散文的Steps Ahead考察

 1995年「Vibe」Steps Ahead ・・・以来、Steps Aheadの新録は途絶えている。
そしてこの1995年にSteps Aheadのリーダーであるマイク・マイニエリは「Fusionは死んだ!」と言っている。あたかも「Rockは死んだ!」にも似た響きの衝撃的な言葉だ。
 もしも、マイニエリはFusion界のジョニー・ロットン(!)と言えるならば、StepsAhead はFusion界のSex Pistorsという事なのだろうか?(つまらない戯れ言…かな?)

 Steps Aheadは、元々Stepsという名前だったのは周知の事であり、1980年我が日本の、それも六本木ピットインでのLIVEがデビュー作でかつ、Fusionの名盤になった事も忘れる事が出来ない。それから6年後のLIVEも日本での録音であり、我が国とSteps Aheadのつながりは無視できないものである。最近、リユニオンSteps Aheadが始動を開始したらしいが、これも是非日本でのLIVEを渇望したい。きっとそれは凄い事に?

 Steps/Steps Aheadのメンバーで心に残る人物とは?・・・マイク・マイニエリ、マイケル・ブレッカー以外はファンの思い入れによって異なる。なんせSteps/Steps Aheadは10作品をリリースしているのだが、最初の2作品以外は全てメンバーが入れ替わっているのだ。
 チャック・ローブ、マイク・スターン、スティーブ・カーン、ダリル・ジョーンズ、トニー・レビン、ビクター・ベイリー、ジェームス・ジナス、イリアーヌ、アダム・ホルツマン・・・これら良く知られた名前は、皆Steps Aheadに参加した人達だ。
 Steps Aheadに参加した・・・とても有名な脇役達。

 マイク・マイニエリのソロ活動と、Steps Aheadの違いがわからない。
昨年のマイク・マイニエリ・カルテットだってSteps Aheadと言っても良い陣容だった。しかし、それはSteps Aheadとは呼ばれなかった。そこにはどう違いがあるのだろうか?
 マイク・マイニエリ抜きのSteps Aheadを想像してみようではないか。
Saxにマイケル・ブレッカー、ピアノにウォーレン・バンハート、ドラムにスティーブ・ガッド、ベースにエディ・ゴメス・・・・個人的にそうそうたるメンバーを集めたけど、どんな音楽でも出来るだろうが、それがどういう音楽になるかは想像できない。しかし、ここにマイク・マイニエリを据えれば、それだけで方向性がわかってしまう。
 でも、それだけではSteps Aheadでは無い。決定的に何かが違う、何かが・・。

 Bendik Hofsethって知ってるかい? 後期Steps Aheadに参加したノルウェイ出身のSAX奏者。ちょっとマイケル・ブレッカーに似た都会的SAXを吹く人だ。しかし、Arild Andersen(b)の作品に参加した彼は別人の如く違う・・・ノルウェイの先輩ヤン・ガルバレク直系の牧歌的なSAXを本当は吹く人なんだ。

 StepsAheadを時期に分けるならば、大きくマイケル・ブレッカー在籍時、非在籍時に分ける事ができる。 そしてそれは象徴的だ。マイケル在籍時はバンドとしての結束力を感じる。しかし、マイケル脱退後は結束力が弱まり、マイニエリのソロ・プロジェクトの性格が強くなる。
 また、アコースティック期、エレクトリック期という分け方も可能であり、それは暗示的だ。元々はアコースティック回帰とも取れる活動が、エレクトリックに戻っていったのは皮肉に感じるかもしれない。しかし、そこには必然はあった・・・時代の要求?・・・ならば今のリユニオンも同様に・・・?

 1年前のマイク・マイニエリのインタビューでは、Steps Aheadリユニオンには故ケニー・カークランド(p)がメンバー候補に挙げられていた。もちろん実現していればそれはそれで素晴らしいものになったろうが・・・。間に合わなかった事は今更ながら悔やまれる。
 

Smokin'  in the Pit
Step By Step
Paradox
Steps Ahead
Modern Times
Magnetics
Live in Tokyo 1986
N.Y.C
Ying-Yang
Vibe
 試しに1stアルバムから順番にアルバム・タイトルをタイプしてみた。(何も見てないよ。)我ながら全部憶えていたのには感心した。どの1枚にもそれぞれに思い入れがあるからなんだろうなぁ・・。
 リユニオン・・・この後にまた1枚、作品が書き加えられたら良いのに・・・ 。(1999.8.19 TKO)
 


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