○骨太いストレート系 ●明るく爽やか系
○骨太系と爽やか系の中間 まず初めにお断りしますと、本作は厳密にいうと増尾好秋のリーダーアルバムではなく、オリジナル盤の名義は「Joe Chambers and Friends featuring Yoshiaki Masuo」という長たらしいものになっており、要するにリーダーはあくまでドラマー、ジョー・チェンバースであって増尾氏は共演者である、ということになります。 が、それはまぁ形式のようなもので、知らずに中身を聴けば、おそらくよほどのヘソ曲がりでない限り「これは増尾氏のリーダー作だ」と思うんじゃないでしょうか。そんなこともあり、また便宜上、増尾氏の作品とした方が一般には通りがよいと思ってここではあえて表題は彼の名義にしておきました。 ただ、このややこやしい名義付けは全く無意味なものではないようで、聴いてみればわかる通り、本作は「セイリング・ワンダー」以降のフュージョン路線とは相当趣きの異なる、いわば「ジャズへの回帰」とでもいえそうな内容であり、そのため彼の本流の作品とは少しはずした位置に置きたかったのではないでしょうか、それがこの名義付けに現れたのでは、なんて想像したりしています。(事実、この次の彼のリーダー作「メロウ・フォーカス」では、冒頭にいきなりゲームサウンドが飛び出すようなフュージョン的作品に戻っている。) 本作のオリジナル発表は81年であり、ちょうどエレクトリック・バードからの一連のフュージョン作発表も一段落し、さてこれからどうするかと今後の展開を模索していた時期であったかと思います。そんな中、ニューヨークの比較的オーソドックスなジャズミュージシャンと組み、今一度自己の足元の音楽を確かめたかったのでしょうか、内容は曲によってはフュージョン風のものもあるものの、全体的にはオーソドックスなジャズであり、スタンダードも数曲とりあげています。 ☆ “フュージョンの”増尾を聴きたい人には、今回同様にCD化された(こちらはCD再発)、「セイリング・ワンダー」「グッド・モーニング」がよろしいかと思いますが… (セリエJ)
|