Lage Lund Trio Live Report in New York




Lage Lund (e.guitar)
Yasushi Nakamura (a.bass)
?? (drums)



2011.12.03 The Bar Next Door, New York City, 1st & 2nd set

若手ギタリストでニューヨークを拠点に活躍するラーゲ・ルンドのギター・トリオのライブをマンハッタンの小さなクラブで見てきた。
ラーゲ・ルンドはノルウェー出身で、デヴィッド・サンチェスやシーマス・ブレイクのグループなどに参加しており、自己のトリオでも2ヶ月ほど前に来日を果たしている。

ライブが行われたThe Bar Next Doorはブルーノートやヴィレッジ・ヴァンガードなど有名ジャズクラブがあるグリニッジ・ヴィレッジの中心に位置するワシントン・スクェアからすぐ近くにあり、ラーゲ・ランドの他にも最近注目の若手ギタリスト、ギラッド・へクセルマンやジョナサン・クライスバーグらがコンスタントに出演している。
半地下にある店に入ってまず驚くのはとにかく狭いこと。アメリカの有名ジャズクラブは、55バー、ベイクドポテト、スモールズなど知名度のわりには小さいところは珍しくないが、この店はその半分以下、1/3程度の広さしかない。
バーを名乗ってはいるものの、バーにはたったの3席しかなく、あとは40センチ四方程度の小さなテーブルが並べてあり、一番後ろのテーブルでもステージから2列目でお終いで、全部で30席足らずだ。
また天井がかなり低くてウッド・ベースをたてるとヘッドから15cmくらいしかなく、背の高いウェイターの頭は天井にすりそうである。
またこの手の店は音楽はいいが後は殺風景なところが多いのだが、ここはその反対で内装のセンスがよく、いわゆるカフェバー風である。「隣のバー」という店の由来になったイタリア・レストランとキッチンを共有しており、そのイタリア・レストランの食事を同じメニューで食べられるというのも気がきいている。

登場したメンバーはラーゲ・ルンド以外は事前に発表されていたメンバーとは違っていて、ベーシストはニューヨーク在住の日本人、中村恭士、そしてドラマーはこの日初共演のようであった。

ラーゲ・ルンドの演奏は今時の若手ギタリストの例外にもれずとにかく巧い。ギター・ソロがスピードに乗ってくると指がギターの指盤上を流れるように動き回り、フレーズが溢れ出てくる。

もっとも彼ならではの特徴はメセニー以降の多くのギタリストに見られるような無機的なフレーズが中心なのではなく、あくまでもジャズの伝統にのっとり、ジム・ホールやケニー・バレルなどの大先達が築いてきたジャズ・ギターのイディオムをベースとしているところだ。

ブルースを感じさせるフレーズからソロを組み立て、そこから加速していくという展開は理屈抜きにストレートに楽しめ、惹きこまれてしまう。

日本生まれで、シアトル育ちだという中村のベースはテンポがあがってくるとドライブ感を増し、トリオ全体を引っ張っていくようで、ルンドのスピード感のあるソロをより加速させているように聴こえた。

オリジナル、スタンダード曲を交えて演奏された約1時間のステージを2セットにわたり見たのだが、狭い空間で繰り広げられるギター・トリオ・サウンドは時間の経つのも忘れさせるような極上のものであった。 (橋 雅人)




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