増尾好秋「New York Concerto」BAYSTATE(BVCJ-37130)'81/2000 - Japan
Joe Chambers(ds,vib,arr) 増尾好秋(g) Sonny Fortune(sax,flt) Kenny Barron(key) Eddie Gomez(b) Ray Mantilla(per)

   ○骨太いストレート系  ●明るく爽やか系  ○骨太系と爽やか系の中間 
  ○R&B                 ○ブラック系        ○歌物・NAC/AOR 系 
  ○ラテン系(□ブラジル系  □サルサ系        □カリプソ系) 
  ○ユーロ系            ●JAZZ系          ○JAZZとFUSIONの中間系 
  ○ブルース系          ○ロック系      

  まず初めにお断りしますと、本作は厳密にいうと増尾好秋のリーダーアルバムではなく、オリジナル盤の名義は「Joe Chambers and Friends featuring Yoshiaki Masuo」という長たらしいものになっており、要するにリーダーはあくまでドラマー、ジョー・チェンバースであって増尾氏は共演者である、ということになります。 が、それはまぁ形式のようなもので、知らずに中身を聴けば、おそらくよほどのヘソ曲がりでない限り「これは増尾氏のリーダー作だ」と思うんじゃないでしょうか。そんなこともあり、また便宜上、増尾氏の作品とした方が一般には通りがよいと思ってここではあえて表題は彼の名義にしておきました。 

  ただ、このややこやしい名義付けは全く無意味なものではないようで、聴いてみればわかる通り、本作は「セイリング・ワンダー」以降のフュージョン路線とは相当趣きの異なる、いわば「ジャズへの回帰」とでもいえそうな内容であり、そのため彼の本流の作品とは少しはずした位置に置きたかったのではないでしょうか、それがこの名義付けに現れたのでは、なんて想像したりしています。(事実、この次の彼のリーダー作「メロウ・フォーカス」では、冒頭にいきなりゲームサウンドが飛び出すようなフュージョン的作品に戻っている。)

  本作のオリジナル発表は81年であり、ちょうどエレクトリック・バードからの一連のフュージョン作発表も一段落し、さてこれからどうするかと今後の展開を模索していた時期であったかと思います。そんな中、ニューヨークの比較的オーソドックスなジャズミュージシャンと組み、今一度自己の足元の音楽を確かめたかったのでしょうか、内容は曲によってはフュージョン風のものもあるものの、全体的にはオーソドックスなジャズであり、スタンダードも数曲とりあげています。

  さらに驚くべきことは、後半の(オリジナル盤でいえばB面の…)大半を、あの「アランフェス」に当てているのです!生ギターでの延々15分を越えるプレイを聴けば、「これが増尾氏のアルバムでなくて何なのだ?!」という気になるのは当然でしょう。… ただ、何と申しましょうか、CDで聴いてしまうと、A面B面関係なく自動的に1曲目から終わりまで流れてしまうのはいただけませんなぁ…ここはやはり、盤をひっくり返す間に気持ちを入れ換えて、それからおごそかに「アランフェス」が流れ出す…となった方が、感動もひとしおだと思うのですが…(CDで聴く場合は、一度ここで止めて間をとった方がいいです ^^;)
  また、アランフェスの後のシメに持ってきたスタンダード曲「ニューヨークの秋」がまたやたらにいいです。私はコレを聴いてから、少しはスタンダードも聴くようになりました。(^^;

  以上のように、本作は相当な力作であり、時代を超えて通用する内容であると思います。長い間マニアの間に埋もれていたような状態だったのですが、今回ついにCD化されました。大変喜ばしいことだと思っています。

☆ “フュージョンの”増尾を聴きたい人には、今回同様にCD化された(こちらはCD再発)、「セイリング・ワンダー」「グッド・モーニング」がよろしいかと思いますが… (セリエJ)

   
Slow             Speedy
Light           Heavy
Mellow     Hard
Lyrical         Cool
Melodious         Out of melody/code
Conservative         Progresseve/Tricky
Ensemble         Interplay