Jeff Beck ライブ・レポート 

Jeff Beck(g)
Jennifer Batten(g)
Randy Hope-Taylor(b)
Steve Alexander(ds,key)

1999.5.31 東京国際フォーラムAホール

 
 いやぁ、良かったぁ!!とにかく感涙!これこそエレクトリック・ギターの真髄だぁ・・とやたら感激しまくって帰ってまいりました。さすがにジェフ・ベックとでも言いましょうか、テクや早弾きで凄い人はいっぱい居ましょうが、これだけギターを変幻自在に歌わせられられる人は他にどれだけいますでしょうか? 

 ・・・と、その前に宿題になってましたこのホールの音状況から説明します。前回のTOTOライブではそれは酷い音であったこのホールで、今回も2階席でそれも3列前になった以外はあまり位置的には違いのない席になりました。しかし、今回はもう雲泥の差で、これなら悪くない・・・誤解しててごめんね、東京国際フォーラム!!なんて思うほど良好な音質でした。PAは前回と同じく前方にしか無いようでしたが、ちゃんと2階席にも音が来てるし、ギターの細かいニュアンスもドラムのオカズもしっかり聞き分けられます。という事で前回のTOTOのPAが最悪だったのでしょうね。ボーカル入りと、インストという違いはあるでしょうけど。でも、あまり音の良いホールとは思えませんが、まぁまぁの水準は行っていると思いました。次回もこれ以上でよろしく!!

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 さてさて!ジェフ・ベックは久々の来日です。思い起こせば13年前の軽井沢でのルカサー、サンタナと一緒のライブ以来、単独では「There And Back」のツアー以来ですので本当に久しぶりです。おかげで僕なんかは今回が初めて見るライブになりまして、本当に昔から好きなのになかなか見れなかった人の一人です。

 曲はこの3月に出たばかりの新作からが中心になり、アルバム別に
「Who Else」What Mama Said,Psyco Sam,Brush With The Brues,Blast From The East,Space For The Papa,Angel(Footsteps)
「Blow By Blow」Cause We've Ended As Lovres
「Wired」Led Boots,Blue Wind
「There And Back」Star Cycle,You Never Know,The Pump
「Guitar Shop」Savoy,Where You Were
(Beatles、ジョン・レノンの曲)A Day In The Life
これらが演奏されました。(抜けや間違いがあったらスミマセン。)

 このライブは2ギターにベース、ドラムとかなりシンプルな編成で、ジェフ・ベックの作品に聴けるあの重厚なシンセはどうなるのだろうと思いましたが、これらは全て打ち込み、Midiなどで済まされて全然問題ありませんでした。それともう一人のギター(それも女性!)もしっかりサポートに徹していて、ベックのギターをより引き立てているようです。

 スタート1曲目のWhat Mama Saidから既にベックのギターは満開で、白のストラトキャスターで変幻自在のフレーズで魅せます。特にハーモニクス、フィードバックのコントロールが絶妙で、またフレーズとは言えない、むしろスクラッチや弦を叩くノイズもギター・プレイに取り入れていてとてつもなくスケールを感じます。

 数曲済んでから、なつかしのStar Cycle!もう19年前の作品からとなるのですが、衰えどころかあのスタジオ版以上のプレイを聴かせます。それはこの曲だけでは無く、Led Boots,Blue Wind,You Never Know,The Pumpなども一緒です。旧作のあの耳に馴染んだ曲のどれもがパワーアップして聴こえるのは、やはりギターの歌い方が生々しく、すぐそこで何かが生まれるような新鮮な感覚を思わせるからでしょう。それにベック自身のプレイもGuitar Shop以降の変化が顕著なので、それ以前の曲は特に新鮮に感じます。

