis'
町田氏のドラムソロから宇宙をイメージさせるシンセの掴み、転調したボコーダーのような音からマイケルブレッカーのようなイフェクターをかけたサックスのパートが入って、最後は大盛り上がりのエンディングと、これは従来のMS風サウンド。無限に上昇するジャケットのイメージを感じます。

'9-Over'
安井嬢のパーカッション(何という楽器の名前だっけ?)がアクセントのラテンナンバー。岸川嬢の押さえ気味のテーマからパワフルに展開する構成はステージ上でのお得意のパターン。
これにも生のホーンセクションが使われていて、やっぱその迫力はシンセと違いますね。
「Hey!!」で完成させた(?)曲が二部構成になっているパターンは、一筋縄ではいかないMS独自のアレンジ。後半はアシッドボサの雰囲気ですね。

’Pump Up!’
これは、ボイス路線と共に彼らの顔というべき度派手なサウンド。
ライブステージの後半に一気にエンディングのなだれ込む一連の曲のような感じです。サビはまさにMSサウンドを象徴するメロディですね。これはライブでは大いに盛り上がる曲です。

'Boom Boom Train'
CyberFusionのテーマ曲です。お馴染みの方も多いと思います。
テーマ曲と違ってイシハラ氏が全て歌っています。男の色気プンプン感じます。(男の体臭ではないのでご注意を)
オーバーダビングで重ねたイシハラ氏のボイスは魅力がありますねぇ。MSサウンドを象徴するような一曲です。

'Heart Of Gold'
これはライブで何回かやった曲です。
メロディとコードがアンマッチな感じの不思議な曲です。(ここらへんがいかにもMSらしいと言えるでしょう)
太田光宏氏のギターソロはこれまた絶品ですねぇ。ギターソロだけ何回も聴いてしまいました。起承転結がしっかりしているというか、構成がよくできているというか、ストリー性あるソロはもっと聴いていたいと
感じました。

'Spiral'
これも感動のエンディングに続く一連の曲になりうる緊迫感ある曲ですねぇ。
小沼ようすけバンドに参加している太田剣氏のソプラノサックスが感動のエンディングへと誘います。
渡辺具義氏(マイクロストーンバンド)のギターも光ってます。

’Down Down Blues ’
Spiralで怒涛のエンディングかと思いきや、肩の力の抜けたシャッフル系の軽いナンバー。
後半からの緊張感をとぎほぐすくつろいだ雰囲気があり、ふ〜ッと軽くなる構成です。

 と、全曲を紹介してきましたがこの作品の目玉はなんと言っても豪華なゲストでしょう。ホーン陣、ギター陣といろんな個性の人が参加してそれぞれが素晴らしい楽器の腕を見せてくれます。パーカッションは今までもあったことはあったんですが、本職の人がやると違いますね。リズムにうねりを加えています。
そして斉藤力氏のサックスも光ってます。この作品で一番変わったのは町田氏のドラムですね。ライブや他の作品で叩き過ぎると思っていたのですが、本作品ではタイトにリズムのグルーブ感を出すドラミングに徹しています。派手な部分とのメリハリがあって個人的にはこちらの方が好きですね。

 初めてこれを聴いたときは、シラキ氏と酒を飲みながらだったので強烈な印象はあったのですが、細部まで聴くことが出来ず‘Que‘のインパクトが残っていたんですが、その後何度も聴いていくうちに1作目と同じように感動を覚えてしまいました。
間違いなく今年のベストアルバムの一枚だと確信しました。
 ひとつのところに留まらず、常に進化していっているにも係わらず、自分達のカラーは出しているMSは現代の淀んできているFusion界に風穴を開ける新風だと思います。
自信を持ってお勧めします。

☆文句無し!!脳味噌錯乱級!!!買いっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(アスワン)

   
Slow         Speedy
Light   Heavy
Mellow   Hard
Lyrical     Cool
Melodious     Out of melody/code
Conservative       Progresseve/Tricky
Ensemble   Interplay

シラキ ヤスユキが語る「Groovers Move On」(試聴あり)はこちら

\1、900 3/15/2003 新宿タワー