Guillerme Franco, Daoud David Williams(Per), Mike Parr(Vo)
川崎燎Trio「Reval」の項でも少し紹介した、同じSatellites Recordsから最近出されたアルバムです。 本作はフルート奏者Chip Sheltonをリーダーとした、ニューヨークにおけるセッションの模様を収録したライヴアルバムですが、実はこのメンバーを見ても川崎氏は別として、リーダーのSheltonはじめほとんど知らないミュージシャンばかりで、こういう状況でインプレッション書くのも大変はばかられるのですが、却って変な先入観なしでいいじゃないかと、自分で自分を慰めつつ書くことといたしました。 フルートの入ったジャズ又はフュージョン作品で私が印象にあるのは、CTIのジョー・ファレルとジョージ・ベンソンの競演盤、あるいはヒューバート・ロウズの参加したオーレックスジャズフェスティバルのライブ(「フュージョンスーパージャム」でしたか…)くらいで、これまでほとんど身を入れて聴いたことがないので恥ずかしい限りですが、結構フルートという楽器、ジャズにおいては特異な地位があるようで、私の田舎で夏の恒例となっている非常にローカルなジャズフェスティバルがあるのですが、参加するセミプロ程度のバンドで必ずといっていいくらいフルートを擁するグループが登場してきます。アマチュアでも手軽に出来、なおかつ奥の深い楽器、ということでしょうか。 ところでこの作品の写真でリーダー・シェルトン氏が吹いている洋式尺八みたいな変てこりんな形のフルートですが、彼独自の"vertical(垂直)flute"というやつだそうで、アルバムではこれも含め数種類(4種類?)のフルートを吹き分けているようで、その音色の違いを聴き分けるのも面白いんじゃないでしょうか。 全体の演奏は、ライヴということもあり各プレーヤーのソロをかなり長くとったインタープレイが中心で、ごくストレート・アヘッドなジャズスタイルといえます。考えてみれば川崎氏のライヴ演奏を聴くのもこれが初めてなので、その意味では貴重な音源ですね。スタジオのリーダー盤とはまた違うインプロバイゼーションに徹した、厳しい(と云ったら変ですが)プレイを聴くことができます。またピアノのMeriwetherのプレイは相当ファンキーかつトリッキーなもので、特に一曲目のソロにはギョっとしてしまいました。 ただ惜しいことに、どういう会場での収録かわかりませんが観客の熱気や反応がやや伝わりにくい録音になってしまっているのは残念で、スタジオ盤のような音質の良さはあるものの、ウエス・モンゴメリー「フルハウス」のようなライヴらしさが若干スポイルされてしまっているようにも思われます。 ○よく調べたら、フルートのChip Sheltonは川崎燎氏のアルバム「Cosmic Rhythm」にも参加していました。また彼のプロフィールについては川崎氏(Satellites Records)のHP内で紹介があるので、関心のある方はどうぞ。(セリエJ)
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