Marcus Miller「M2」ビクターエンターティメント(VICP-60737)2001 - JAPAN
Marcus Miller(b,bc,key,sax) Chaka Khan(vo) Bernard Write(key) Lenny White(drs) Hubert Laws(flt) Herbie Hancok(key) Paul Jackson JR.(g) Wayne Shorter(sax) Mino Cinelu(per) etc.
●骨太いストレート系 ○明るく爽やか系  ○骨太系と爽やか系の中間
○R&B系 ●ブラック系 ○歌物・NAC/AOR 系
○ラテン系               ( □ブラジル系  □サルサ系  □カリプソ系 )
○ユーロ系  ○JAZZ系  ○JAZZとFUSIONの中間系
○ブルース系 ○ロック系
 今やベテランになったベース界一の人気者になったマーカスのソロです。
今回のサウンドも前回の作品の延長上にある内容です。彼のスラップのベースが前面に出てまして、イントロ〜テーマ〜ベースソロをビシバシとスラップで演奏しております。サウンドクリエーターである彼の性格からか、ベースの教則本的サウンドにはならず、サウンド全体の構成も考えて作っており、自分の色をよくわきまえて効果的にベースを入れております。彼のお得意のバスクラリネットも披露しております。
サウンドはマーカスサウンドというべき彼の過去の作品と同じように、スラップベースを中心としてファンキーでハイセンスな雰囲気を持ったサウンドで、マーカスファンのみならず、Fusionファンの多くが満足出来るサウンドであり、作品だと思います。

 何回か聴いて、私はあることに気がつきました。これはあくまでも個人の意見でして、こういう聞き方をしている人もいるということで見て下さい。
彼がデビューした70年代後半〜80年代前期のベースと比べて、最近の彼のベースが面白さがなくなりました。その理由は、曲のベースラインがシンプル過ぎるからです。最近のサウンドは、スラップでイントロからテーマまで前面にベースを入れており、ベースをフロント楽器のように使っております。そんな曲構成の中でバックのベースまでスラップで弾いてしまうとグチャグチャになってしまうので、シンプルにやらざるを得ません。
 私が熱狂していた70年代後半の彼のベースは、彼がフロント楽器として弾いていたものではなく、あくまでもベースという楽器のポジションで強烈な存在感のあるベースだったからです。例をあげると、トム・ブラウンの「ブラウン・シュガー」での「スロー・ダウン」という曲での、嵐のようなスラップのベース。主役はトムのトランペットなんですが、リズムを担っていた、マーカスのベースは曲の顔というべき存在で、主役のトランペットを食ってしまいそうでした。
以前はバック楽器でありながら、その個性と存在感をアピールしていたのですが、この作品ではベースというポジションでのベースそのものが殆ど存在しなくなってしまいました。その観点から、元ベーシストとして、コピーしてマスターしたいベースパートがないんですね。
 マーカスの初期のソロ作品はベースが引っ込み過ぎて、不満に思ってスラップてんこ盛りの作品を望みました。ようやくそういった作品が出てきたら、ベースラインそのものが面白くなくなり、我が儘なファンだと自分でも思うんですが、最近の彼のサウンドに思っていた一点の曇りが何だか分からなくて、モヤモヤしていたのですが、この作品を聴いてその存在が何であるか、はっきり見えました。

 ☆上記はあくまでも個人的な意見でして、作品全体の評価ではありません。作品自体は脳味噌錯乱レベルの質の高さを持っていると思います。(アスワン)
   
Slow           Speedy
Light           Heavy
Mellow           Hard
Lyrical         Cool
Melodious           Out of melody/code
Conservative               Progresseve/Tricky
Ensemble             Interplay