 不思議な選曲と言えば、ジョン・レノンで有名なA Day In The Lifeで、これをインスト・バージョンで演奏しました。この曲のオリジナルはオーケストラの最低音から最高音まで上り詰める音というギミックがありますが、それをベック以下バンド全員で、らしき音を再現(?)と言うか、そのオ囲気、それに対抗する音を出しています。オーケストラとは随分印象が違いますが、これもなかなか張っているのではないかと思いました。

 このライブで演奏されたベックの最も古い曲はCause We've Ended As Lovres(悲しみに恋人たち)で、このボリューム奏法、フレーズの泣きはたまらないものがあります。(そういえば、この曲で有名な「トリルしながらの下降フレーズ」はやらなかったなぁ・・。)

 Led Bootsは少々荒い演奏で、オリジナルのナラダ・マイケルウォルデンのプレイが印象強いので、やや今回のドラムは弱いかなと思いましたが、それとは裏腹にベックのプレイがスタジオとは比較にならないほど強力です。この曲はそのままドラム・ソロに移行し、JAZZ/FUSION系で慣れた耳ではロックのドラム・ソロなんて大抵冗談にしか聴こえないのですが、このドラマーはなかなかノセてくれるドラム・ソロを叩き、感心しました。
 
 Where You Wereは、アームのなんとも言えない微妙なコントロール、それとボリューム奏法の味わいのあるフレーズ・・・。こういうのはベックの独壇場で他に誰がやるのでしょう・・・・絶品です。

 この日のジェフ・ベックの使用機材は白のストラトキャスターナチュナルのテレキャスターマーシャル・アンプに繋いでました。多分、ピッキングは指で弾いているのがほとんどだと思います。ステージ中は、ほとんどマイクは使わず、最後に「アリガト」というのが唯一のベックの肉声でした。

 日によって演奏にバラツキがあると言うことで有名なベックですが、この日はミスなど全然見あたらず、よくフレーズも歌い、調子の良い日だったのかも知れません。それとご機嫌も良かったのか、ボトルネックも曲の終わりでステージから客席に投げちゃうし、ステージの去り際にギターを客席のファンにあげちゃいました。まぁ、ギターはどうするのだろうと見てたら、ローディの人がその渡したファンから取り返していましたけど・・。(その場面は結構受けてました。)

 結局、ステージは約1時間40分。時間的には少ないのですが、ベックのギターを満喫したため、ちっとも少ないとは感じず、むしろ大満足なライブでした。

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 最後にやはりベックは凄かった! 例えばこういう名曲をいくつか持つ人のライブでは、イントロだけ沸いてその後安心してしまうのか曲の途中で客のテンションが落ちるというのは良くあります。しかし、ベックの場合は確かに名曲を揃えてますが、それ以上にギターのアドリブでどんなプレイをするのかに期待が高まり、単に名曲だからと客も安心しないで、その進行にじっと耳を傾けているような気がします。
 また、ベックのギターテクというのは、JAZZ/FUSIONでなれているとそう大したものは無いのでしょうが、そこから生み出されるフレーズのどれもが、まるでここで生み出され、いつか他の誰かの元になるような・・・そんなみずみずしさ、ベックこそはギター・フレーズの源泉という感じがしました。
 なんせベックだったら彼の出すどんな音でも許せてしまう・・・このコンサートも目の前でベックが演奏しているといだけで幸福で頭がボーっとしっぱなし・・・アクションもカッコ良いし、なにからなにまで!まぁ、僕もベック・フリークなんだなぁと自分自身を再認識してます。

 それにしてもアルバムもなかなか出さない・・・ツアーもなかなかやらない・・・次の作品、ライブはいつになるのでしょう?この移り変わりの激しいロック/ポピュラーのジャンルにおいて、本当に悠々自適なあたかも隠居でもしてしまったかのような音楽生活・・・「ロック界のC.クライバー(指揮者)」なんて言うのは、ちょっと言い過ぎなんだろうなぁ、やっぱり・・・。(TKO)

 

ジェフ・ベックのディスコグラフィー

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