ミッシェル・カミロ・ライブ・レポート

1998.2.11 大阪ブルーノート 2nd set

ミシェル・カミロ(ピアノ)
ジョバンニ・イダルゴ(パーカッション)


92年から来日する度に彼の演奏を聴いてきました.今まではトリオ編成やホーンセクションを入れた編成で重厚でシャープな演奏を聴かせてくれましたが今回はパーカッションのジョバンニ.イダルゴとデュオという最小編成で今までにない組み合わせです.

ピアノとパーカッションだけで果たして今まで見た演奏以上のものが出来るのだろうかという不安がありましたが,演奏が始めればその不安はフッ飛んでしまいました.ジョバンニの叩くリズムはトリオ編成のドラムと遜色がない強烈なリズム.ベースを十分にカバーするカミロのグルーブ感溢れる左手のリズム.そしていつもの強烈なタッチから産まれてくるメロディ.これが混ざり合ってトリオ編成と同じ様なパワー十分の演奏が,広い大阪ブルーノートを呑み込んでしまいました.パワーに加えてメロディ楽器がカミロだけなのでいつもよりピアノを感じることが出来,じっくり彼の演奏を堪能できたんではないでしょうか??

インタープレイを行う上での十分なアイディアの引き出しが無ければとてもこの編成で持たないでしょう.テクニックとパワーだけでなく,彼がピアノを使って話す言葉のボキャブラリの豊富さは,彼の一番優れているところで,それを十分に引き出してくれたことは,今までにない感動を覚えてしまいました.

毎年,様々な新しい挑戦を披露してくれて来年のライブも非常に今から楽しみです.(アスワン)



今回の大阪ブルーノートでの最終ステージとなったこの日は1曲目からカミロは超高速かつ力強いソロをパワー全開で聞かしてくれました。またディジー・ガレスピーなどと共演してきたというパーカッションのジョバンニも右手で4つのコンガ、左手はスティックを持ちカウペルなどをあやつるといったプレイで盛り上げてくれました。 曲目はピアノ・ソロ、パーカッション・ソロを含んで計6曲にアンコールという構成でジョバンニ・イダルゴとのデュオ・アルバムでも演奏されているウェイン・ショーターのニュー・スタンダードとも言える「フット・プリント」以外はカミロのお馴染みのオリジナル曲を披露してくれました。今まではトリオ、それも音数が多く、音圧の高いリズムセクションを従えてのライブが多かっただけに今回のデュオという編成はカミロのダイナミックなピアノがたっぷりと聞け堪能することができました。この日の演奏の前に行ったインタビューでは今年はピアノ・ソロのアルバムをレコーディングするという計画を披露してくれ今後もますます楽しみなミシェル・カミロです。(橋 雅人)

このライブの際に行ったインタビューは近日発表予定です。


協力 : 大阪ブルーノート
Photography by Wahei Onuki
Copyright 1998 by CyberFusion