Ron Carter「When skies are grey ...」somethin'else (TOCJ-68049)2000 - JAPAN
Ron Carter(b) Stephen Scott(p) Harvey Mason(d) Steve Kroon(per)
○骨太いストレート系 ○明るく爽やか系  ○骨太系と爽やか系の中間
○R&B系 ○ブラック系 ○歌物・NAC/AOR 系
●ラテン系               ( ■ブラジル系  □サルサ系  □カリプソ系 )
○ユーロ系  ●JAZZ系  ○JAZZとFUSIONの中間系
○ブルース系 ○ロック系
ロン・カーター、いわずと知れたジャズベースの大御所です。昨年5月に新境地ともいえる本格的ボサノヴァアルバム「オルフェ(Orfeu)」をリリースしたところ評判も上々で、SJ誌ゴールドディスクにも選定されました。本作はその続編といえる内容のものです。

前作「オルフェ」は、ベース、ドラム、ピアノ、ギター(なんと、ビル・フリゼール!)、サックス、パーカッションのセクステット構成で、いわば豪華版サウンドでありフュージョンファンにも十分楽しめる内容でした。が、今作もそのつもりで聴くと少々つらい面があります。今回は上記の通りギター、サックスの抜けたカルテット構成でピアノ、パーカッションは前作と同じメンバー。またドラムには新たに盟友ハーヴィー・メイソンを起用しての吹き込みで、メイソン、久々のジャズプレイとなったようです。そのあたりが聴きどころといえましょうか。

はじめに楽器構成を見て、今回は装飾を排した、よりピュアで玄人好みの方向に振られた作風か、との予測をしたのですが、実際聴いてみて予想以上にジャズに戻った点に、半分感心、半分ガッカリというところでしょうか。前作では主役のはずのカーターは非常に控えめなプレイで、むしろギターのフリゼールあたりがかなり前面に出てたようですが、今回は違いまっせ、カーターのベース、よく歌ってます。こういう作品はぜひアルティックの大型スピーカーで聴きたい(ウチじゃ無理か!)ところですね。また曲目は前作同様、オリジナルとスタンダードをとり混ぜての内容ですが、なにせどれ聴いても似たようなゆったり系のテンポで、曲目よりトータルカラーを重視したかのようです。メイソンのドラミングは、今回さすがに「ジャズの音」でのプレイですが、クッションのよく効いたプレイはいつもの上質さそのものです。

以上のように、本作は親しみやすいボサノヴァアルバムながら、ジャズ的インタープレイを重視したよりピュアな内容で、やや俗受け狙いの前作と比べるとずっと通好みだといえそうです。甘口歌謡曲風ボサノヴァアルバムを期待して聴くとイタイ目にあいそうですが、長い目(耳?)でみれば、こういう作品は飽きが来ずいつまでも愛聴できるものだといえるでしょう。

☆はじめはまず、前作「オルフェ」から聴くことをおすすめします。(セリエJ)
   
Slow           Speedy
Light           Heavy
Mellow         Hard
Lyrical         Cool
Melodious         Out of melody/code
Conservative                 Progressive/Tricky
Ensemble           Interplay