Gilad Hekselman Live Report in Kyoto




Gilad Hekselman/ギラッド・ヘクセルマン(E.Guitar)
Joe Martin/ジョー・マーティン(A.Bass)
Marcus Gilmore/マーカス・ギルモア(Drums)


2011.3.7 Le Club Jazz, Kyoto

ギラッド・ヘクセルマンは1983年生れというから今年でまだ27歳、イスラエル出身で現在はニューヨークで活躍する若手ギタリストである。
アリ・ホーニグの「Bert's Underground」での演奏を聴いて気になっていたギタリストなのだが、自己のトリオを率いて来日するというので見に行ってきた。
アコースティック・ベースはクリス・ポッター、ブラッド・メルドーという豪華メンバーを従えたリーダー・アルバム「Not By Chance」をリリースしているジョー・マーティン、ドラムスはロイ・ヘインズの孫というマーカス・ギルモアの組合せだ。

会場のLe Club Jazzは京都の三条にある小さなライブハウスで、数十名の客でほぼ一杯の状態だった。京都という場所柄もあるのか、ジャズのライブとしては客層はかなり若く8割くらいは20代の人たちだったのではないだろうか。

ステージはギラッドのオリジナル中心に演奏され、カバー曲は1stセットに演奏されたイスラエルの曲と紹介されていたバラードと2ndセットの最後に演奏されたコルトレーンの「Countdown」だけだった。

オリジナル曲は調性、リズムともかなり複雑で、聴いていて何度も何拍子かもわからないし、拍子の頭さえも見えないという場面があった。それどころかメンバー3人がそれぞれ別のリズムをとっているように聴こえるような曲もあった。

こう書くとかなり難解でへヴィーな音を想像されるかもしれないが、実際にはギラッドのまるでヴァイオリンのように美しく塗装されたカスタム・メイドのセミアコ・ギターから出てくるサウンドは透明感があってかなり抒情的であった。

かなりテンションを含んだアウトした和音でありながら、ギラッドはギターでそれらの和音をいかにしたら美しく響かせることをできるかということを追求しているように感じられた。

またソロがヒートアップしてくるとギアがシフトアップされたように流れるような高速ソロとなり音色も軽くディストーションが効いてくる。
それでも熱く弾きまくるという感じではなく、ピッキングはあくまでもリラックスしていて全く力が入っているように見えない。
流れるように溢れ出てくるフレーズには、時折スウィープ・ピッキングも織り交ぜられるが、それもあくまでもクリアでスムースだ。

筆者は世界でトップ・クラスと言われるギタリストのかなりの数を至近距離で見ている方だと思うのだが、その目で見てもギラッドのギターは既にそれらのトップ・ギタリスト達と互角かそれ以上のレベルにあることは間違いないように思う。

今後のジャズ・フュージョン系のギター・シーンの中で目の離せない存在で、これからの活動が楽しみなギタリストだ。 (橋 雅人)




All rights reserved by Cyber Fusion