Randy Brecker (trumpet)
Bill Evans (sax)
Steve Lukather (e.guitar)
Robben Ford (e.guitar)
Darryl Jones (e.bass)
Rodney Holmes (drums)
Steve Weingart (keyboards)
2010.3.18 Billboard Osaka 2nd set
ランディー・ブレッカーとサックスのビル・エヴァンスの双頭バンド、ソウルバップの3週間に渡る日本ツアーの最終日を見てきた。
このソウルバップというユニットは2004年から活動していてライブ・アルバムも1枚リリースされている。
また2008年には東京ジャズにて来日も果たしている。
従来はギターには今は亡きハイラム・ブロックを擁していたのだが、今回の来日ではスペシャル・ゲストとしてロベン・フォードとスティーブ・ルカサーの2人のギタリストを迎えるという超強力な布陣となっている。
またリズム陣には元ブレッカー・ブラザーズで最近はサンタナバンドで活躍するロドニー・ホームズがドラムスに、元ステップス・アヘッドでローリング・ストーンズのベーシストでもあるダリル・ジョーンズ、そしてルカサーやウェックルと活動をするスティーブ・ウェインガードがキーボードとこちらも実力者揃いである。
このバンド、活動を始めたころはマイケル・ブレッカー存命中だったため裏ブレッカー・ブラザーズ・バンドという性格もあったのだが、マイケル亡き今、ブレッカー・ブラザーズ・バンドの最も正統な後継ユニットとも言えるだろう。
ステージはブレッカー・ブラザーズのレパートリー「Sponge」から幕を開ける。
今回のステージではLA系のロック、ブルースをベースにした二人のギタリストと、ランディーを中心としたNY系のジャズ色の強いフュージョンサウンドが一体どのように溶け合うのか開演前はなかなか想像しがたかったのだが、始まってみればさすがに百戦錬磨のスタジオ・ミュージシャン達だけあってルカサー、フォードともにブレッカー・ブラザーズのレパートリーでもバッキングを難なくこなしている。しかもロベン・フォードに至ってはクリアな音色のテレキャスターでこなしているというレベルを大きく超えた自らの味をブレッカーの曲に加えていた。
ロベン・フォードがヴォーカルを取るブルース・ナンバーに続いてブレッカー・ブラザーズの「Straphangin'」が演奏される。
マイケル作曲のイントロのホーンの絡みが印象的な曲だが、ここでもロベン・フォードの存在感に耳をついついもっていかれる。
反面、ルカサーはソロパート以外では存在感が薄い。
もっともルカサーは自分のレパートリー「Never Walk Alone」(「Candyman」収録)ではヴォーカルにギターにとさすがと思わせる演奏を聴かせる。
やはりこの人のルーツはあくまでもロックなのだなと思う。
この日のステージのハイライトはマイルス・デイビスのナンバー「Jean Pierre」だった。
ビル・エヴァンスの実質的なデビューは80年代のマイルス・デイビス・バンドということで取り上げられたナンバーだが、今回のバンドには他にもダリル・ジョーンズ、ロベン・フォードと80年代のマイルス・バンドの在籍経験者が揃っている。
この曲でのランディーのトランペット・ソロ、そしてそれに絡んでいくロベン・フォードのバッキングは絶品だった。
変幻自在にスケール感、調性感を動かしていくロベンのギター、そしてそれに呼応したフレーズを繰り出すランディーがテンションの高い、そして新鮮なサウンドを創り上げていくさまに聴いていて引き込まれてしまった。
アンコールで最後を締めた「Some Skunk Funk」はランディーの「人間が演奏可能な最速で演奏する」という決まり文句で始まった。
実際にはそんなこと言ってるのに全然速くないときもよくあるのだが、この日の演奏は結構速い部類だった。
今更ながらのこの曲ではあるが、やはり理屈抜きで大いに盛り上がる。
約1時間半のステージもこれだけのメンバーが揃ってそれぞれが充実したソロを聴かせてくれるので本当にあっという間に終わってしまった。3時間でも聴いていたいくらいであり、是非また見たいと思わせるステージであった。(橋 雅人)
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